『カルメン・サンディエゴ』の番組宣伝ポスター
Carmen Sandiego [Credit: Netflix]

痛快義賊『カルメン・サンディエゴ』

新しい海外番組でも見るかと週末探してたら見つけたのがこの『カルメン・サンディエゴ(Carmen Sandiego)』。女義賊が大活躍する痛快アニメだ。

どうもこのアニメ、ネトフリオリジナルとは謳っているものの、原作アニメやゲーム等が他にあるみたい。つまり、既にメディアミックス展開していた過去の作品を引き継いでネトフリが新たにリバイバルしたのが今回のこの『カルメン・サンディエゴ』のようだね。でもご安心を。冒頭2エピソードで過去のいきさつなんか(名前の由来・赤の理由・敵との関係等)は全てカバーされるから、『カルメン・サンディエゴ』の世界が初めの視聴者でもサクッとストーリーに入っていける親切設定だ。

『カルメン・サンディエゴ』の感想

そのストーリー自体は明快単純。赤の義賊女大怪盗カルメンが悪の秘密結社V.I.L.E.(バイル)が行う悪事をを阻止したり、彼らが盗んだものを盗み返すというもの。そこにカルメンとVILEを捕まえようとするインターポールの冴えない刑事ドヴィノー警部(ルパン三世で言うところの銭形のとっつぁん枠)が加わる三つ巴の争いが基本だ。実は、悪の組織VILEは昔孤児だったカルメンを拾ってエリート盗賊に育てた機関という因縁もあったりする。そして、VILE側が毎回送ってくるエージェントが元クラスメイトだったり指導教官だったりし、フラッシュバックと共に過去の因縁が物語に朱色の彩りを与えてくれるのだ。

『カルメン・サンディエゴ』で、カルメンとドヴィノー警部の対峙
Carmen Sandiego [Credit: Netflix]

そして、カルメンは当初一人ぼっちなんだけど、オンライン越しに彼女を助けるVILE修行時代からの付き合いのハッカーのプレーヤー、そして、カルメンと行動を共にし彼女を助ける姉弟アイビーとザックが加わり、物語が動き出す準備は既に整っていると言えよう。

自分は海外アニメは『アーチャー』や『リック・アンド・モーティ』なんかのブラックな大人向け作品が大好きなんだけど、この『カルメン・サンディエゴ』はそいつらとは180度正反対。汚い言葉遣いや暴力シーンは出てこないので、ピュアな中高校生でも問題なく見られる作品。そして面白いのが、ところどころ何故か妙に教育的でもあったりする。ストーリーは毎回世界の様々な都市で展開されるんだけど、その国の祭りや建物や気候や特産品なんかが冒頭に説明されて、それがストーリーに関係してくるといった感じ。たぶん子供向けなんだと思う。英語ができる高校生なら英語字幕でいけると思うんだけどね。つまらない教科書読んでるより断然面白いこと請け合いだ。

『カルメン・サンディエゴ』で、ブラジルのコルコバードのキリスト像
Carmen Sandiego [Credit: Netflix]

その英語だけど、このアニメ内の英語は国際色豊か。いろんなアクセントが出てくる。前述の銭形枠のドヴィノー警部はフランス英語だし、クラスメートの一人はオーストラリア英語と言った具合。また、毎回訪れる各都市ではそこの住民特有のなまりの英語が出てくる。だから、英語で見るにはちょっとハードルが高いかもね。まあ、いろんなアクセントに慣れる練習と思えば苦にはならないけど。

最後に、このアニメに出てくる男どもはなぜか単細胞の間抜けばっか。反対に、女性陣はカルメン含め聡明という変な傾向があるので、そういう性差に敏感な人は少し辟易するかもしれない。まあ、自分はほとんど気にならなかったけど。

と言っても、敵役で元指導教官のシャドーさんだけは異質な存在だ。根っからの悪というわけでもないんだよね。赤ん坊のカルメンを拾った描写があるので、過去にカルメンと何かがあったのかもしれない。これは、シーズンが進んでいくと判明してくるところだと思う。ちなみに、このシャドーさんは英語だと「Shadowsan」となっていて、なんか「さん」まで含めて名前っぽく表現されている(笑)

『カルメン・サンディエゴ』で、シャドーさん
Carmen Sandiego [Credit: Netflix]

ところで、シャドーさんと言えば、このアニメと時を合わせて出た小説「Who in the World Is Carmen Sandiego?」をアニメ視聴後に購入してみたんだけど、その中でシャドーさんが「忍者」になっていたのには笑った。日本人からすれば明らかに「侍」なんだけど、外国人には忍者と侍の区別なんて正確につかないのかもしれない。なお、この小説はアニメの内容を踏襲しつつディテールを文字にしたって感じなので、アニメを見てから読むとすごくいい英語の勉強になると思う。

現在公開中の最終エピソード9話でクリフ・ハンガーが用意されているので、それ以降に公開されるエピソードでもカルメンの活躍が期待できることは確かかな。一応、ネトフリは既に20エピソード発注済らしいので、少なくとも残り11エピソードは楽しめるってわけ。うーん、残りエピソードもはよ来い。それでは〜