『13の理由』番組宣伝ポスター
13 Reasons Why [Credit: Netflix]

『13の理由』について

『13の理由(13 Reasons Why)』は子を持つ大人が是非とも見るべき海外ドラマ。最近ネトフリオリジナルの紹介が多い気がするけど、本作もそんな中の一つ。同名ティーン向け小説が原作。まあ、原作タイトルは13がthirteenとなっており、少し違ってるけどね。ドラマ視聴後に原作を試し読みした感じだと、大まかな筋は大体あっている感じです。ただ、ネトフリ版のディテールは分かりやすさ優先のためか、結構改変されているようです。

『13の理由』の感想

転校生の高校生ハンナがこの物語のナレーター兼主人公。彼女が自殺した後からストーリーは始まる。ある日、バイト仲間で同じ学校に通うクレイの元に宛名なしの小包が届くんだ。それが実は自殺したハンナの残した7本のカセットテープで、その中には彼女の生音声で彼女が自殺した理由が13つが述べられているという、ちょっと中二病な代物(笑) でも、この時点で既にハンナは自殺しちゃってて、手がかりはこのテープのみなの。

『13の理由』で、クレイはカセットテープを聞く
13 Reasons Why [Credit: Netflix]

そして、彼女の自殺の引き金となった13人に宛に、このテープが自分の死後回るように仕組んだんだから、このハンナさん、可愛い顔してかなりの策士だ。自殺する子供がいじめた奴らに仕返しするため、妄想の中で様々な効果的に辱める方法を考えるのはありますが、このハンナ嬢はそれを越える斜め上の発想。ただし、このドラマを引き金に自殺する子が居ないように警告を出したり、制作陣は配慮は最大限しているようです。

『13の理由』で、ハンナとクレイ
13 Reasons Why [Credit: Netflix]

それにしても、このデジタルな時代にカセットテープという旧世代メディアを使うのが良い感じです。当初、クレイはすぐ再生できなくてウォークマンを探すことになるんだけどね。ジェネレーションギャップを感じさせるシーン。ちなみに、このカセットテープは多人数に瞬時にデジタルコピーでシェアされない、あくまで一人ひとり順番に回るという点でかなりいい戦略だと思う(笑) だって、mp3とかだと瞬時に広がっちゃうでしょ(笑)

そんなスマートでチャーミングなハンナの身に転校後に何が起こり、何故自殺したのかという最大の疑問、その謎を解く鍵はクレイがカセットテープを聴くのと並行してクレイ視点でのフラッシュバックから明らかになっていきます。いや、失礼、それはちょっと嘘。実はこのクレイさん、テープをなかなか聴かないので筋が全然進まないんですよ。茶の間的には、そこがちょっとムカつきます(笑) だってさ、普通、こんなテープ送られてきたら1日で全部聞くっしょw

それにしてもうまいと思うのは、フラッシュバックのクレイの顔はきれいなのに、現時点のクレイには傷がある点。これは視聴者に現在過去どっちの時点のシーンなのかを知らせてくれる重要なキーポイントで、さり気なく導入されてるけど効果抜群のギミック。しかし、エピソード終盤になるにつれて、過去と現実が境目無く混じり合っていく描写が増えていき、視聴者を不安と混乱に陥れると同時に、時にハンナがまだ生きていると錯覚さえ覚えさせてくれんだから、番組制作者はストーリーの作り方・映像化が非常にうまい。

『13の理由』で、クレイのおでこの傷
13 Reasons Why [Credit: Netflix]

さて、その問題の自殺した13の理由なんだけど、なにかすごいどんでん返しが用意されていると期待していると痛い目にあうかもしれません。逆に「これで自殺しちゃうのか」という疑問まで持つかもしれない。何故誰かに相談しないんだと。でも思春期の脆さなんてそんなものなのかもしれないよね。一つ一つの理由は瑣末でも、それらを合成の壺に入れるとトンデモナイ化け物が出来てしまう。そして、その重荷に一人では耐えられないんだ。大人は皆そんな不安定な思春期を経験しているはずなのに、歳を重ねるに連れ忘れてしまうものなんだ。大人と言えば、13人の中に一人大人が混じってるんだけど、両親を入れなかったのはハンナの見せた優しさなのかもしれません。

一応、シーズン2があるそうなので、両親が起こす裁判とかその辺の顛末が語られることになるんだろうか。ちょっと蛇足感があるのは否めないかな。現在でのIMDb評価は★8.4とちょっと過大評価だけど、時間があれば是非とも観て欲しい作品なのは間違いなし。個人的には、エピソード数は「13」ないといけないのは分かるから、もうちょっと尺を短くしてくれたら助かるかな。あと、『ギルモア・ガールズ』好きな人へのfun factは、ローリーの親友レーンの中の人が先生役出てくるので楽しみにして欲しいかな。面影があるからすぐ分かるはず(笑) それでは〜

『13の理由』で、Keiko Agenaが演じるPam
13 Reasons Why [Credit: Netflix]

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