イディオム「throw the book at」の意味とは?

今回は、インターネットのコメント等でよく使われるイディオム「throw the book (at someone)」を見ていきます。本を投げるって一見意味分かりませんが、意味は「(〜を)厳罰に処す」:

throw the book at

  1. (他動詞、イディオム、口語)できる限り多くの罪で起訴する
  2. (他動詞、イディオム、口語)可能な中で最も厳しい罪を適用する。

 

  1. (transitive, idiomatic, informal) To charge with or convict of as many crimes as possible.
  2. (transitive, idiomatic, informal) To apply the harshest possible punishment to.

ネットで使われるのは決まって、極悪非道の犯罪者が捕まった時。レイプとか、ヘイトクライムとか、宗教的に絡んだ犯罪とか、ペドファイルとか。そんな人道的に許されないムカつき度満点の犯罪の時、ネット住人はその犯人に「throw the book」を望むんです。つまり、検察に最大の量刑を課すよう求めるわけ。メインの犯罪だけじゃなく、付随する犯罪の不法侵入とか警察官への公務執行妨害とか。ありとあらゆる罪で起訴し、一日でも長く刑務所に居てもらいたいわけですね。

「throw the book」の語源

さて、ここで素朴な疑問です。「the bookを投げる」と、どうして厳罰になるのでしょうか? 

どうも秘密はthe bookにあるようです。このthe bookは日本で言う六法全書などの法律書、刑法書を表しているんだとか。つまり、法律書を犯人に投げる=比喩的に、法律書に書かれている刑を一つ一つ犯人に適用、ってイメージみたいです。そこから、法で定められたマックスの量刑というニュアンスが出るのですね。

throw the book at

語源

大きな本の比喩から、そこには全ての違反した可能性のある法律や特定の犯罪に対する罪が含まれており、違反者に投げられる。

Etymology

From the metaphor of a large book, containing all the possible laws broken or punishments for a particular crime, being thrown at an offender.

法律書と裁判長が叩く小槌
Image by succo from Pixabay

もちろん、親に先立たれた独り身の子供が空腹を満たすため犯した犯罪なんかの時はthrow the bookを望む人はいませんよね。同情の余地がありまくりですから。結局、法の下の平等と言っても、運用するのは人間ですから、ある程度のさじ加減がそこには出てくるわけなのです。また、量刑が国民受けするかと、検察側も世論の動向を見ているわけですし。

ニュースサイトでの「throw the book」の例

このイディオム「throw the book」ですが、実際、ニュースサイトで以下のように使われていました。裁判官がトランプにthrow the book。ここを、この前紹介したイディオムをそのままの意味で受け取ることをしてみると、裁判官が六法全書をトランプに投げてるイメージになりますね。それはそれで面白いですけど(笑)

Judge Throws the Book at Trump’s ‘I’m Above the Law’ Defense

海外ドラマでの「throw the book」

なお海外ドラマだと、このイディオム「throw the book」はあまり使われないのですよね。意外な感じです。実際、手元の英語字幕DBだと数件のヒットのみ。

次の『ベター・コール・ソウル』の場面が典型的。軽犯罪で警察署にしょっ引かれたジミーに、知り合いの検察官が声をかけてくる場面。ジミーが「俺にthrow the bookするんでしょ」と自虐すると、「なにか助けられるかも」と検察官は真剣に考え出します。

ジミー: Don’t you wanna throw the book at me for old times’ sake
検察官: Mmm, I’ll see if I can work some magic…
『ベター・コール・ソウル』で、ジミーと知り合いの検察官
Better Call Saul [Credit: AMC]

最後に

今回はイディオムの「throw the book at」の意味「(人)に厳罰に処す」を見てみました。海外ドラマにはあまり出てこないけど、ネット上コメント欄では頻繁に見かけるイディオムです。

この非対称性が個人的にはすごい不思議なんですけど、これは多分、視点が大幅に違うからですね。ネット上の住人は、あくまでも野次馬の立場。「極刑を望む、厳罰を望む」等、自由に自分の意見を表明できるんです。それに対し海外ドラマでは、登場人物は基本的に犯人だったり、検察や弁護士なんですね。つまり、事件の当事者達。だから、海外ドラマではそういった極論はあまり出てこないのかも知れませんね。逆に言うと、その海外ドラマを見ている茶の間の視聴者がテレビの前で「この犯人にはthrow the bookすべき」とか言っているのかもしれません(笑)

それでは〜


「Throw」の面白い意味↓