「Buck」が持つ2つの重要な意味「ドル」「責任」とその語源
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「Buck」の意味
「buck」にはいくつか意味があるのですが、海外ドラマの中では主に2つの意味で登場するので、今回はそれを見ていこうと思います。
buck
- (アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、くだけて)1ドル(100セント)。
- (アメリカ、特定の比喩やフレーズで)非難、責任、スケープゴート、責任追及。
- (US, Australia, New Zealand, Canada, informal) A dollar (one hundred cents)
- (US, in certain metaphors or phrases) Blame; responsibility; scapegoating; finger-pointing.
ドル
この意味を知ってるか知らないかって、海外ドラマを英語で見たことあるかどうかに大きく依存しそう。そのくらいお馴染みです。調べたことないけど、多分海外番組の中では、dollarとbuckの出現頻度は同じくらいじゃないかな。日本人的にも、ダラーよりバックの方が言いやすいと思うんだけど、どう? 苦手な/l/の音無いし(笑)
次の『ベター・コール・ソウル』では、テレビのコマーシャル枠の値段をbuckで言うジミーです。このように複数形のときはsが付いて「bucks(バックス)」になるのには注意。
責任
どうもbuckにはポーカーの「親を表す物」の意味があるみたいですね:
buck
ポーカーで誰の順番かを知らせるためプレイヤーの前に置かれる物。
an article placed as a reminder before a player whose turn it is to deal at poker.
つまり、昔は小さい物(マッチ箱とか)を前に置いて、ポーカーのゲーム中に誰が親なのか分かるようにしたんですね。そして、ゲームが進んで親が交代すると、その物体も一緒に次の親の元へ移動という感じ。だから、buck=ポーカーの親=責任という意味が出てきたんです。
さて、この意味でのbuckが面白いのは、この親がコロコロ代わる様を責任のたらい回し・転嫁に見立てるんです。皆さんも、役所なんかに問い合わせをして、「その件は別の部署へ・・・」、次の担当者も「その件なら別の部署が担当・・・」とたらい回されたことありませんか? この状況がまさに、マッチ箱のbuckが次から次へと回されている感じなんです(笑)
だから、
The buck stops here.
と言えば、「マッチ箱のbuckはここで止まる=俺が全部責任を取る」という意味になるんですね。マッチ箱を次に回さないってこと。
この意味でのbuckの使われ方は『ハウス・オブ・カード 野望の階段』にありました。副大統領フランクが検察から部下の行動で追求を受けるシーン。責任を他人になすりつけず自分が取ると「The buck stops with me」で言います。ここは話題がカジノでもあるのがポイント(笑)
検察官: You had no knowledge he was going to the casino?
フランク: None. But that doesn’t mean I don’t take full responsibility for my staff’s behavior. The buck stops with me.
このように、政治なんかのコンテキストでこのパターンは使われる印象が多いです。
というのも、語源は33代アメリカ大統領トルーマンが使って有名にしたからですね:
the buck stops here
語源
ハリー・トルーマンにより有名に。このフレーズはポーカーから来た隠喩「passing the buck」に基づく、意味は「非難を渡す」
Etymology
Popularized by US president Harry Truman. The phrase is based on the metaphorical expression passing the buck, derived from poker gameplay, that came to mean “passing blame”
実際、ネットの掲示板redditなんかでも、政治系のニュースでわりかしよく出てきます。
逆に言えば、the buckを他人にpassすれば、責任をなすりつけている意味になるのは明らかですね。
次の『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』では、工具箱からスクリュー・ドライバーが失くなったのをクレイジー・アイズのせいにされるシーン。私に責任転嫁するのかとpass the buck on meを使って激怒するクレイジー・アイズです。
クレイジー・アイズ: I already told you, I don’t have it.
看守: I put her in charge of the tools, it’s her fault.
クレイジー・アイズ: Yo, don’t be tryin’ to pass the buck on me, it’s your fuckin’ job. I’m just a monkey in a cage, remember?
(追記)海外ドラマのツイン・ピークスにも出てきました。
この記事を書いた翌日に #ツイン・ピークス を見てたら、「THE BUCK STOPPED HERE」が出てきて驚いた😲 ムショ帰りのオニイチャンがいじってるサイコロ🎲っぽいのがbuckなのかな? それにしてもやばい、自分何か受信しだしたかも・・・ pic.twitter.com/saGiZ3Gxou
— insanely serendipitous (@drama_eigo) July 7, 2019
最後に
今回は海外ドラマで出てくる「buck」の意味を見てみました。お金のドルの意味があるのは絶対覚えて欲しいのと、余力があったら責任関連も覚えたいですね。英語のスピーチとかで使えないかな? それでは〜
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