「Balls」の意味

ball」は「ボール」と既に日本語にもなってる球形な物体のことですね。念願の新築マンションを買って住みだしたら、なんか微妙に平衡感覚が狂うと感じ、もしやと床の上に置くとコロコロと隅っこに転がっていく例のヤツです(笑)

床の上に置かれたボール
Photo by Cory Woodward on Unsplash

今回紹介するのは、そのボールの複数形「balls」。ボールが複数ある場合に使われるのはその通りなんですけど、海外ドラマの中ではどちらかと言うと、「度胸・根性」の意味でよく使われます。

balls

(非可算、粗野、話し言葉)勇敢さ、度胸、図太さ、厚かましさ。

(uncountable, vulgar, colloquial) Bravery, courage, chutzpah, or brazenness.

英単語「balls」が何故そんな意味を持つのかは、ballsが「睾丸」を意味するからと言えば分かるかな。そう、だから複数形「s」が重要なんですね(笑)

男性諸氏は子供の頃父親に「それでもキン○マ付いてるのか?」って言われたことない? それって「物理的に本当に付いているのか」を聞いてるんじゃないですよね。「それでも男か」と言ってるわけ。この英語の「balls」もまさにそんな感じです。

でもこの「balls」が面白いのは、生物学的に「balls」を持ってない女性によく使われる点。日本では女性に「キン○マ付いてるのか?」は絶対言わないよね。でも英語では平気というか、ギャップを狙って意図的に使われたりするんです。そこが文化の違いで面白いところ。

それでは、この「balls」に関連した英語表現を海外ドラマの実際の例を通して、見ていきたいと思います。

「度胸、根性」の意味の「Balls」

『マーベラス・ミセス・メイゼル』の例

『マーベラス・ミセス・メイゼル』から。ミッジは自分の父親の前で漫談をするハメになってしまいます。しかも、父親と母親の性生活をネタにする始末。女マネージャーのスージーは「大した度胸だ」と「balls」を使って驚きます。ここなんかは、同意語の「guts」でも「nerve」でも良さそうなところですけど、敢えて「balls」にしてる感じ。

スージー: You said all that shit in front of your father? Wow, you have got balls.
『マーベラス・ミセス・メイゼル』で、舞台袖でミッジの舞台の成功を褒めるスージー
The Marvelous Mrs. Maisel [Credit: Amazon Prime Video]

『UnReal』の例

『UnReal』では、レイチェルが出演女性の心理を操るシーン。恥じらって動かない女性に「あなたにはballsがあると思ってた」と残念な口調で言うと、まんまと引っ掛かった女性は「ballsはあるわ」と行動を起こします。

レイチェル: I just thought, “Look at this girl. This girl, she has got balls.”
女性: I do have balls.
『UnReal』で、レイチェルは出演女性をそそのかす
Unreal [Credit: Lifetime]

形容詞「Ballsy」で「度胸のいい・根性のある」の意味

「balls」にはなんと形容詞まで用意されています。素敵☆。それがこの「ballsy」。ちゃんと複数形のballsに「y」が付いていますね。

『マーベラス・ミセス・メイゼル』の例

次も同じ『マーベラス・ミセス・メイゼル』から。上記シーンの後の場面。スージーがミッジが実際父親の前で喋った「両親の性生活」ネタを思い出し、「ballsy」と形容します。ここのheは父親、sheは母親のこと。

スージー: “Having sex with his mind so she didn’t have to think about his penis.” So ballsy.
『マーベラス・ミセス・メイゼル』で、両親の性生活ネタをしたミッジをballsyと褒めるスージー
The Marvelous Mrs. Maisel [Credit: Amazon Prime Video]

『フレンズ』の例

『フレンズ』では、バレンタインデーに恋人がロスのアパートを訪れると、レイチェルが居座っています。その理由を問い詰められると、ロスは「彼女は感情的で、でもballsy」と「ballsy」の際に握りこぶし付きで、何も出来ないことを伝えます・・・

ロス: yes, she’s emotional, but ballsy.
『フレンズ』で、ロスはレイチェルのことをballsyと言う
Friends [Credit: NBC]

『UnReal』の例

『UnReal』では、クインが仲介者を切って直接ビジネスをしたいという場面。テレビ局幹部はその行動(move)をballsyとします。

クイン: I want to cut out the middleman.
テレビ局幹部: Ballsy move, Quinn.
『UnReal』で、クインは上司に直々直訴する
Unreal [Credit: Lifetime]

イディオム「Grow a Pair」の意味は「度胸・根性を見せる」

最後にちょっとした応用例のイディオム「grow a pair」を紹介。このイディオム、pairが具体的に何のペアか述べられていませんが、感の鋭い皆さんならもう察しですね。はい、「睾丸」なんです(笑) そして当然、生物学的に睾丸を育てろと言ってるわけでもないですね。「度胸・根性を育てろ」と言ってるんです。だから、日本語だと「根性を見せる」って感じかな。ちなみに、「pair」自体は「おっぱい」のパターンもあります。

『ブレイキング・バッド』の例

次の場面は、『ブレイキング・バッド』で、ソウルがマイクに脅されてアタフタしてる場面。ストーリー上はガスが死んで、麻薬組織の主要メンバーが逮捕されちゃったところあたり。ウォルターはビビるソウルに「Grow a pair」です。ここの訳なんか「キン○マ付いているんだろ?」で全然問題ないですね。

ウォルター: Saul, Mike knows the business. He knows distributors. Mike’s okay.

ソウル: He’s okay? He said he was gonna break my legs. And don’t tell me he didn’t mean it, okay? Because he gave me the dead mackerel eyes. He meant it.

ウォルター: Saul, Mike threatened me. He threatened Jesse. He probably threatened someone before breakfast this morning. It’s what he does. Come on. Grow a pair.

ウォルター: Come on. Grow a pair.
『ブレイキング・バッド』で、ウォルターはソウルにマイクをどうにかするよう頼む
Breaking Bad [Credit: AMC]

最後に

今回は「睾丸」を意味する「balls」から派生した「度胸・根性」の「balls」とその関連表現を見てみました。上でも述べたように、「balls」は「guts」とか「nerve」で代用が可能です。今気づきましたが、「玉」繋がりで、日本語訳は「肝っ玉」でも良さそう(笑)

また、海外ドラマでは「balls」を持っていない女性を形容するのにも使われるのが面白いですね。

ちなみに、gutsに関しては以前記事を書いたので、そちらもどうぞ。

その記事の中の「〜する度胸がある」という意味の「have the guts to do」 という言い回しですが、当然今回紹介した「balls」に置き換え可能です。

You don’t have the balls to try.

Unbreakable Kimmy Schmidt

当然、nerveでも行けます。

You didn’t have the nerve to tell me back then.

How to Get Away with Murder

ま、「balls」は元々「睾丸」でちょっと下品な響きなので、使う時はご注意を。淑女の皆さんは避けたほうがいいかもね。でも、我こそはballsyと思う方は是非とも使ってみてください(笑) 『UnReal』のレイチェルやクインみたいな人ね。それでは〜


睾丸の「Balls」↓