緑色したコロナウィルス(Covid-19)のイメージ図

今回はいつもと毛色を変えて、新型コロナウィルス(Covid-19)に関する記事やネット上の議論を読むときに有用なボキャブラリを見ていきます。 すべて自分が実際redditやyoutubeコメ欄で頻繁に見かけたものばかり。多分、英語で議論を読むときに参考になるかと思います。

なお、一般人が使う語彙にフォーカスしていて、専門医学用語なんかは含めていませんのであしからず。

epidemic, pandemic / 病気の流行

この2つは、現在はどっちの状況なのかという点で、よく議論の遡上に上がります。共に「病気の流行」を表しますが、pandemicは大陸を超えて広まってることを表すので「epidemic < pandemic」という不等号です。なお、WHO(世界保健機関)がpandemicという単語を使いたがらないことから、ネットではP-wordとも呼ばれたりもします(笑) 追記:2020/3/12 公式にpandemicになりました

endemic / 風土病

既におなじみとなった病気はendemicと言うみたいですね。毎冬のインフルエンザなんかがそう。今回のコロナウィルスは既にendemicと考える人もいるようです。ワクチンがまだないのが痛いところ。

novel / 新型の

今回は新型のコロナウィルスということで、novelという形容詞がよく使われます。newよりも頻繁に使われるので、こういった新しいウィルスを表す時はnovelなんでしょうね。ちなみに、novelには名詞で「小説」の意味もありますね。

positive, negative / 陽性、陰性

ウィルスに感染しているかテストしてpositiveならば感染してて、negativeならば感染してません。false positive, false negativeとかいう話もあって、数回テストしないといけないみたいです。

incubate / ウィルスを培養する

ウィルスは体内に入ると倍々で増えていきますが、その状況がincubate。そしてその潜伏期間をincubation periodと言います。新型コロナウィルスは最大14日ということですが、それに異を唱え、もっと長いと主張する人も居ますね。ちなみに、intubateという紛らわしい用語も同時に使われますね。これは挿管の意味で、人工呼吸器なんかからチューブを体内に入れることです。

exponentially / 指数関数的に

倍々で増加していくことをexponentiallyと数学ではいいます。患者数の増加もexponentiallyなので、3日で倍になるとすると、9日で8倍、30日で1、000倍、60日で1,000,000倍に膨れ上がります。人間が直感的に把握できない増加なので、初期対応を誤ると取り返しのつかないことになります。

petri dish / ペトリ皿

そんなウィルスを繁殖させる器具としておなじみなのがペトリ皿ですよね。だから、今回のコロナウィルスを繁殖させるようなものはpetri dishに例えられることが多いですね。例えば、クルーズ船とか。

quarantine / 隔離、検疫

ウィルスの蔓延を防ぐために行う隔離措置のことをquarantineといいます。クオランティーンって感じ。ダイアモンド・プリンセス号では船全体をquarantineしましたし、中国では都市全体をquarantineしたのですね。isolateとも。

draconian / 厳しい、過酷な

そんな中国の強制quarantineをネット上ではdraconianと形容してますね。西洋では人権の問題などあってできないからです。しかし、中国に倣わないと今回のウィルスは防げないと考えている人も居ますね。

contain / 封じ込める

ウィルスをある一定の地域内に封じ込める文脈でcontainが使われます。当初は中国政府がcontainできるかどうかをネット上では見守っていましたが、いざヨーロッパからアメリカに広がると、このウィルスはcontainableでないと人々が理解し始めます。

pneumonia / 肺炎

新型肺炎とも呼ばれるCOVID-19ですが、英語で肺炎はpneumonia。ニューモニアとpは発音しませんね。これも主要な症状なのでよく登場します。respiratory(呼吸に関する)ものですね。

vector / 媒介生物

数学ではベクトルですが、医学用語で病気を媒介する生物のことですね。マラリアなら蚊がvector。何故か一般人が普通に使っていたので取り上げました。でも、今回の新型コロナウィルスでは何がvectorの役割なのでしょう? 

Mobile phones and touch screens as a vector in modern world.

