「Hero」の持つニュアンス

日本語の「ヒーロー」って「英雄」って意味ですし、スポーツで「活躍した選手」を「ヒーロー」インタビューしたりしますけど、英語の「hero」とちょっとカバーしてる範囲がズレている気がします。英語の「hero」にも英雄の意味はもちろんあるけど、あっちでは、ちょっとした勇気を出して悪に立ち向かえばそれだけで立派な「hero」なんですね。多分、日本語の「ヒーロー」には無いニュアンスだと思います。

例えば、不在と思って家に侵入してきた空き巣を、居合わせた主婦が手に持っていたホウキで逆襲すればhero。満員電車で痴漢が発生、その痴漢を捕まえ次の駅で車外に追い出した人もhero。周りから拍手される感じ。こんな感じで、必ずしも偉大なことをする必要はなく、地元の新聞の社会面に載るくらいの行為でOKなんです。自分も最初は、「へえ、それでhero?」と思ったものでした。

「コロナ禍」でのヒーロー

面白いのが、コロナ禍になって、医療関係者や、物資を運ぶドライバー、はたまたスーパーのレジまでもがヒーローになってるのが興味深いですね。ただし、口では「Hero」とは言うけど、マスクも与えず、給料も上げず、薄っぺらなHeroism礼賛には非難の声もありますけどね。

「Don’t be a Hero」の意味

それを踏まえると、「Don’t be a hero」のニュアンスがよく分かると思います。これは海外ドラマの中の悪役が使うコテコテ(cheesy)のセリフ。

銀行強盗が行員に「Don’t be a hero」と言うと、「スーパーヒーローみたいになろうとするな」ということではなく、「ちょっとした勇気を出して悪に立ち向かおうとするな」ということ。だから日本語訳は、「おとなしくしてろ」「妙な気を起こすな」という感じです。

それでは、このセリフが使われるドラマのシーンを見てみたいと思います。

『名探偵モンク』から

モンクの次のシーンは、駐車場で殺人が発生。警部が目撃者に事情聴取しています。ちょうど現場に居合わせた目撃者に殺人犯は「Don’t be a hero」とお約束のセリフを言ったようですね。額縁に入れて飾りたいくらい典型的(笑)

目撃者: he came at me with a knife, and he…he said something. He said, “Don’t be a hero.”
『名探偵モンク』で、殺人事件目撃者は「Don't be a hero」と犯人に言われる
Monk [Credit: USA Network]

『ビッグバン★セオリー』から

悪役以外が使うシーンも見つけました。これは、シェルドンの部屋に鳥が舞い込んだ回。鳥嫌いのシェルドンは、バーナデットが鳥に触れようとするのを見て「Don’t be a hero」です。ここなんてまさしく「妙な気を起こすな」ですね。

バーナデット: He looks friendly. I think he might be someone’s pet.
シェルドン: What? No, Bernadette. Don’t be a hero.
『ビッグバン★セオリー』で、バーナデットは鳥と仲良くする
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』から

ルートは逃亡中ですが、地下鉄車両内で身元を特定され、車中の一般人に取り囲まれます。「Don’t be a hero」というのが精一杯です。

ルート: Don’t be a hero.
『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』で、ルートは地下鉄車両内で一般人に包囲される
Person of Interest [Credit: CBS]

最後に

今回は悪役がよく使うセリフ「Don’t be a hero」を見てみました。日本語訳は「おとなしくしてろ、妙な気を起こすな」でほとんど合うと思います。英語が「ヒーローになるな」と否定形なので、日本語で同じような否定形の表現を探してみましたが、悪役が使いそうなのは見つけられず。「かっこつけるな」を考えたけど、悪役が言うかな?

さて、このフレーズを現実で使う場面ってあるんでしょうか? シェルドンの例のように、誰かが勇ましく何かをしようとするのを止める場面くらいかな。逆に、悪人・ギャングに言われた場合は、命令された通りおとなしくしているのがよさそうですね。ただし、皆さんに主人公属性があるのなら、悪人に歯向かって大丈夫かもしれません(笑)

今回の記事を書いていて思いましたが、日本語と英語でニュアンスが違う単語って結構ありますよね。そういうの記事にしたら面白いかもしれませんね。有名どころの「ジンクス」とか、個人的には「ファンタジー」が面白そうです。それでは〜


両方とも記事書きました↓

「Hero」を使った格言「Never Meet Your Heroes」↓