容疑者を取調室で尋問している捜査官
いらすとや

海外ドラマに出てくる犯人落としテク「良い警官/悪い警官」

good cop, bad cop(良い警官/悪い警官)」は、海外の刑事ドラマなんかで容疑者を落とすときのテクニックの一つでお馴染みですよね。

典型的な例を述べると、容疑者がいる取調室に強面の捜査官が入ってくる。この人は体育会系出身の脳筋タイプの「bad cop(悪い警官)」。この役はとにかく容疑者を脅す。机を叩いたりしながら「お前を絶対ムショにぶち込む」、「おれはもう出世は諦めてるんだ。指の一本や二本折るのも厭わないぞ、前にも何本も折ってるんだ」、「白状しないなら、お前の家族が世間に顔向けできないようにしてやる」といった感じで悪い警官を演じ、数時間に及ぶ尋問と言う名の脅迫を行います。それが終わると、脳筋と入れ替わりに入ってくるのが温厚そうな引退間際の白髪ベテラン刑事「good cop(良い警官)」。「タバコでも吸うか?」と一本差し出しながら、「済まんかったな、脳筋刑事は今家庭が不和で荒れているんだ。お前さんも家族がいるんだろ? 田舎のお袋さんは元気か? 今回の件が長引けば引くほど迷惑がかかるぞ。俺が昔のツテで悪いようにはしないから、やったんなら白状しちまいな。カツ丼食うか?」と言った感じ(笑)で、先に出てきたbad copと180度正反対な手法で容疑者に取り入り、最終的には自白等をもぎ取るのが、この「good cop, bad cop」テクニックなのです:

good cop bad cop

尋問で使われる心理的戦略、一人の警官が脅す敵対者の役を演じ、もう一方が対象者との絆を設ける友達役を演じる。

A psychological tactic used for interrogation, involving one police officer playing the role of intimidating adversary, and another that of friend with whom the subject is encouraged to bond.

聞けば、誰でも一度は海外ドラマで見たことがあるシチュエーションです。でもこれって、別に取調室だけでなく、古くから家庭でも子供の躾に使われているテクだと思うんですけどね。父親がbad cop役でしかめっ面をしているけど、母親が後から「お父さんには内緒」と少し譲歩するパターン。これなんかもgood cop, bad copの変形なんじゃないかな(笑)

海外ドラマでの「良い警官/悪い警官」

閑話休題。

それでは今回も海外ドラマで「good cop, bad cop」テクニックが使われるシーンを見てみたいと思います。この良い警官・悪い警官という尋問テク、果たして効果はあるのでしょうか??

SUITS/スーツ

スポーツ番組リポーターが番組内でした発言(選手のステロイド使用)のため、そのスポーツ選手自身から訴えられる回。リポーターの弁護をすることになった弁護士ハーヴィーとマイクは、状況から勝ち目がないと考え、リポーターに番組内で選手に謝罪するよう説得します。その説得に良い警官・悪い警官の手法を使いましたが、うまくいかなかったようです。弁護士だって使うんですね。

マイク: Well. Looks like good cop-bad cop didn’t work.
『SUITS/スーツ』で、ハーヴィとマイクは良い警官・悪い警官を使うがうまく行かず
Suits [Credit: USA Network]

HOMELAND

ブロディをようやく捕まえたCIAは、元担当のキャリーを呼んできて尋問させます。その尋問を見守るソールとクインが会話を交わすシーンから。クインがナイフを持っていることに気づき、「そのナイフは何に使った?」と聞くソール。クインは「good copにはbad copが必要」と何かを示唆します。この意味は良い警官・悪い警官の手法を知ってれば簡単ですね。キャリーの尋問の前に、クインがブロディを締め上げたんですね。自分が悪役(bad cop)となって、キャリー(good cop)の尋問を成功させようという魂胆です。

ソール: What you did with the knife?
クイン: Every good cop needs a bad cop.
『HOMELANDで、クイン
Homeland [Credit: Showtime]

ギルモア・ガールズ

両親の家を訪れる前に相談する娘ローレライと孫ローリー。父が大丈夫で母エミリーが襲ってくるかもとローリーが言うと、ローレライは「良い警官と悪い警官」のようにねと混ぜっ返します(笑) 「if you know what I mean」は暗示する時の決り文句。皆さんは意味は既におわかりと思います。

ローリー: maybe dad will be fine, and Emily will be on the attack.
ローレライ: Yeah, a little good cop/bad cop if you know what I mean.
『ギルモア・ガールズ』で、ローレライとローリー
Gilmore Girls [Credit: The WB]

最後に

今回紹介した「Good Cop, Bad Cop(良い警官と悪い警官)」は、脅す役の警官と同情を得る警官の二人で容疑者を落とすテクニックでした。個人的に、このテクは既に広く一般に周知されていますので、効果が本当にあるかはちょっと疑問な感じ。

他にも、二人組凸凹コンビの捜査官が「今回は俺がgood cop役だ」、「いつもbad copばかりだから今回は・・・」と容疑者の尋問前に良い警官役を取り合うのも、海外ドラマではよくある光景です。みんな本心ではbad copにはなりたくないんですね(笑)

いずれにせよ、現実にはgood copもbad copもいなくて、単にbadass copがいるだけなのかもしれませんけどね。お後がよろしいようで(笑)

それでは〜


海外ドラマでの良いと悪いのもう一つのパターン↓