工事現場に重機が入る
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徳川埋蔵金にハマる

子供の頃、私は徳川埋蔵金⤴️に夢中でした。今では日本のテレビは一切見ない(見る時間がない)のですが、当時は糸井重里氏が指揮する超大型プロジェクトに心を奪われていたのですね。

一応知らない人向けに説明すると、徳川埋蔵金とは徳川幕府が最後崩壊する直前どっかの山中に幕府復興の軍資金を隠したという伝説のこと。それを今から30年くらい前に、『ギミア・ぶれいく』という番組の一コーナーで定期的に特集していたんです。といっても、『ギミア・ぶれいく』は全般的に子供には難しい番組だったので、私は徳川埋蔵金の箇所だけ見てたんですけどね。

番組当初は、その伝説を追い求め埋蔵金発掘に人生を掛けるとある人物に密着する感じだったのですが、途中から重機を大々的に投入し、発掘は本格化していきます。番組に登場する人が全員工事現場のヘルメットを被るようになったといえば分かるかな?(笑) 丘陵一帯を掘り返していき、これで何も出てこなかったら詐欺だって感じ。でも、次から次に徳川埋蔵金を示唆する人工的な物(穴・食器等)が出てくるもんですから、テレビの前の私は大興奮。翌週こそは埋蔵金が発掘されるのではないかと、番組を毎週毎週心待ちにしていたんです。小学生だったので、埋蔵金が出たならまず最初に新聞に載るということを理解していなかったのですね(笑)

しかし、悲しいかな、そんな楽しみにしていた徳川埋蔵金のコーナーは番組からだんだん消えていきます。そして、最後は尻すぼみで終わったと思います。ここは記憶が曖昧ですが、出なかったことだけは確か。子供の自分は非常にがっかりして、「糸井重里許すまじ」と思ったものでした・・・(笑) 子供心には、徳川埋蔵金=糸井重里氏だったのですね。

そんなこんなで月日が流れ、私の方は、徳川埋蔵金が原因ではないですけど、日本のテレビ番組とはおさらばして海外ドラマを英語で夢中に見るようになっているのですから、人生とは不思議なものです。

「Give Me a Break」というフレーズ

さて、そんな海外ドラマではとあるフレーズが頻繁に登場するのですが、それが上で述べた徳川埋蔵金に繋がることに最近気付きました。そのフレーズが「give me a break」なのです。徳川埋蔵金のコーナーをやってた大もとの番組名ですね。『ギミア・ぶれいく』とカタカナひらがな化してありますが、元々英語のgive me a breakなのは音から分かるかと思います。多分、大橋巨泉氏が付けたんじゃないかな。オーストラリアに住んでた記憶がありますので。

「Give Me a Break」の意味

ところで、このgive me a breakですが、皆さん意味は分かるでしょうか? 私は辞書を引いた記憶はありませんが、海外番組でよく出てくるので自然と覚えてしまいました。こういうのが海外番組英語字幕視聴の利点なんですけど、それはまた別の話。

『リック・アンド・モーティ』の例

例えば、次の『リック・アンド・モーティ』では、街が大変なことになってしまい、孫サマーは祖父のリックがやらかしたのでは?と問い掛けます。ジェリーが「そう仮定するのは公平でない」と義父を擁護すると、実の娘のベスは「Give me a break」と言ってから、リックのこれまでの悪行を挙げていきます。つまりここでは、「いいかげんにしろ、冗談はやめろ」って感じ。breakに掛けるなら、「冗談も休み休み言え」ってニュアンス。ベスは街の被害をリックの仕業と思っているんですね。

サマー: Do you think Grandpa Rick had something to do with this?

ジェリー: It’s not fair to assume that, Summer.

ベス: Oh, not fair? Give me a break. He is a selfish, irresponsible ass, and he left my mother.

ベス: Give me a break.
『リック・アンド・モーティ』で、リックの仕業で町がめちゃくちゃになる
Rick and Morty [Credit: Adult Swim]

『ブレイキング・バッド』の例

次は『ブレイキング・バッド』から。列車強盗を提案するリディアに、及び腰の男三人。絶対目撃者が出てしまうからとマイクが説得すると・・・。Give me a breakで「冗談はよせ」とリディアは一喝します。というのも、直前までリディアのことを殺そうとしてた3人が、列車強盗程度に怖気づいてることが信じられないんですね。

マイク: And then what? Even if we wear a mask, we’re leaving two witnesses behind. Bottom line, I have done this long enough to know that there are two kinds of heists: Those where the guys get away with it and those that leave witnesses.

リディア: Give me a break. You guys were gonna murder me. I thought you were professionals.

リディア: Give me a break.
『ブレイキング・バッド』で、列車強盗を計画するウォルター、マイクとリディア
Breaking Bad [Credit: AMC]

ということで、まとめると、Give me a breakの意味は「冗談も休み休み言え」ってこと。相手の行動・言動が信じられないんですね。そして裏にイラつきもあります。

フラグの回収

さて、ここまで読んでくれた皆さんなら、この記事のタイトルにあるフラグ回収の意味が薄々わかってきたかもしれません。

『ギミア・ぶれいく』と言う番組は、その名が示す通り、視聴者に「Give me a break」と言わせたかったのです。

だから、徳川埋蔵金で裏切られた当時小学生の私も、単にそう言えば良かったのでした。埋蔵金が出てこないテレビ画面に向かって「冗談も休み休み言え」と。

でも、英語が分からない当時の私には言えませんでした。ただ、30年経って、英語がある程度できるようになった今なら言えます。(番組がもうないので)糸井重里氏に向かって

Give me a break!」と(笑)