というように使われているのです(笑)

outbreak / 大流行

outbreakももう既におなじみのボキャブラリー。一人でも感染者いると、数週間後には数字が膨れ上がり、outbreakの一丁出来上がりです。

tip of the iceberg / 氷山の一角

こちらも既におなじみですね。現在の状況はtip of the icebergというのがテンプレになってます。

infectious, contagious, transmissible / (病気が)感染性の

これらのボキャブラリーは細かい違いはあるとは思いますが、ネットではどれも同じように使われていますね。どう感染するのかというのが最初期の話題の中心で、airborne(空気感染)も疑われていました。結局、飛沫で感染するということが次第に明らかになっていったわけですけど。

asymptomatic / 無症状の

今回のウィルスが厄介なのは、asymptomaticである場合もあること。その間、普段どおりの行動をして、感染拡大に貢献してしまうことが報告されていますね。ネットでは他人に感染させないためにも常時マスクを被るべきという議論もされています。

(追記)presymptomatic(発症前の)との違いもクローズアップされてきました。ウィルスに感染して、最終的に症状が出るのをpresymptomatic、症状が出ないのをasymptomaticと区別しています。

carrier / 保菌者

asymptomaticな人はcarrierでもありますね。無自覚だったり、医療機関のスタッフだったりして、最悪の事態に結びついている報道がいくつもあります。

cluster / 集団

一人の感染者からその人が属するコミュニティに感染が広がると、そのコミュニティはclusterと呼ばれますね。ダイアモンド・プリンセスなんかがそう。クラスターを社会からisolate(隔離)し感染経路の特定をすることに当初は躍起になってましたが、pandemicの様相を呈してくると、いかに拡大を遅くするかに焦点が移ってきた感じです。

hygiene / 衛生

ウィルス感染を防ぐにはhygiene(衛生)が大事。手を洗うのが効果的と次第に分かってきましたね。

preparedness / 準備

中国の大惨事を他人事としてのんきに構えていた各国は、国民からpreparedness不足で突き上げを食らう事態に。時間があったのにpreventive(予防)策を取らないなんて!って感じ。

proactive(先を見越して) vs. reactive(事が起きてから)

そんなときに決まって使われる形容詞がこの2つ。proactiveに行動すべき時なのに、どうしてもreactiveになってしまうんです。

better safe than sorry / 念には念を

政府に頼れないと判断した市民の中には独自に準備を始める人も。better safe than sorryという格言を今回ほど聞いたことはないかもしれません。

stockpile / 買いだめする

そんな市民が行うことがstockpile、買いだめ。なぜ人々はペットボトルの水を買うのかという疑問のスレがありましたが、どうも地震なんかの緊急事態を念頭に置いているからのようですね。redditでは、1月からからコストコの棚の空き具合を確認するしてる人がいましたっけ。そんなredditorも、まさかトイレットペーパーの買い占めが発生するとは想像してなかったみたい(笑)

gouge / ふっかける、高い金を払わせる

すると、それを先読みして物品を買い占めるものも出てきます。日本でもマスクが品薄ですよね。そして、それをネットオークションなどで高価で売りぬいて利ざやを稼ぐ。この行為をgougeというのですが、忌み嫌われているのは世界共通ですね。

ramp up / (生産を)増やす

需要が高まれば企業は生産を増やすわけですが、そんな時使われるのがこの句動詞ramp up。マスク、医薬品から、テストキットまで。ramp upしろというのは共通の願望ですね。すぐ明日からとはいかないのですけど。

hazmat / 有害物質

中には、嘘か本当かhazmat suitを注文する人も。宇宙服みたいな完全防護の服ですね。hazmat = hazardous material

wake-up call / 警鐘

今回の件は人類(政府)に対する良いwake-up call になったと考える人もいるようです。preparednessがいかに重要か気づく契機ってことですね。

triage / トリアージ、重症度判定検査

さて、病院等医療機関ですべての人を治療できなくなると、だれを優先的に治療するかを決める必要がありますね。それがトリアージ。トリアージする状況が近いと考える人もでてきました。でも、その時は治療できない患者は放置になるので、更に死亡率が高まります。

hospitalize / 入院させる

hospitalが使われていることからも分かる通り、意味は入院ですね。redditでは日本や韓国が国民あたりのベットの数が多いと知って羨ましがっていました。老人が多いのも要因の一つっぽいですけど。

discharge / 退院させる

ベッドが足りなくなると、症状の軽い人はdischargeして、自宅でself-quarantineをお願いするパターンもあるようです。しかし、self-quarantineするべき人が出歩いたりして、別の問題も発生しています。刑務所に入れろとか、かかとにGPS付けろとかいろいろな意見が出ています。

inevitable / 不可避の

今回の件はthe inevitable(不可避)と考えている人もいるようです。中国で発生したとき既に、世界中に広まるのはinevitableだったと。できるのは、どうやって遅らせるかだけ・・・

