notは会話では非常に便利な単語で、not直後の語句を否定することができます。「not ○○」なんて頻繁に出てきますよね、文法書なんかでは1ページも説明に割いてないのにもかかわらず。

でも、よくよく考えてみると、文法書は文法を網羅している辞書のようなものですから、「文法書で説明に割かれたページ数」と「日常会話で出てくる頻度」は全く相関がないんですよね。何アタリマエのこと言ってるの?って感じですけど(笑) こういうのって意外と盲点。

今回は、海外ドラマで使われるこのnotの典型的パターンを見ていきましょう。

今はダメ

最も登場するのが、この「今はダメ、今回はダメ、今日はダメ」のパターン。おもちゃ屋の前で駄々をこねる子供と母親が典型的でしょうかね:

子ども: ママ、あれ買ってー

母: Not today!

今日はだめ。でもこれって「絶対買ってやらない」とまでは言ってないのですよ。今日はだめってだけ。だから、明日ならOK・・・やっぱ明日もダメだな(笑)

それでは、海外番組での使用例を見てみます。

ビッグバン★セオリーから

ペニーは女優目指してチーズケーキ・ファクトリーで働いていますが、女優のキャリアとして成し遂げたことの一つに「痔のコマーシャル」があります。そのCM内の娘ペニーと母の会話にこのnotが使われていました。こんなところから取ってくるの、うちのブログだけだな(笑)

母役が馬に乗る準備ができたか聞くと、娘役のペニーが「Not today.」。痔なんですね(笑) ちなみに、act upは句動詞で「病気が再発する」の意味。ここのところ落ち着いていたのに、ぶり返しちゃったんです。

母: Ready to ride?

ペニー: I don't think so, Mom. Not today.

母: Oh, sweetie. Hemorrhoids acting up again?

The Big Bang Theory/Season 5/Episode 1

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The Big Bang Theory [Credit: CBS]

ファイナル・スペースから

シーズン2の日時が決まったファイナル・スペースでは、物語も最終盤、ゲイリーと悪の提督ロード・コマンダーの一対一の対峙のシーン。

ロード・コマンダーの念力に押されるゲイリーですが、正義は最後に勝つと踏ん張ります。しかし、ロード・コマンダーは冷たく「Not this time」です。

ロード・コマンダー: I want you to experience the same pain you put me through. A slow, painful death.

ゲイリー: You don't get it, do you? The good guys win in the end! They always do.

ロード・コマンダー: No. Not this time, The Gary.

Final Space/Season 1/Episode 10

私じゃない

もう一つおなじみなのは、代名詞などの人の前に付けて「<人>じゃない」のパターン。後で食べようと冷蔵庫に取っておいたケーキが無くなっているのを見つけた姉が妹に尋ねます:

姉: 冷蔵庫の私のケーキ食べたでしょ?

妹: Not me.

だいたい口の端っこにケーキのクリームを付けながら言うんですけどね(笑)

それでは、このパターンも海外番組から拾ってみます。

マーベラス・ミセス・メイゼルから

メイゼル夫人の父と母の会話。娘と孫が居るんだからもう一つテレビを買おうとする母と、それを拒否る父の図です。

母: I want her to be happy here. I want it to be a nice stay for her and the children. What's the harm in getting a second TV?

父: No.

母: We can afford it. And it would make everything so much calmer.

父: I am not a two-TV set sort of man. Maybe other people have two TVs. Maybe Jack Paar has two TVs. But not me.

The Marvelous Mrs. Maisel/Season 1/Episode 4

SUITS/スーツから

会社で一夜を明かしたのか聞くハーヴィー。マイケルは資料作りで徹夜したことを匂わします。ハーヴィーはスーツをどうやって入手したか確認。マイケルは同僚のレイチェルからと初め言いますが、これだとマイケルとレイチェルが付き合ってるように響きます。そこで、正確を期すため、彼女のジェニーが会社の下まで持ってきてくれてレイチェルに渡したと訂正し、「Not Rachel」と再度強調です。

ハーヴィー: Did you sleep here last night?

マイケル: I wouldn't exactly call it sleeping.

ハーヴィー: Where did you get that suit?

マイケル: Uh, Rachel. No, I mean, Jenny gave it to Rachel downstairs. She slept over last night. Jenny did. Not Rachel.

Suits/Season 1/Episode 10

最後に

今回の後続否定のnotを使う時のポイントは「not ○○」と手短に言う感じでしょうか。

例に出したnot todayのように、時を表す表現を否定することが多いですね。でも、本当に何にでも適用可能です。

Not since last century.

Homeland/Season 2/Episode 9

と言えば、前世紀からではないってことだし。

海外番組を英語で見てれば、このnotはすぐ出てくると思います。