シットコムでの2つの笑い

シチェーションコメディことsitcom内の笑いって2種類(もっと?)ありますよね。一つは「登場人物Aが冗談を言って登場人物Bが笑うのと同時に視聴者も笑う」パターンと、「登場人物Aと登場人物Bは笑かすつもりはなく必死なんだけど、その状況が神視点の視聴者には面白い」パターン。

今回取り上げる「I said name one」ネタは後者の笑い。それを見てみたいと思います。

動詞「Name」の意味

まず、動詞「name」 の説明から。nameって学校では「名付ける」って意味で習ったと思います。第5文型SVOCとか習った辺りかな。でも海外ドラマでは「名付ける」の意味ではほとんど出てこないんですよね。通常、名前は既に付けられていますから(笑) それでは、nameはどんな意味でよく出てくるのか? それが

「名前を列挙する」

なんです。家族構成を聞かれて

父のたろう、母の花子、兄がいちろうで、妹が妹子・・・

と名前を挙げるこの行為そのものが動詞「name」なんですね。

これは人名でなくても構いません。都道府県名を言えるかでもOK。実際sitcomフレンズでは「アメリカの全部の州の名を列挙できるか」ゲームをした回がありましたっけ。

チャンドラー: We’re playing a game I learned. You have to name all the states in six minutes.
『フレンズ』で、チャンドラーは州の名前を全部挙げられるか競う
Friends [Credit: NBC]

ここを「名付ける」にしたらおかしいですよね。だって、州には既に名前はあるんですから。全て州の「名を挙げる」が正解です。

「Name It」で「挙げてみろ」の意味

さて、この意味の動詞「name」を使ったよくあるフレーズに、「Name it.」というのがあります。それ(it)を言ってみろ(name)というニュアンス。例えば

-お願いがあるんだけど・・・

-Name it.

なんかが典型的。カジュアルな響きですね。

医者: Let me just do a quick workup. Free of charge.
患者: One condition.
医者: Name it.
『グッド・ウィッチ』で、無料の診察を提供する
Good Witch [Credit: ITV Studios]

さて、ここまで来れば、学校で習った 「name=名付ける」の呪縛から開放されたかと思います(笑)

「I said name one」ネタ

それでは本題の「I said name one」に行きましょう。これを直訳すると、「一つ挙げろと私は言った」ですね。実際使われている場面を見てみます。

『ビッグバン★セオリー』での例

次は『ビッグバン★セオリー』の一場面から。シェルドンが狂った妄想によく取り憑かれることを親友のレナードが指摘します。すると、Name one time…一つそうなった例を挙げてみろとシェルドン。レナードは次々とnameしていきます。ゴミにGPS追跡装置を付けたとか、チキンナゲットが人肉と確信してたとか、奇妙な形の雲に追われてると思ってたとか・・・。すると、シェルドンが「I said name one.」と逆ギレ。一つって言ったのに複数例を挙げられたからですね。最後にレナードに苦言を呈します「リスニングスキルをどうにかしろ」と(笑)

レナード: Sheldon, you do this all the time. You fixate on some crazy idea and then blow it way out of proportion.

シェルドン: Name one time I’ve ever done that.

レナード: How about when you put GPS trackers in your garbage because you were convinced North Korean spies were stealing your doodles. The chicken nuggets you were sure were human nuggets. The strangely-shaped cloud that was following you around town. The time you put on my shirt and were convinced you’d started growing again.

シェルドン: I said name one. You really need to work on your listening skills.
『ビッグバン★セオリー』で、レナードに言い負かされるシェルドン
The Big Bang Theory/Season 5/Episode 2

これが「I said name one」お約束の全貌です。こうしてみると、別に難しいところはありませんね。 「name one」って言ったのに「name many」されてブチ切れて、笑いになるだけです。

『フレンズ』での例

次はsitcomの『フレンズ』から。この回はいわゆる振り返り回。大部分は過去のエピソードからの寄せ集めです。ジョーイが主役を狙ってるドラマのオーディションスケジュールの変更の連絡を受けたチャンドラーは、そのことを当の本人に伝えるのを忘れてしまいます。そのことでジョーイはオーディションに落選し大激怒。チャンドラーがジョーイだって過去色々やらかしてると反論すると、ジョーイは「Name one!(一つ挙げてみろと)」とします。複数の過去の回想(ジョーイやらかしちゃった集)が流れた後、「I said name one!」と憤慨するジョーイでした。上で紹介したTBBTと全く同じ構図なのが分かります。

チャンドラー: But you’re not perfect. You’ve made errors in judgment.

ジョーイ: Name one!

(ジョーイ失敗集回想)

ジョーイ: I said name one!
『フレンズ』で、一つ挙げてみろと言われ複数挙げられてしまうジョーイ
Friends/Season 6/Episode 20

最後に

今回は「I said name one」というsitcomのお約束ネタの説明でした。動詞「name」の意味さえ抑えておけば、普通に笑えるはずです。

ところで、友達に「私の嫌いなところ一つ挙げてみて」とお願いして、「クサイ、ブサイク、チビ、デブ・・・」と複数指摘されたら、もちろん「I said name one!」と怒った感じで言ってあげましょう。周囲にその場面を見ている人海外ドラマ通がいれば、クスリとするかもしれませんね(笑) いや、日本語じゃ笑えないかな。それでは〜