『HOMELAND』のあらすじ

『HOMELAND』の番組宣伝ポスター
Homeland [Credit: Showtime]

CIA捜査官キャリーはイラクでの工作活動中のヘマでアメリカに戻り謹慎を食らい冷や飯を食っている。しかし、そのイラク活動中に入手した情報、しかも情報提供者が死刑になる直前にくれた「アメリカ兵捕虜が敵側に寝返った」というのが気になって仕方なかった。そんな折、イラク敵地の塹壕から死んだと思われていた海兵隊員ニコラス・ブロディが発見される。8年間捕虜となっていた地獄から一転天国。そして、当然「USA! USA!」の連呼と共に、一躍アメリカ国内でヒーロー扱いになるんだ。

『HOMELAND』で、ブロディはメディアに歓迎される
Homeland [Credit: Showtime]

しかし、ここにそれに疑問を持つCIA捜査官がいた。だってtoo good to be trueだからね。その彼女こそ、我らがキャリーなんだ。彼女は寝返った捕虜というのがブロディに違いないと感じ、無許可でブロディの家に隠しカメラ盗聴器を仕掛け、24時間監視下に置くことにする。ブロディが時折見せる不自然な行動、カメラの前での怪しい指の動きや一人時の異常な行動、はキャリーを確信させるには十分だった。日が昇ると同時にガレージに行くブロディ。ガレージまでは盗聴器を設置しておらず悔しがるキャリー。そこで繰り広げられた光景は視聴者を恐怖のどん底に落とし入れるには十分だった。なぜなら、イスラム教に改宗したブロディがメッカの方角に向かって「アラーアクバル」と祈りを捧げていたからだ。このシーンのアメリカ人の反応を是非とも見てみたいね(笑) 肝っ玉を冷やしたことは間違いない。

Allahu akbar.
『HOMELAND』で、ガレージでメッカに向かって祈りを捧げるブロディ
Homeland [Credit: Showtime]

このブロディの真意とは何か? 妻やキャリーとの関係は?などを巻き込みつつ、視聴者の想像を遥かに超えたな陰謀が徐々に明らかになっていく・・・。

『HOMELAND』の感想

『HOMELAND』は極上のサスペンスドラマ。早く見なかったことを後悔すること間違い無し。つまり、いつ見たとしても、もっと早く見ておけばとなる作品って感じかな(笑) 特に脚本が素晴らしい。一分の隙もない完璧さ。ビートルズの楽曲のことをモーツァルトが現代に蘇ったら作曲する作品と形容するように、『HOMELAND』は稀代の一流作家シェイクスピアが現代に蘇って9/11をテーマに書いた作品と言っても過言ではない。いや、過言かも(笑)

こういう筋書きだと、「アメリカ万歳、USA、USA」一辺倒になりがちと思いきや、この作品は単純な勧善懲悪では作られていない。誰にでも独自の正義があるようにされていて、それが絶妙のバランスの上、奇妙な具合で成立しているんだ。髪の毛1本の上を綱渡りするレベルのバランス感覚。その政治的な中立を文句なしにこなした脚本家に拍手を送りたい。現時点でIMDbだと★8.4の評価だけど、個人的には★9はあげたいかな。まだシーズン1だけだけど、時間を作ってでも見るべき作品です。

上でも述べたように、アメリカ人視聴者の初見の反応が知りたいですね。飲んでたコーラのボトルやポップコーンを床に落としたに違いない。

それでは〜


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