That’s not gonna happen. Not on my watch.
『コミ・カレ!!』でアベット
Community [Credit: NBC]

「Not on My Watch」の意味

Not on my watch!」は海外ドラマで本当によく出てくるイディオム表現。日本語訳は「俺の目が黒いうちはやらせはしない!」と辞書にあります。

何故こんな意味になるかですが・・・

実は、ここのwatchは「腕時計」ではなく「監視」の意味。それ故「俺が監視している限りやらせない!」「俺の監視下では起こさせはしない!」という意味合いになるんですね。

ちなみに、辞書には「on one’s watch」という一般的な意味が載っています:

on one's watch

(主にアメリカで、イディオム的)人が権限や責任ある位置に着いている間。

(chiefly US, idiomatic) During the period of time when one is in a position of authority or responsibility.

監視するってことは監督する立場、つまり責任者ってことですね。子供が公園で遊んでいるのを監視する人は責任を負っているのです。

ブランコで遊ぶ親と子
Image by feeeling_blue from Pixabay

ただし、「Not on my watch」は実際の責任者でなくても使われるフレーズです。 映画や海外ドラマでは正義の味方がよく使うイメージ。

例えば、悪の組織から主人公の元へ挑戦状が届きます。曰く「美術館からピカソの絵を盗む」。そこで主人公がポツリ呟くのです「Not on my watch!」。つまり、これは「俺が居る限り(監視している限り)盗ませはしない!」という決意表明なんですね。

監視の「Watch」

ちなみに、この「監視」の意味でのwatchは日常色々な場面で出てきます。例えば、watch towerなら「監視塔」だし、watch dogなら「番犬」と言った具合。ちなみに、watch dogはそこから転じて、今では企業や政治家の活動を監視する団体を意味します。

海外ドラマ好きには、『ゲーム・オブ・スローンズ』の「冥夜の守人(ナイツウォッチ)」を例に出せば一発で分かるかもしれませんね。彼らは北からの脅威を監視しているのです。だからwatchなんですね。

『ゲーム・オブ・スローンズ』、ジョン・スノウが壁の上から向こう側を眺める
Game of Thrones [Credit: HBO]

「Not on My Watch」の同意表現

ところで、実は「not on my watch」に似た表現をこのブログでは既に紹介済みなんですよ。それがover my dead body。これの文字通りの意味は「やりたいなら俺の死体を超えてやりな」です。つまり「やらせはしない」。どちらも日本語訳では「俺の目が黒いうちはやらせはしない」ってことなんですね。

海外ドラマでの「Not on My Watch」

それでは、このイディオム「Not on my watch 」が海外ドラマでどう使われているか、見てみたいと思います。

『コブラ会』から

ダニエル: Guy thinks he can bring Cobra Kai back to the Valley? Not on my watch.
『コブラ会』で、ダニエルとアマンダはコブラ会の宣伝チラシを見る
Cobra Kai [Credit: YouTube Premium]

コブラ会の宣伝チラシを見つめるアマンダに、ダニエルは「Not on my watch」と対決姿勢を見せます。復活させる気はさらさらありませんね。ちなみに、ここの「the Valley」はポルノで有名なサンフェルナンド・バレーのこと。

『モダン・ファミリー』から

マニー: Young lady, I don’t think you’re ready up here for what you’re planning to do up there. Not on my watch.
『モダン・ファミリー』で、マニーがパーティー会場を巡回
Modern Family [Credit: ABC]

『モダン・ファミリー』では、マニー家で高校生向けパーティーが開かれます。お目付け役を任されたマニーは、アルコールが入ってるコップを取り上げたり、寝室に入ろうもんならきつく叱るポリスモード。「Not on my watch」とパーティーで違法者がいないか監視します。自分より年上の女性をYoung lady呼ばわりですからね(笑) buzzkill, wet blanket(場をしらけさせる人)もいいところです。 

最後に

今回は「Not on my watch」で「自分が監視している限り実現はさせない」というイディオム表現を取り上げてみました。以前紹介したOver my dead bodyと同系統です。

実生活では、変な正義感に燃えてる人が「Not on my watch」で頑張るのは、結構周囲の迷惑だったりしますよね。上の例のマニーみたいに(笑)

それでは〜