こちらヒューストン。

アポロ11号応答せよ。

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イディオム「The Eagle Has Landed」の誤解

私はこんなブログやってるので英語の先生的に思われる方もいるかも知れませんが、実は全然そんな事ないんですよね。人より海外ドラマのこと詳しく知ってて、ついでに英語字幕で見てたので、英語が人より詳しいってだけ。まあ、1万エピソードを英語字幕で見てるんですから、そりゃーなんらかの得るものはあるわけです。

そんな私なので、正直言うと、英語を結構間違えたり意味を誤解したりすることも多いんです。今回はそんな失敗エピソードの一つを紹介したいと思います。

お題は、この前初回Pilotの記事で説明なしに出してしまったイディオム「The Eagle has landed」。

自分がこのフレーズに出会ったのが、シットコムの金字塔『ビッグバン★セオリー』だったんです。

場面は、ハワード家に恋人のバーナデットがお泊りにやってきますが、ハワードの母が洗面所を独占して歯が磨けないと苦情を言うところ。ハワードは階下のトイレの中の母に向かってこう叫ぶんです:

ハワード: Ma, give up! Tonight’s not your night!
『ビッグバン★セオリー』で、ハワードは階下の母親に大声で話しかける
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

Maは母親のこと。「今晩は母さんの夜でない」とは少し奇妙な響きですが、これは英語にはよくある言い回し。要は「今日は出ないから諦めろ」ってわけ。つまりここから、ハワード母が便秘気味なのが分かりますね(笑)

そしてしばらくすると、階下のハワード母がこう叫ぶんです。

ハワード母: Ha! The Eagle has landed.
『ビッグバン★セオリー』で、ハワードの母がトイレで大便が出たことをハワードとバーナデットに話す
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

ここのHa!は「それ見たことか!」って感じ。そして、問題の「The Eagle has landed」です。もちろん、ここでの意味は「ものが出た」んですね。二人の苦虫を噛み潰したような顔がそれを物語ってます(笑)

だからここだけ見たら「The Eagle has landed」の意味を「うんちする」と誤解しても仕方無いですよね。何故eagle(鷲)なのかは分かりませんが、それがちょうどland(着地)したんですから、なんとなくイメージは合ってる感じ・・・。そして当然のように、私はそのように理解してしまったわけです(笑) 辞書なんて全然見ないもので。

当然、そのうち「大をする」の意味で合わなくなる瞬間が訪れたんですけど、私が幸運だったのは、リアルでこの表現を使わなかったこと。これ外国人に使ってたら、絶対???って反応だったはずです(笑)

イディオム「The Eagle Has Landed」の意味

それでは、「The Eagle has landed」の本当の意味は一体何でしょうか?

調べてみると、このフレーズ、アポロ計画の月面着陸の時に生まれたんだそうです。

アームストロング船長一行は月着陸船「イーグル」号に乗船して月面に降り立つわけですが、直前に色々トラブルに見舞われるんですね。世界中の人がどうなるのか、成功か失敗か固唾を飲んでテレビを見守っていると、アームストロング船長からようやく連絡が入るのです:

Houston, Tranquility Base here. The Eagle has landed.

イーグル号の月面着陸
Image by Thanks for your Like • donations welcome from Pixabay

つまり、このフレーズ内のThe Eagleは「イーグル」号のことで、それが月面の静かの海の基地に無事着陸したってこと。その瞬間、世界中で拍手喝采だったのは間違いないですね。後の話は皆さん知っての通り

ということは、このフレーズ「The Eagle has landed」のイディオム的な意味は「困難に打ち克って偉業を成し遂げる」って感じですね、アポロ計画での「イーグル」号みたいに。

だから、冒頭の『ビッグバン★セオリー』に戻ると、ハワードの母親の状況にこのフレーズがピッタシなのですね! 便秘気味でずーっとトイレで格闘してて、それをようやく成し遂げたんですから。「イーグル」号には及ばないけど、それ相応の快挙なんです。なるほどー、これで全部辻褄が合いました! 「The Eagle has landed」の意味は「大をする」では決してないんです(笑)

完璧主義者はやめるべき

さて、実は自分の場合、最初に『ビッグバン★セオリー』でこのフレーズを聞いて誤解してから、それが訂正されるまで数年間を要してしまいました。その間ずーっと間違っていたんですね。

だから、分からないイディオム・フレーズがあったらちゃんと辞書で調べるべき? それがこの話から得られる教訓でしょうか?

実は、自分は最近そうではないかもと思ってるんですよね。

間違っててもいいじゃん

って。だって、日本語のイディオムだって誤解したまま間違った使い方してる人は現実にいっぱいいますよね。でも、そこまで神経質になってる人っている? いないですよね。間違っても死ぬわけじゃない、次から直せばいいじゃんって。最低限言わんとすることが分かればいいのです。

でも、それが英語になった途端、みんな100%、完璧主義者を目指すんですね。それじゃあ最初の一言が出てくるわけがない。

間違うことを楽しもう

この記事の途中で「幸いリアルでこの表現を使わなかった」と書きましたが、それも違うんです。考えを改めるべきなんです。恥は大いにかくべき。「大をする」の意味で「The Eagle has landed」を使うべきだったのです!

だって、それを聞いた外国人の反応を皆さん想像してみてください。私がトイレに行って戻ってきて、スッキリした顔でこのセリフを言うんですよ、「The Eagle has landed」って。最初は頭の中???でしょうが、しばらくして大爆笑するはずです。なるほどなって(笑) ね、そしてその瞬間、私も自分が何か間違っていることに気づけるんです。

言語勉強ってそれでいいんじゃないでしょうか。こっちは言語学者を目指してるわけじゃないんだから。

最後は最近思ってることを書き散らしてまとまりがなくなりましたが、これは5年前の自分に実際言いたいことだったりもします(笑)

いずれにしても、当ブログでは、2020年皆さん一人ひとりが「The Eagle has landed」されることを祈ってますよ。それでは〜


イディオムと笑いの関係↓