Person of Colorの「of color」と「colored」

アメリカのニュースを見てるとよく出てくるのが「person of color」。つまり、白人に対しての有色ってことで、黒人からアジア人までの非白人全部入ってるみたい(*最後に注意書き)ですね。白人が人口の多くを占めるので、これらの人種はアメリカではマイノリティでもあります。

この表現って個人的に結構興味深いんです。まず、後ろから「of color」としてる点。何も知らない私なんかは「colored」と形容詞を使っちゃいそうですけど、なんかそっちは差別語になってるっぽいですね

Colored

21世紀においては、「colored」は一般的に侮辱的な用語と見做される。

In the 21st century, “colored” is generally regarded as an offensive term

その代わり使われるのが今回取り上げた「of color」みたい:

of color

(主にアメリカで)非白人、白人以外の人種。例えば黒人。

(chiefly US) Nonwhite; of a race other than white, for example black.

「of Color」のバリエーション

もう一つが、person以外にも適用できる点。

  • people of color(複数形)
  • mother of color(母)
  • woman of color (女性)
  • men of color(男達)

といった感じ。

人種差別に絡んだ事件なんかが発生した時に、白人との違いを明確化する場合によく使われます。

「Of Color」の語源

さて、この語源については上記記事に詳細がありますね。1990年代に入って盛んに使われ始めたようです:

of color

語源

アメリカで1700年代終わりから人種が混じったカテゴリーの人々(一部黒人、一部白人)に対し使われるようになったことが裏付けられている

このフレーズは1800年代、1900年代をと通じて時折使われ続ける、特に1963年マーティン・ルーサー・キング・ジュニアによって使われ、その辺りで現代的意味が形成されて始めた。

1970年代以降黒人活動家によって使われ(例えば、1977年の国際女性大会で黒人女性によって「women of color」が使われる)、1990年代には幅広く使われるようになる。

Etymology

Attested since the late 1700s, initially in reference to a category of mixed-race (partially black, partially white) people in the Americas;

The phrase continued in occasional use throughout the 1800s and 1900s and was used by e.g. Martin Luther King Jr. in 1963, around which time its modern meaning began to take shape.

Use by black activists picked up from the 1970s (e.g. black women who used “women of color” at the National Women’s Conference in 1977) onward, reaching wide circulation by the 1990s.

海外ドラマでの「of Color」

なお、上でニュースで出てくるとしましたが、海外ドラマにももちろん登場しますね。寄り道して、それをちょっと見てみます。

『リック・アンド・モーティ』では「Heroes of Color」

ヴィンディケーターというスーパーヒーロー達に招集されるリックとモーティ。でも、ヒーローの3人が既に死んでいました。リックはその3人を「heroes of color」と呼びます。ちなみにここは、映画『スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)』のオマージュみたいです。多分、Lady Katanaは名前から日系ですね。他の二人もpeople of colorであることが伺えます。

モーティー: A bunch of them got killed, too. They lost Lady Katana, Calypso, Diablo Verde…
リック: they wanted to not need me so bad they murdered three innocent heroes of color
『リック・アンド・モーティ』で、殺されたスーパーヒーロー達のことを話すリックとモーティ
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

『スーパーガール』では「Humans of Color」

『スーパーガール』にあった「humans of color」というのは面白い言い回し。肌の色なんて千差万別の宇宙人と戦ったいるのに、肌の色を気にする地球人という皮肉。

Many of the pioneers of rock ’n’ roll were humans of color who did not receive the fame or fortune their white counterparts did.
『スーパーガール』で、つかの間の平和を楽しむ
Supergirl [Credit: CBS]

『ビッグバン★セオリー』では「Person of Color」

地質学の白人バートにオタクメンバーが居なくなったら、グループに入るのは君がトップ候補と言うシェルドン。でも、ラジだったら「person of color」とはポリティカル・コレクトネス(PC)を考えてますね(笑)

シェルドン: But if anybody drops out, you are at the top of the list. Well, unless it’s Raj, in which case we’ll probably get a person of color.
『ビッグバン★セオリー』で、ラジの場合は他の非白人と入れ替えるとするシェルドン
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

白も立派な「色(color)」じゃんという屁理屈

さて、この「person of color」という表現ですけど、重箱の隅をつつくことが好きな人はこう思うかもしれません。

「白」だってカラーなんですけど、なんで外してんのよ?

って(笑)

でも頑張って調べたら、このことは海外ドラマでも言及されていました。アジア人女性が「私がwoman of colorで問題であることは承知してます」と言うと、白人女性が「問題ないわ、白もカラーだから」と返す以下の場面がそれ。こういうウイットに富んだセリフはしっかり意味を捉えたいですね。

アジア人女性: Look, I’m not gonna pretend I don’t know these things, that you have a problem with me… Because I’m a woman of color.

白人女性: I don’t have a problem. Uh, white is a color.

American Crime

最後に

以上、こんな感じで使われる「person of color」に代表される「of color」の紹介でした。

ニュースの議論なんかで頻出のボキャブラリーかな。意味は、白人に対応するそれ以外の有色人種(非白人)、、、と思ってたんですけど、今調べると定義が結構あやふや?! ↓誰がperson of colorの資格があるかで議論

“Asians are NOT people of color and never were. Don’t even try it,”

あら、この人的にはアジア人は違うんかーい!(笑) 面倒くさすぎる。

まあ、絵の具から肌色が差別で消えたとかいう話もありましたから、こういう意識は時代と共に変わっていくんでしょうかね。それではー


「colored people」と言う言い回し↓