「At Large」の語源

at large」は海外刑事ドラマではおなじみのイディオムですね。というのも、犯人は基本的には番組終了10分前くらいに捕まるのがお約束なので、それまでは基本的にはat large(逃亡中で) なのですから(笑)

一応、番組冒頭にわざと捕まって、警察署の留置所から証拠品なんかと一緒に抜け出すパターンもありますが、それも結局抜け出すのでat largeになります。

『黒尽くめの泥棒が逃走』
Image by mohamed Hassan from Pixabay

でも、ここで少し立ち止まって冷静にこのイディオムを考えてみると、そもそも なぜlargeに「逃亡中」の意味が出てくるのか全く分かりませんよね? 「大きい」とかそういう意味じゃなく、何故よりによって「逃亡中」??

英語ネイティブも全く同様の疑問を持つようで(我々日本人だけではない(笑))、英語に関する質問を言語学者が答えるポッドキャスト『A Way with Words』でも「at large」の語源に関する質問⤴️がされていました。

詳しい内容は上記ポッドキャスト(英語)を聞いて頂くとして、簡単に言うと、フランス語の「自由度がある」から由来したのだそうです。ある特定の場所に制限されるのではなく、そこから離れた場所に自由に行ける。そういう意味で、ポッドキャストではこのイディオムのlargeは、物体の物理的な大きさの意味でなく、距離的な大きさの意味と言ってますね。だから、at largeな人は距離が離れてるってわけ。

実際、今でもフランス語「large」には、この離れるニュアンスがあるんだそうです。実際グーグルで翻訳してみると、voilà(じゃじゃーん、フランス語だけにw)

グーグル翻訳でフランス語「au large」を日本語へ翻訳
au large: Google Translation

といった感じで、オフ(off)が出てきます。やっぱり離れているニュアンスなんですね。

海外ドラマでの「At Large」使用例

それではここで、海外ドラマでのat largeの使われ方を見てみます。

プリズン・ブレイク

まずは『プリズン・ブレイク』のシーンから。ドラマ内のTVでアナウンサーが、脱獄した4人がまだ逃亡中とイディオムat largeを使って言っています。ちなみに、フォックスリバー刑務所から脱獄した4人がフォックス・ニュースで取り上げられている構図です。もちろん、プリズン・ブレイクを放映したのはFoxです(笑)

アナウンサー: now down to four, as only Benjamin Miles Franklin, Fernando Sucre, Charles Patoshik and Theodore Bagwell remain at large.
『プリズン・ブレイク』で、マイケルたちが脱獄したことを報道するフォックス・ニュース
Prison Break [Credit: Fox]

メンタリスト

お次は『メンタリスト』。リズボンは上司に事件の進捗を報告中。容疑者が逃亡中であることをat largeで言います。

リズボン: We have a suspect at large by the name of Wesley Blankfein.
『メンタリスト』で、リズボンは上司に事件の進捗を報告
The Mentalist [Credit: CBS]

逃亡中の他の言い方「On The Lam」

ちなみに、「逃亡中」のイディオムは他にもありますが、ここでは「on the lam」という成句をついでに見てみます。

次の新聞はNetflix海外ドラマ『モニー・スニケットの世にも不幸なできごと』中で出てきたもの。ボードレール三姉弟妹が逃亡中なのを「on the lam」としています。

『モニー・スニケットの世にも不幸なできごと』で、新聞上のボードレール三姉弟妹が逃亡中の記事
A Series of Unfortunate Events [Credit: Netflix]

ただし、「on the lam」は海外ドラマでは「at large」の半分くらいの出現頻度だったので、覚えるならat largeの方がいいかもしれませんね。

最後に

今回は、「at large」がなぜ「逃亡中」を意味するのかを見てみました。

結局、語源がフランス語なので、現在の英語の「large」が持つ意味とは関係ないという感じです。でもこういうのって、英語学習者にとっては滅茶苦茶紛らわしいんですけどね。だって、「それじゃあ逆のタイーホはat small?」とか考えてしまうじゃないですか(笑)

まあ、それが言語学習の面白い所だったりしますよね。

それでは〜