日本語題『ペーパーハウス』と英語題『Money Heist』

『ペーパー・ハウス(原題:La casa de papel)』はスペインから来た強盗ドラマ。「ネトフリの中で、英語以外の言語で視聴者を最も集めた」という惹句に惹かれて視聴したら、これがなかなか面白かった。原題や邦題の直訳が「紙の家」と言うのに対し、英語タイトルが「Money Heist(お金の強盗)」なので不思議に思ったら、英語には

paper house

無料招待客の多い劇場
英辞郎

というのが辞書にあって納得。既に別の意味があるから、直訳を使ってしまうと変なニュアンスが入ってしまうのね、多分。

『ペーパーハウス』で、造幣局の紙の模型
La casa de papel [Credit: Antena 3]

『ペーパー・ハウス』のあらすじ

ストーリーの大筋は、父の遺志を引き継いだ通称「教授」が仲間を募って造幣局を強盗するというもの。目的は造幣局滞在中にアシのつかない新札を刷りまくり逃げること。その額は3000億円だ。当然そんだけの金額を刷るためには、10日間ほど造幣局に滞在しなくてはいけない。ということで、教授は事前に様々なことを仲間と共に準備し、ありとあらゆる手を使って警察の足止めを行うことになるのだが・・・。リアルタイムとフラッシュバックを交えつつ、登場人物一人一人の心の揺れ具合を見事に描ききります。

『ペーパー・ハウス』の感想

あらすじを読んだ感じだと、教授と警察の高度な駆け引き・頭脳戦が見られると思うんだけど、このドラマ、そこがちょっと違うんですよね。登場人物全員(警察、人質含む)のIQが20高かったらその可能性はあったんだけど、残念ながら、みんな基本お馬鹿さん。自分の欲に忠実に動く(国民性か?)。そのため、悪い方へ悪い方へと事態が展開し、間延び間が半端ない。もうちょっとみんな利口だったら、エピソード数は半分になり、高度な駆け引き見れたのにな。そこが個人的に本当に残念、それ以外は文句無いだけに。でも、それが面白いと思う人がいることも分かるので、単なる嗜好の違いの気もするけど。

ただ、教授が集めた強盗団は許せん。特にトーキョー。お前はダメだ。禁じられた社内恋愛して、子供のように癇癪起こして、バイクで勝手に特攻してモスコーを殺しやがった。しかも最後はチャイナ服姿で現場から逃げるだと? 本当にプロフェッショナルなのかと小一時間問い詰めたい。他の連中、特に若い連中もほぼ同類。強盗を行う前に教授は5ヶ月間も合宿を行うのだけど、この人達なんかみんなプロじゃないんですよ。大学サークルの夏合宿のノリで、基本ウェイ系。夜はみんなでウェイウェイ盛り上がる。

そうなると、教授だけはマシかと思うじゃん? そうじゃないんだよね、残念ながら。この教授のダメなところは、5ヶ月もの間コイツラを観察していながらGoサインを出したところ。何を見てたんだ教授。その眼鏡は曇っているのか?と問い詰めたい。事前にコイツラの尻拭い策を練るのはいいんだけど、もっとマシな連中に置き換えるだけで、その準備の必要、全部なくなくなくね?と思うことが何回もあった(笑) まあ、そういった感情を持つのは全部作り手の思惑通りで、単に手のひらの上状態なのかもしれないけれど。

『ペーパーハウス』で、トウキョーが待ち構える
La casa de papel [Credit: Antena 3]

手のひらと言えば、個人的にムカつく二人の登場人物、造幣局のトップで人質となるアルトゥーロと警察側の担当捜査官ラケールの部下で元恋人(名前失念)も、明らかに視聴者を苛つかせようとしてる。最後、アルトゥーロがトンネルを掘るんだけど、警察官が出口で赤外線スコープのライフルで待ち構えているシーンがある。赤外線で感知されスコープに赤く浮かび上がるのは、小太りのアルトゥーロ。茶の間では、「撃て、はよ撃て、SWATよ、強盗と間違えたと言い訳できるのは今しかない!撃つんだ!」と歓喜の声が上がったのは想像に難くない。このアルトゥーロ、実は一回撃たれてるんだけど、ウザさ倍増だから、もう一発撃たれて欲しかった(笑) うーん、そういう意味で、やはり作り手の思うつぼなのかな。

スペインドラマは今回はじめてということで、アメドラにはない面白いお約束(trope)がいくつかあった。その中の一つが「銃口数多い方が勝ちの法則」だ。このドラマ、とにかく人に銃口を向けるのが好き。あなたは敵に銃口を向けられるとしよう。普通は両手を挙げて降伏するのだが、スペインでは簡単に諦めてはいけない。背中に隠してあった拳銃をすばやく抜き取って相手に銃口を向ければ、それでイーブンとなる。言ってる意味がわからないと思うけど、銃口数が1対1だからイーブン。でも、相手側に助っ人が一人現れ、銃口をこちらに向けられると、2対1で不利になる。しかし、その助っ人を羽交い締めにし、そいつの頭に銃口を突きつければ、再びこちらが有利になる。人質は1ポイントとして加算される(?)からだ。つまり、1対2となるわけ。そんな感じで次々と仲間が現れ、8人位が相互に銃口を向け合うこともザラ。一応、銃口を向ける時のポージングで芸術点はあるみたいだけど、でも最終的に物を言うのは銃口数。銃口の少ないほうが引き下がる。この法則を学べただけでも、このドラマを見た価値はあったと言っても過言ではない。スペインに行くときは、転ばぬ先の杖代わりにおもちゃの拳銃を持っていくことをお薦めする。見てないとこの段落はチンプンカンプンかも(笑)

『ペーパーハウス』で、銃口を向け合う
La casa de papel [Credit: Antena 3]

ストーリーはネタバレになるので詳しく述べないけど、造幣局の中でも外でも様々なことが起こった割には、最後はきれいに纏まったんじゃないかな。強盗側のとある二人の関係だけが自分は疑問ぐらい。IMDbでは現時点で★8.7だけど、個人的には★8はあげてもいいくらい。それくらいオススメ。それだけに、細かい欠点が気になると言ったところ。と思ったら、シーズン3やるみたいね。どうなんだろう〜

最後に英語について。字幕英語で視聴してたけど、何回も一時停止して字幕を”読む”必要性があったので、いかに普段音を聴いているかという気付きになりました。例えば、Lookというセリフがあれば、0.1秒で注意を集めているだけなのか、それとも見ろと言っているのかはアメドラだと分かるんだけど、字幕は読んでから理解しなくちゃいけないので、2〜3テンポくらい理解が遅れる感じ。やはり原語が英語じゃないと英語の勉強にはならないですね。それが分かっただけでも、儲けものでした。それでは〜