「Dad Joke」辞書入り

昨日「Dad Joke」がMerriam-Webster辞書に登録されたというニュースを目にしました。日本語で言うところのいわゆる「オヤジギャグ」。

ええ?? 今更って感じなんですけど、辞書の世界はキャッチアップが遅すぎじゃない? 英語が母国語でない自分でも知ってるくらいなのに・・・と思って海外ドラマの字幕を調べたら、意外と使われて無くて逆にびっくり。こういうのってよくありますよね(笑)

使われていたのは次の2箇所。

『ママと恋に落ちるまで』での「Dad Joke」

まず、『ママと恋に落ちるまで』。テッドのことをオヤジだというロビンは、それを補佐する事実としてdad jokeを言うことを挙げます。ここで、cornyは「陳腐 」とか「ありふれた」の意味なので、オヤジギャグの定義そのものですね。ちなみに、Shredded tweetはシリアルの商品名Shredded Wheatに掛けているダジャレ。酔いながら(Shredded)ツイート(tweet)ってことみたい。確かにオヤジっぽい(笑) しかも自分で言って自分で笑い転げます。それもオヤジっぽい。

ロビン: You tell super corny dad jokes.
(フラッシュバック)
テッド(酔いながら): Shredded tweet
『ママと恋に落ちるまで』で、テッドはオヤジギャグを言うとロビン
How I Met Your Mother [Credit: CBS]

『ブルックリン・ナイン-ナイン』での「Dad Joke」

もう一つが、『ブルックリン・ナイン-ナイン』。別れていたジェイクの父と母が再びくっつくのに不満なジェイク。dumb dad jokeを半年に一回送ってくれるだけで良かったのにと、この展開は予想できなかったと伝えます。これも、dumbにバカな間抜けなの意味があるので、つまらないオヤジギャグに合ってる感じ。

ジェイク(父に): I just wanted you to text me dumb dad joke every six months.
『ブルックリン・ナイン-ナイン』で、ジェイクの父と母が再婚
Brooklyn Nine-Nine [Credit: Fox]

でも、こうなると、自分の中の 「dad joke」を既に知っていたという既視感はどこから来たのでしょうか?

もちろん、海外番組の中で何回も「オヤジのジョーク=つまらない」というお約束を刷り込まれたからですね。

ラプンツェル ザ・シリーズ

次の『ラプンツェル ザ・シリーズ』では、英単語「prank」の意味が分からないラプンツェルがカサンドラに意味を尋ねるシーン。その回答を聞いたラプンツェルは、責任を負う者だけが面白く感じるというのを、自分の父親のジョークと考えます。つまり、父親本人(王様、責任がある)しか面白くないジョークと捉えたわけです。これなんかもdad jokeのことなんですけど、the jokes my dad tellsと説明的に言ってますよね。こういうのを何度も聞いて、自分の中で既に「dad joke」というボキャブラリーを知っているってなったようです。

カサンドラ: Well, it’s more like a joke. But, only the person responsible for it thinks it’s funny.

ラプンツェル: Oh. So, like the jokes my dad tells.

Rapunzel’s Tangled Adventure

最後に

今回は辞書に登録された「dad joke」を見てみました。以前から知っていると思いきや、海外ドラマではほとんど使われていませんでした。「オヤジの言うギャグはつまらない」というお約束から、既に「dad joke」を知っていると感じてしまったようですね。

こういうのを見ると、語彙の成り立ちって面白いですよね。人々は概念としては既に持ってるんだけど、それを正確に表す単語はまだ浸透していない。そして、標準の単語ができて辞書登録されたときには、既にそれを知っていると錯覚する。

日本語でも同じようなことが絶対起こってるはず。でも、いい例が思いつかないな。

まあ、世界共通で「オヤジのギャグ=つまらない」という方程式はありそうですよね。誰か研究してくれないかな?(笑) それでは〜


ジョークの定番↓