「ノーサイド」って使われる?

今回はこのブログでは珍しい時事ネタです。

ラグビーW杯日本大会始まりましたね。しかも日本はロシアに勝って勢いに乗れそうです。パチパチパチ👏🏻👏🏼👏🏽

ところで、ラグビー🏉と言えば以前から疑問に思っていたことがあるんです。それが試合終了の合図「ノーサイド」。この言い方ってラグビー特有ですよね。野球⚾でもサッカー⚽でも言わないですし。

実際、Wiktionaryには

no side

ラグビーで)試合の終わりに審判によって叫ばれる、ボールの次の所有はどちらのサイドでもないとして。

(rugby) Called by the referee at the end of a match, as no side has the next possession of the ball.

と「ラグビー」が明言されています。

「ノーサイド」は日本だけ?

さて、このノーサイドですが、日本でしか使われていないって話があるんです。これって結構意外ですよね?

ということは、

池井戸潤の「ノーサイド・ゲーム」は日本でしか通用しない??

ユーミンの名曲「ノーサイド」も??

事実、日本のWikipediaを見ると、

ノーサイド

ノーサイドは、ラグビー(特にラグビーユニオン)において、試合終了のことを指す(英語圏でもかつては「No side」が使われていたが、現在では「Full time」が使われている[1])

とありますし、Wikipediaにはそもそもノーサイドの多言語でのエントリーもないですし、[1]のリンク先には

No side

時代遅れの用語、試合終了を表す、full timeにその座を奪われた。

antiquated term used to describe the end of the match. Superseded by full time.

と、アンティーク🕰️って言われる始末(笑)

幻のノーサイドを探して

でも、ちょっと待って下さい。アンティークと言っても、誰かが使っているかもしれない?! そうだ、自分には海外ドラマ字幕データベースがあるじゃないですか! 海外ドラマには風変わりでエキセントリックな時代遅れのキャラがわんさかです。その中の一人くらいは使っているはず。

という淡い期待を持って、週末頑張って調べてみました。約1万エピソード。幻のノーサイドを探して・・・って、なんか小説にできそうなタイトル(笑)

結果は・・・

ラグビーでタッチダウンする選手
Image by ALBERTO H. FABREGAS from Pixabay

0件。全然使われてませんでした(笑)

というか、現在使われているはずのfull timeも仕事(part timeの逆の意味で)以外の文脈で使われてない状況。そもそも、海外ドラマにはラグビーの話題自体出てこない、という悲しい結論なのかもしれません(笑)

There Are No Sides

これだけではズコーなので、海外ドラマの字幕を調べている時に見つけた試合終了とは違う意味での「no side」の使われ方を紹介して終わりにしたいと思います。

状況はどっち側(side)に付くか聞かれ、「どっち側とかはない」というパターン。これは英語でよくある言い回し。アメリカ側に付くかロシア側に付くか争ってる時に、宇宙人が地球に攻めてきたとしてみて下さい。どっち側とかもう関係なくなりますよね?(笑) そのシチュエーション。

ベター・コール・ソウル

ジミー: Chuck, whose side are you on?
チャック: There are no sides.
『ベター・コール・ソウル』で、ジミーをなだめるチャック
Better Call Saul [Credit: AMC]

ギルモア・ガールズ

ジャクソン: Rory, what do you say? Be on my side.
ローレライ: Jackson, there are no sides.
『ギルモア・ガールズ』で、ジャクソンをなだめるローレライ
Gilmore Girls [Credit: The WB]

最後に

今回はラグビーの試合終了を意味するノーサイドが本当に使われないのかを調べてみました。

結論は使われません

だからといって、日本で使うなとも別に思いませんけどね。逆に、世界のどこでも使われない古い言い方を日本でしているというのは言語学的に面白いことですからね。近い将来逆輸入されるなんてことになったら驚きですし。

上で見た言い方を真似させてもらうと、

「ノーサイドを使ってOK側、使っちゃNG側、どちら側に付くか?」と問われれば、

There are no sides here.

お後がよろしいようで。それでは、また次のネタでお会いしましょう〜