英語「Fantasy」が持つ日本語「ファンタジー」にない意味とは
広告
日本語と同じ意味の「Fantasy」
英単語の「fantasy」の意味は日本語にもなっている「ファンタジー」です。ヤング・アダルト向け小説や、Finalと言いつつなかなかFinalにならないRPGなんかでもお馴染みの単語ですね。
でも驚くことに、英語の「Fantasy」は日本語のものより意味合いがかなり広いんです。
例えば、
ドラゴンや魔法
は当然Fantasyです。これはOK。じゃあ、
女の子がいつか白馬に乗った王子様が迎えに来ると思っている
のはどうでしょう? これも英語ではFantasy。ここまではギリギリ許せる感じ。
日本語にはない「Fantasy」とは
でも次はどうでしょう?
トランプ米大統領がメキシコとの国境に壁を作ろうとしてる
これも実はFantasyなんです(笑) 日本語の持つ「ファンタジー」のイメージからすると、えー!?って感じだと思います。だって現実世界の泥臭い壁建設の話ですよ。どこにも攫われたお姫様は出てこない。どうしてこれがFantasyになりえるのか・・・。でも実際、大統領はそうやって反対派から批判されているんです:
つまり、英語のFantasyには「幻想」とかの他に「夢物語、現実的でないアイデア」という意味があるんですね。この後者が日本語の「ファンタジー」にはないニュアンス。使われ方は、通常誰かの意見や考えを批判するときが多い感じです。実際、上記トランプのニュースでも、トランプの案を現実的でないと否定するのに使われています。
そして、海外ドラマでもこの意味でのfantasyは頻繁に出てきます。
海外ドラマでの「Fantasy」の例
『HOMELAND』から
次の『HOMELAND』からはCIAキャリーと二重スパイのブロディの会話。ブロディがイランに直接侵入し内部から工作活動を行うと言うのに猛烈に反対するキャリー。その理由は恋心だけではありません。生きては戻れない片道切符と知っているからです。それでもブロディは「君が助けてくれるさ」としますが、キャリーはそんなのはfantasyと現実では起こらないことを示唆します。
キャリー: No, don’t say that! Do not put that on me. It’s a fantasy.
『SUITS/スーツ』から
他にも『SUITS/スーツ』の場面では、どんなfantasy landに住んでたんだ?と「相手の考えが現実的でない、頭の中がお花畑」というニュアンスで使われています。これなんか相当手厳しい響きですよね。
『刑事コロンボ』から
『刑事コロンボ』では、殺人を隠匿したカップルが第三者から犯行写真で脅されるエピソード。女性はお金を渡して写真を取り返せば解決と思ってますが、男はそのアイデアはファンタジーの世界だけで通用すると述べます。つまり、現実的ではないんですね。二度三度とお金を強請られますから。
男: Yeah, that’s the idea. In fantasy land.
最後に
ということで、英語の「Fantasy」には日本語の「ファンタジー」より幅広い意味があることが分かっていただけたかと思います。相手のアイデアが現実的でないと非難する際に使われるんですね。ちなみに似た表現に泡のbubbleというのもありますが、こちらはまた別の機会に取り上げたいと思います。
それにしても、日本語語彙にFantasyが入ってきた時に等身大のまま輸入されていれば、こういった微妙な違いで苦労することはないんですけどね。まあ、個人的には、その違いが面白かったりしてこのブログやっているのですけど。
それでは〜
広告