🍅トメィトウ派とトマートウ派🍅

tomato」はもちろん日本語で「トマト」ですが、米英語っぽく発音すると「トメィトウ(to-may-to)」ですね。こう書くとなんかめっちゃ英語っぽい(笑)

そんなtomatoですが、海外ドラマを見ていると、時々日本語に近い「トマートウ(to-mah-to)」と発音するキャラクターが出てきます。そんなトマートウ派のキャラは決まってちょっと性格が変わっているんですよね。そりゃ、主流のトメィトウじゃなく非主流のトマートウをわざわざ選んでるくらいですから、普通の個性ではないことは確か。

そして、このトマートウと発音する執着が、そのキャラの風変わりさや扱いにくい個性の象徴・記号として海外ドラマ内で使われるんです。

以上が、tomatoをどう発音するかに関する宗教、主流トメィトウ派と非主流トマートウ派の2宗派についてのお話。

You say tomato, I say to-mah-to.

サイク/名探偵はサイキック?

イディオム的フレーズ「Tomato, Tomahto」

さて、ここから「Tomato, Tomahto」というイディオムの意味に入っていくんですけど、ここまでくれば、この意味を掴むのはめっちゃ簡単です。

トマトの発音はトメィトウ派とトマートウ派があるんですけど、両派閥が指しているものは結局は同じ赤いトマトなわけです。ただ発音が違うだけ

ヘタが付いているトマト
Image by Couleur from Pixabay

つまり、そこから、

Tomato, Tomahtoはどっちで発音しようが結局は一緒 = どう発音しても、どちらにしても、いずれにせよ同じ

という意味が出てくるんですね。つまり、本質的な差はないと言ってるわけです。ある意味、whateverなんですね。

海外ドラマでの「Tomato, Tomahto」

そこで以下、この表現が出てくるシーンを海外番組の中からピックアップして、実際そのような意味になっているか見てみたいと思います。

『ルシファー』から

女性がhave faithと言うと、ルシファーは「Tomato, tomahto」。つまり、信じようが信じまいがどっちでも同じ、差はないってことですね。

女性: You mean have faith?
ルシファー: Tomato, tomahto.
『ルシファー』で、ルシファーは信用するもしないも同じと「Tomato, tomahto」で言う
Lucifer [Credit: Fox]

『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』から

クラウスに言葉の間違いを突っ込まれると、ポーは「Tomato, to-mah-to」。このように、間違った時の強がり「どっちでも同じさ」としても、このフレーズは登場しますね。ちなみに、「dry county」は禁酒郡の意味で、アルコール販売を禁止してる郡のこと。

ポー: this is a dry county. There’s no water.
クラウス: It means there’s no alcohol.
ポー: Tomato, to-mah-to.
『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』で、
A Series of Unfortunate Events [Credit: Netflix]

『モダン・ファミリー』から

ゲイカップルのキャメロンとミッチェルは、二人の子供を生んでくれるという女性と面会。そのインタビュー中に、イルカを食べていいのかという話に・・・。女性が「魚は魚でしょ(だからイルカを食べてOK)」と主張すると、ミッチェルはそれを無視できず、哺乳類(mammal)と訂正します。しかし女性は「Tomato, tomahto」と大差はないという意見。ミッチェルはこれにも「tomato, cow」と言わずにはいられません(笑) つまり、魚とイルカの間にはトマトと牛ほどの差がある(種族がそもそも違う)とTomato, tomahtoを逆用するうまい切り返し。

ミッチェル: Mmm. Mm-hmm. Well, a dolphin’s actually a mammal.
女性: Tomato, tomahto.
ミッチェル: More like tomato, cow.
『モダン・ファミリー』で、女性はイルカは魚と主張し、ミッチェルはそれに反論
Modern Family [Credit: ABC]

『ボージャック・ホースマン』から

ボージャックはピーナッツバターの「tomato, tomato」というフレーズの言い間違いを指摘。しかし、俺はこう言うと譲らないピーナッツバターです。

ピーナッツバター: Eh, “tomato,” “tomato.”
ボージャック: It’s “tomato,” “to-mah-to.”
ピーナッツバター: You say, “tomato,” “to-mah-to,” I say, “tomato,” “tomato.”
『ボージャック・ホースマン』で、ボージャックはピーナッツバターの「tomato, tomato.」と言う言い方を訂正する
BoJack Horseman [Credit: Netflix]

