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Image by Vidmir Raic from Pixabay

fat って「太っている」の意味なので、サイズ的にでっかいし、数量的にも大きいのかなと想像できます。だから、fat salaryと聞けば、いい金額のお給料を貰ってるんだなとなんとなく予想できます。お財布が膨れてるイメージですね(笑)

しかしこのfat、表題のように「量が全然ない」意味で使われるパターンが実は2つあるんです。意外でかなり直感に反する使われ方。

辞書には反語とありますが、これを反語と推測することを誰ができるであろうか?(いや、できない)

ということで、どのようにこの「量無し」のfatが使われるのかを、海外ドラマの中でのシーンを通して見てみたいと思います。

Fat Chance / 見込み薄

直訳は太ったチャンス。チャンスがありそうですが、真の意味は反対もいいところ。

『ギルモア・ガールズ』から

ローリーは大学を休学し、そのため母親と対立し、祖父母の家でしばらくの間生活をしているところ。孫の誕生日ということで、祖母のエミリーは大きなパーティーを開いてくれます。そこに、母親のローレライとそのボーイフレンドルークが現れたのが下記シーン。お土産のチョコレート箱はルークの分までないので二人で分けてと言うエミリー。それにfat chanceとルークに言うローレライです。この場面の意味が分かるでしょうか? ローレライは分けるのは見込み薄、低い可能性と言っている、つまり「私は分ける気はない」と言っているんですね。

エミリー: Lorelai, you came. You're here. There's a chocolate box for you in the hallway.

ローレライ: Thank you, mom.

エミリー: Hello, Luke. I didn't know you were coming, I don't have a chocolate box for you. You'll have to share with Lorelai.

ローレライ: Fat chance.

Gilmore Girls/Season 6/Episode 7

『アーチャー』から

みんな大好きArcherから。乳がんのアーチャーはキーモセラピーの薬を飲んでいましたが、それが偽薬と分かって激おこ。その偽薬ビジネスを営んでいるマフィアのアジトに単独乗り込んでいきます。門の外で待つ同僚のラナは暇を持て余し、負傷して動けないマフィアの下っ端に話しかけます。一日フルスロットで自分の車を乗り回されてしまい、車が売れる可能性はfat chanceだと嘆いていますね。明らかにチャンスがないの意味です。

ラナ: I'm not mad at you, I'm mad at Archer. I've got two perforated eardrums and I guess I've just been... ...getting hotboxed all day in my car. Shit. Which I'm trying to sell, but fat chance now.

Archer/Season 2/Episode 9

(追記) A way with wordsで取り上げられていました。

www.waywordradio.org

A Fat Lot Of / 全然〜でない

a lot ofのfatだから相当量が多そうな響きですが、真逆も真逆。全然ありません。

『ビッグバン★セオリー』から

シェルドンは部下のアレックスが親友のレナードに気がある事、そしてレナードも悪い気がしていない事が気がかり。そこで、女性陣を集めてあくまで仮定と話とした上で、しかも匿名にしてそのことを話しますが、すぐにアレックスとレナードのこととバレます。レナードの恋人のペニーは激おこ。レナードはペニーに全てバレていることから、シェルドンを問い詰めます。シェルドンはと言えば、ペニーは全く役に立たなかったとだけで、レナードの気持ちはお構いなしです。この例のように、この構文の時は必ず倒置が発生します。調べましたが、倒置が発生しない例を見つけることは出来ませんでした。

レナード: Did you say something to Penny about Alex?

シェルドン: Yes, and a fat lot of good it did me. All she did was get mad at you.

The Big Bang Theory/Season 6/Episode 12

『ホテル・バビロン』から

昔ホテルの何処かに宝石が隠されたと聞いた従業員は宝探しをし始めます。アンナは地下に秘密の部屋を見つけ捜索中。そこに、他の従業員が遅れてやってきますが、君らは役立たずだったねとし、入ってくるなと追い払います。ここでも倒置発生。このようにgoodを使う例しか見当たりませんでした。

従業員: What is this place? What's down here? No idea. I've never seen it before.

アンナ: Well, a fat lot of good you were.

Hotel Babylon/Season 4/Episode 3

最後に

この量無しfatは使いこなすのは大変そうですが、意味だけはしっかり押さえておきたいところ。特にfat chanceはよくドラマで使われます。ちなみに、このfatを調べていたらあることを連想しました。昨今、企業が美味しくなった便利になったと謳いながら、裏で製品の内容量をこっそり減らすやつです。ポテチも袋はでかいけど、開けたら中身がないなんて、まさしく今回のfatって感じです(笑)