「Debunk」するYouTuber達

私は海外ドラマを見てない時はYouTubeを見てるってくらい、YouTubeが大好きなんです。特に、英語のリスニング力が上達してからは、世の中には素人が作った面白い動画がたくさんあることに気づいて、見続けちゃうこともしばしば。マネタイズできるためか、結構本格的なものもあったりするのが驚きです。

そんなYouTubeで視聴者を集めるのに重要なのがサムネイルですよね。見た目面白ければ思わずクリックしてしまいますもの。

ところで、以下に3つのサムネイルを検索して集めてみました。共通するのは何でしょう?

ユーチューバーがdebunkする
Thumbnail from SteveTerreberry on YouTube
ユーチューバーがdebunkする
Thumbnail from Science Insider on YouTube
ユーチューバーがdebunkする
Thumbnail from Nuance Bro on YouTube

もちろん、「Debunked」ですよね。スタンプになっているのが面白い。このdebunk、辞書を引くと意味は「誤りを暴く」になってます。

なんか知らないけど、YouTubeでは毎日なんらかの主張がdebunkされているんですよ。それで、みんなサムネにスタンプ「DEBUNKED」を使っているんですね。

だから日本人も、外国人が持つ日本へのステレオタイプ(偏見)をYouTubeでdebunkするべき時かもしれない。毎日着物着るとか、忍者になるための練習してるとか(笑)

ところで、この「debunk」はなかなか馴染みがない上級語彙。そこで、語源を調べていたら結構面白かったので以下まとめておきます。この記事を読めば、「debunk」の意味はもう忘れないと思いますよ。

農場の収穫
Image by Wolfgang Borchers from Pixabay

Debunkの語源

Buncombe County

バンコム郡(Buncombe County)は現在のノースカロライナ州の西側の一部なんだけど、元々はEdward Buncombe(1742–1778)という大農場のオーナーが治めていた地域で、彼の名前から自然とその地域はBuncombe Countyと呼ばれるようになったみたい。

Buncombe Countyの場所
Google Map

Felix Walkerの演説

時は流れ1820年。まだ南北戦争の前の話。第16回米国議会での議論の的は奴隷制度。北部の奴隷制の無いfree statesと南部の奴隷制のあるslave statesの対立。その時の俎上に載っていのがミズーリ州。北も南もミズーリ州を自分の勢力に引きれようとしていた。分かりやすく言えば、ミズーリ州を巡って「はないちもんめ」をやっていた感じ(笑)

さて、議会では議論を十分戦わせた後、最終的に投票で決を取る段階に来たんだけど、Felix Walkerなる人物がそこで「ちょっと待ったー」と立ち上がったんだ。この男、ノースカロライナ州のバンコム郡代表の議員なんだけど、決戦投票になってしまうと自分サイドが負けると知って、長々とした意味のないスピーチを開始したんだ。いわゆる先延ばし作戦。スピーチの内容は”無いよう”だったらしい(笑) 結局、同僚等から叱責を受けて止めたんだけど、その時の言い訳が「私は議会に向けて話しているのではない、バンコム郡の人々に向けて話しているのだ」と強弁したんだとか。

アメリカ独立宣言の画
Image by Gordon Johnson from Pixabay

「Bunkum」のうぶ声

そんなFelix Walkerの旦那の意味をなさないスピーチは、政治の中心ワシントンD.C.で一躍話題となったわけ。「なんだあのナンセンスは? バンコムの選挙民向けだってよ?」と当時の人が実際言ったかは定かではないけど、人々がこのナンセンスに名前を付けようとなったのは当然の成り行き。そこで、その名前に彼の出身地名の「Buncombe」が選ばれてしまったのが「debunk」誕生の第一歩だったんだ。もちろん意味は「政治的ナンセンス、たわごと」。使用例は「お前、“バンコム”抜かしてんじゃねーぞ」って感じかな?(笑) 後年、「Bunkum」と短くなって使われるようになる。これがBunkumの誕生である。だんだんdebunkが見えてきたね(笑)

「Debunk」誕生

「Bunkum」はその語源から当初は「政治的なたわごと」の意だったんだけど、一般大衆化された際に政治の文脈が消えて、「たわごと」全般を指すようになる。また、当初首都ワシントンD.C.で使われていただけだったのが、これも全国区に広まっていく。そうすると、更に単語の短縮が発生したようだ。それが「Bunk」。語尾のumはもう不要ってわけ。それでBunkが「たわごと」の意味で使われるようになったんだけど、そしてついに運命の年、1923年を迎える。

その年、その名も 「Bunk」なる小説が発表とあいなった。このbunkはもちろん「たわごと」の意味だったんだけど、その小説内でbunkの独特な動詞形が導入されたんだ。皆さんのご想像の通り、それが「debunk」だったわけ。英語では接頭辞「de-」には「除去」の意味がある。だから、その時のdebunkは「物事からたわごと・ナンセンスを取り除く」の意味だったらしい。ここまで来れば、後は一直線の電車道。最終的に「誤り(戯言・ナンセンス)を暴く」という意味になって現在に至るわけ。

子供の天使がお墓の前で泣いている
Image by Goran Horvat from Pixabay

最後に

この話を読んで、私は言葉が人間の活動を起点としてダイナミックに変化していく様の面白さを感じると共に、自分の名前が「たわごと」を意味するようになってしまったEdward Buncombe氏に同情を禁じえません。存命中にいくら大きな事を成し遂げたからといっても、後世のアホの一言で逆転負けしてしまうなんて。今頃、バンコム氏はお墓の下で泣いているかもしれませんね(笑)

それでは〜


「Dreamboat」の語源↓