『アーチャー』から

アーチャーも「tomato, tomato」を使っていました。ラナの両親のことをオタクと言うと、すかさずラナはアカデミックの人間と訂正。しかし、アーチャーにとっては、「tomato, tomato」。つまり、暗に発音すら同じと言っているんですね(笑)

アーチャー: they’re like huge nerds, right?
ラナ: Uh, no, they’re academics.
アーチャー: Tomato, tomato.
『アーチャー』で、ラナの父親がオタクか大学教授かで、アーチャーは「tomato, tomato」
Archer [Credit: FX]

『Key & Peele』から

『Key & Peele』の寸劇にも登場してましたので追記したいと思います。

冷戦時代の老兵士が現代の戦争に呼び戻された状況。途中で、ホログラムと呼ぶかレーザーかで、今回の表現「tomato, tomato」が出てきます。このネタは非常に面白いので、スマホの人はぜひWi-Fi環境使ってでも御覧ください。ハマると他の『Key & Peele』のスキットも見たくなること請け合いです(笑)

🥔Fun Fact: Potato, Potahto🥔

さて、ここでは、「Tomato, Tomahto」に似た表現「Potato, Potahto」を見てみたいと思います。と言っても、トマトをポテトにしただけなので、意味は全く同じです(笑)

『フレンズ』から

次の『フレンズ』では、フィービーとモニカが言い合っているシーン。「ロスがドラゴンのウンチクを私達に語れなくなったらどう感じるのか」とフィービーが言うと、「ドラゴンじゃなくて恐竜」と冷静に訂正するモニカ。フィービーは、しかし「Potato, potahto」で「どっちでもいい」というニュアンス。フィービーにとっては、ロスが語っている内容がドラゴンでも恐竜でも本質的な差はないんですね。だって、関心ないからです(笑)

フィービー: how Ross would feel if he couldn’t teach us about dragons.
モニカ: Dinosaurs.
フィービー: Potato, potahto.
『フレンズ』で、フィービーはロスの専門をドラゴンでも怪獣でも同じと言う
Friends [Credit: NBC]

『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』から

ペンサタッキーがトマトとポテトをごちゃまぜにしていたので紹介。刑務所に訪問してきた女性を呼び止めて、escorts呼ばわり。女性はprostitute(売春婦)と思ってるのかとカチンと来ます。ペンサタッキーはというと、それは「トマト・ポテトの領域」といって、どっちでも同じのニュアンスですね。このセリフなんか、「Tomato, tomahto」と「Potato, potahto」両方知ってないと分かりませんね(笑)

訪問女性: You think that I look like a prostitute?
ペンサタッキー: A whore, all right? But then we get into some tomato-potato territory
『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』で、ペンサタッキーは
Orange Is the New Black [Credit: Netflix]

最後に

今回は「Tomato, Tomahto」というイディオム表現を紹介しました。意味はトマトとは関係のない「いずれにしても同じ」。どっちを取っても大した差はないと言ってるんですね。関心の無さを表すのにも使われていました。そして、同じ意味を持つ「Potato, Potahto」というのもついでに見てみました。

さて、この英語表現が他と一風変わっているのが

発音が超重要

な点(笑) ちゃんとトメィトウ、トマートウと発音しないと分かってもらえません。違いは、単語真ん中にある「a」をエイにするかアーにするかですね。

ちなみに、記事冒頭で、冗談でトメィトウ派とトマートウ派の2宗派とか書きましたが、テレビのお約束集サイトによれば、発音違いを指摘するのは無礼と取られるようです。だから、テレビの中だけなんだとか:

You Say Tomato

一般的な総意は、もし君が「トメィトウ」ではなく、「トマートウ」と発音する人に出会ったら(逆も然り)、そのことを指摘するのは無作法にあたると考えられている。しかし、フィクションの世界では、とある理由で、人々はそれを指摘するのだが。

The general consensus is that if you encounter somebody say “tomahto” rather than “tomayto” (or vice versa) it is considered rude to point it out, but in fiction for some reason people tend to like commenting

日本語での「Tomato, Tomahto」案

日本語にこのトマト(ポテト)と同じような言い回しがあるか考えてみましたけど、なかなか良いものは思い付きませんね。

それじゃあ自分で作ってみよう、と考えた末出来たのが「マックにせよマクドにせよ」。これ、なかなかイケてない?(笑) しかも、呼び方が違うだけってのもトマトに似てる・・・

皆さんも是非考えてみて下さい! それでは〜