一線を越える人
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cross the lineは日本語でも全く同じ表現の「一線を越える」を意味します。一線は文字通りの国境などの実際の線も表せますし、我慢の限界や社会通念上許されるしきい値までなんでもOKです。それらをオーバーした時、この表現が使えるんですね。

それでは早速、海外ドラマでの使われ方を見てみます。

This Is Usから

This Is Usの最初のエピソードのケイトとトビーの出会いの場面。減量サークルに参加している二人。参加者の一人が、胃にホッチキスしないといけないかも、と言い出すと、トビーは笑いが抑えられなくなり、周りの参加者から睨まれます。でも、それを見てケイトはクスクス忍び笑い。その後の休憩中に、ケイトがコーヒーを淹れているとトビーが近寄ってきたのが下記シーン。みんなに嫌われたかなとしょげるトビーに、ケイトは、あなたは一線を越えたと正直に述べます。みんな真面目なのに笑っちゃダメですね。君も笑ってたじゃないかというトビーに、私は線の向こう側に住んでるからとは、素敵な返しのケイトです。つまり、端から越えているというわけ。

トビー: Hi. Boy, these people hate me.

ケイト: You kind of crossed the line.

トビー: Yeah, you laughed.

ケイト: That's because I live across the line.

This Is Us/Season 1/Episode 1

フレンズから

Make a Scene / 大騒ぎする - ドラマの中の英語 の続きのシーンから。レイチェルの上司は別の部下のソフィーを呼び、レイチェルが騒ぐ(make a scene)のを阻止しようとします。しかし、あろうことか、ソフィーが「私は別に気まずくない」とレイチェルに有利な発言をするや否や、上司は一線を越えて役立たずになったとし、出て行けと命令します。ここで、crossed the line intoは「一線を超えて〜に入る」というのが文字通りの意味。あなたは私の限界を超えて役立たずの領域に達したとかなり辛辣です。

上司: Sophie, get in here. You see? Now you're making Sophie uncomfortable.

ソフィー: She's not making me uncomfortable.

上司: Congratulations, you've just crossed the line into completely useless. Get out.

Friends/Season 4/Episode 9

上司: you've just crossed the line into completely useless.
『フレンズ』で、レイチェルの上司はソフィーに怒る
Friends [Credit: NBC]

SUITS/スーツから

ダニエルはジェシカと法律事務所を共同で立ち上げましたが、不倫をバラされて失脚します。その復讐に燃えるダニエルは、ジェシカの右腕のハーヴィーの失脚を画策。ジェシカがダニエルがやってることを非難すると、自分が一線を超えた時君たちがやったことだ、と敵意を明確にします。ここで、一線を超えたは不倫のことですね。

ジェシカ: I don't want what you did biting me in the ass.

ダニエル: You were already bitten. And the last time I crossed the line and you found out about it, it bit me in the ass.

Suits/Season 2/Episode 7

最後に

一線(the line)といっても人それぞれですね。海外ドラマだと、家族まで巻き込まれると一線を超えたと感じる人が多いようです。あとは、プライベートを大事にする人が、自分のプライベートをしつこく聞かれたら一線を超えた質問と感じるかもしれません。いずれにせよ、一線を越えると人間関係は悪化・敵対し合うのが王道。リアルでは一線を越えるのは是非とも避けたいものです。

言い過ぎた場合のout of lineと言う似た表現がありますが、それはまた別の機会で。