冷凍豆で患部を冷やす

海外ドラマを見ていてよくあるのが、登場人物が怪我・打撲などを負って至急患部を冷やす必要が出てくるパターン。日本なら当然アイスノンとか氷を使うんだけど、彼らは全然違うんですよ。冷凍庫に入ってる「豆の袋(frozen peas)」で冷やすんですね。アイスノン的な物が出てきた場面を見たことないから、あっちでは不人気なのか、そもそも存在してない?!(笑)

海外ドラマでの冷凍豆

『ブレイキング・バッド』では、腫れには凍った豆がベストというスカイラーですし

スカイラー: Frozen peas.
ウォルター: What?
スカイラー: It’s the best thing for the swelling.
『ブレイキング・バッド』で、ウォルターの腫れを凍った豆で冷やすように言うスカイラー
Breaking Bad [Credit: AMC]

『ビッグバン★セオリー』では、パイプカットしたハワードが手術後の痛みを冷凍豆で冷やすほど(笑)

ハワード: hanging out in bed with my wife, thawing out some frozen peas in my pants, living the dream.
『ビッグバン★セオリー』で、ハワード・バーナデットはパイプカットの患部を冷凍豆で冷やす
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

ちなみに、これがコメディだと、ここから更に一捻り(twist)があります。周囲から「冷凍豆で早く冷やせ」と言われますが、当の本人はよく分からずに冷凍豆の袋を開けてしまって、豆の中に直に手を突っ込んで冷やしたり(笑)

冷凍豆袋ノ効能

多分「凍った豆」の袋はアメリカのどの家庭にも置いてあるということなんだと思うけれど、実際のところ、これって医学的に効果的なんでしょうか?

その回答は、海外のヤフー知恵袋に載ってました。結論は、もちろん効果ありです。

Question: Is using frozen peas a good alternative to ice pack for bruises?

ベストな回答:

打撲・アザというのは、破裂した毛細血管によって生じる内出血の小さい場所のことなんだ。打撲部の上に何か冷たい物を置くことは、壊れた血管の収縮を起こし、出血を減じさせる。だから、氷嚢を使っても凍った豆を使っても、機能としては同じなんだ。

Best Answer:

A bruise is a small area of internal bleeding caused by ruptured capillaries. Placing something cold over the bruise causes constriction of the broken vessels reducing blood loss. The mechanism is the same for using an ice pack or frozen peas.

まあ、冷たいもので冷やせばいいんだから、冷たければ何でもOKってこと。でも、血管を収縮させて失血を防ぐためとは知らなかった。痛みを和らげる系かと思っていました。

「豆」でなく「肉」を使うパターン

個人的には、豆の袋の上からといえども食べ物を使うのは少し抵抗がありますが、次の『ギルモア・ガールズ』のシーンでは、目が腫れたローレライがステーキ肉を使おうとしてるので、それに比べればまだマシですね(笑)

ローリー: like a bag of frozen peas. It molds to the contour of your face.
ローレライ: But steak has actual healing properties. Something about the juices or the fats is good for the skin.
『ギルモア・ガールズ』で、目の腫れにローリーは豆、ローレライは肉を使おうとする
Gilmore Girls [Credit: The WB]

ここで、ローリーは冷凍豆の袋の利点として、顔の形にフィットすると言ってますので、これはナルホドかなと思います。

その一方、ローレライはステーキの効能として、肉汁や肉の脂肪が肌に良いことを挙げています。これ本当ですか?(笑)

そこで調べてみると、古今東西のテレビのお約束を集めたTV Tropesに「牛肉の絆創膏(Beef Bandage)」という記事で記載がありますね。ちょっと訳出してみましょう:

Beef Bandage

怪我しただって? なら、傷の上にステーキ1枚を乗せるんだ。

この「牛肉の絆創膏」は、キャラクターが生傷、通常目の青あざの上に生の厚切り肉(たまに、血が滴る)を乗せる時のお約束だ。ステーキが傷の腫れを止めるとか、肉が凍っていればアイスパックと同様に機能すると言われている。

この治療法の存在はテレビにおける稀な真実である。ただし、肉が冷蔵庫や冷凍庫から出したばっかしの新鮮だったり、プラスチック製ラップ内にしまわれていない限りお薦めはできないが。

Have an injury? Just slap a piece of steak over that wound!

The Beef Bandage is when a character applies a raw (and sometimes bloody) slab of steak over a fresh wound, commonly a black eye. It is said that the steak stops the swelling of the wound, or successfully acts as an icepack if the steak is frozen.

The existence of this treatment is Truth in Television, although it isn’t really recommended that you try it unless the steak is fresh out of the fridge or freezer, and sealed inside plastic wrap.

ということで、牛肉でもOKとのこと。凍っていれば氷嚢代わりなので、更に良し。

厚切牛肉ノ効能

でも、肉の効能はどれほどのものなんでしょう? 記事の続きに豆も含めて書いてありました:

Beef Bandage

ステーキを使う理由の背後には、一般的なステーキは柔軟性があり、目のくぼみにぴったし合うよう変形させられる事実だ。冷凍野菜の袋も時々同じ理由で使われる。今日では、多くの人々が冷水で濡らしたタオルを単に勧める。

The reason behind using a steak was the fact that steak in general is kind of flexible and would form to the contour of your eye socket. Bags of frozen vegetables are sometimes used for the same purpose. Nowadays, most people simply recommend a washcloth soaked in cold water.

ということで、結局ローリーと同じことを言ってますね。凍った豆の袋でもステーキ肉でも、患部に合わせて変形できるってのが大きいんです。だったら、アイスノ(略)

最後に

今回は冷凍豆で患部を冷やすお約束の調査でした。ステーキ肉も同じように使われるんですね。

一応、利点はその打撲部の形に合わせられる柔軟性でしたが、個人的に、なんかいまいちピンとこないんですよね。パンチが弱いと言うか。

もしかしたら、袋詰めの豆が作る適度な隙間と、豆の持つ水分の割合なんかが完璧に合致して、腫れを引かせるのに最適な環境になっている可能性はあるかもしれません(笑) あるいは、ローレライの肉汁が肌に良い説。夏休みの研究ネタにしたら面白いかも。興味を引く結果が出れば、絶対イグノーベル賞狙えますって。ぜひお試しあれ。それでは〜


冷蔵庫奥からの構図↓