transparency / 透明性

政府に不満を持つ市民は、正確な患者数などを公表していないということで、transparencyがないことに我慢がならないみたいですね。ちなみに、日本政府が出す数字もオリンピックの成功のために正確でないと一部受け止められていますね。

authorities / 当局

官僚や役所なんかのauthoritiesも非難を浴びています。downplay(実際より低く見せる)してるという批判が一般的。中には、テストをしなければ患者数は増えないという戦略を取ってるとまで言われてたり・・・

balls / 勇気

中には当局側でありながら告発するような人も居て、その人はwhistle-blower(内部告発者)であると同時に、balls(勇気)を持っていると言われたりもします。ここでballsは元々は睾丸の意。

conspiracy / 陰謀

一部ネット住民は今回のウィルスが人工的に作られたと考えていたりもします。そういう人はconspiracy theory信者と呼ばれてたりします。UFOが地球に来てるのに米国政府は隠していると言った陰謀論のこと。

fear-mongering / 恐怖を利用する

中には、人々を恐怖のどん底に落として利益を得ようとしてる人も。政治家、商売人、製薬会社なんかでしょうか。

window of opportunity / チャンス

今回のoutbreakではWHO(世界保健機関)がかなり非難を浴びていますが、原因はそのdownplay。いつまでも現状をpandemicと呼ばず、「ウィルスをcontainするwindow of opportunityが閉まりつつもまだある」と毎回会見で述べるので、window of opportunity は格好のジョークネタにされています。

fucked / オワタ

今回はfuckedを非常によく見かけましたね。特に、中国から全世界へ広がっていく時は、

We are fucked

のオンパレードでした(笑) 普通は婉曲表現のscrewedですが、世界が滅亡するかもしれないやばい状況なので、fuckedの方がぴったしですね。

(追記:4/5)

ventilator / 人工呼吸器

今回不足して世界各国で取り合いになっている呼吸を自動で行ってくれる機械。

social distancing / ソーシャルディスタンシング、社会的距離

感染を拡大させないために出てきた戦略の一つ。他人と距離を取る。dictanceを動詞として使ってます。

toll / 犠牲者(数)

death tollとして使われることがほとんど。コロナウィルスでの死亡者数を表します。

contagion / 伝染病

同名映画「コンテイジョン」もクローズアップされました。

lockdown / (国・街等の)閉鎖、封鎖

ロックダウンは当初中国だけだったのですが、ウィルスの拡大と並行して、様々な場所で実施されるようになりました。ちなみに、ビル・ゲイツはshutdownと言ってますね。

vaccine / ワクチン

予防接種のこと。早急な開発が世界的に求められている状況。

flatten the curve / カーブを平らに

指数関数的に増えていく犠牲者数。その曲線を横ばい(plateau)にすべく唱えられだしたスローガンがflatten the curveです。

plateau / 頭打ちになる

plateauは地理的には高台の意味。そこから転じて、グラフなどがそれ以上上昇せずに留まって、横ばいすることも表せます。

(追記:6/18)

Better late than never. / 遅れても何もやらないよりまし

マスク着用の義務化など、数ヶ月遅れで実施する国も出てますね。そんなときに使われるのがこのことわざ。

mask shaming / 恥ずかしい思いをさせる

面白いことに、mask shamingが二通りの意味で使われています。1つ目は、マスク着用が標準の日本なんかで、マスク着用してない人を後ろ指差して笑うパターン。そして、マスク着用が標準でないアメリカでは、逆にマスクをしてる人をあざ笑うパターン。すごい不思議なことになってます(笑)

www.serendipity.page

second wave / 第二波

コロナウィルスが落ち着いた国では、第二波に警戒しだしてますね。

mandate / 義務付ける

政府が出す方針が単なるアドバイスなのか、このmandateなのかは重要なポイント。例えば、マスク着用とか。

eradicate / 根絶させる

コロナウィルスの患者が数週間出ない国がこのeradicate coronavirusを宣言しだしていますね。実質コロナウィルスへの勝利宣言。しかし、外からの侵入を防ぐため国境を監視しなくてはいけないのは変わりません。

blip / 一時的な上昇や下降

毎日感染者数の増減を見てる人は、ある日増加があっただけで大慌て。でも、それはblipかもしれないから1週間くらい間を置くのがいいですね。あるいは、1週間平均の推移を見るとか。

最後に

今回は新型コロナウィルスのスレでよく見かける語彙を見てみました。多分これだけ知ってれば普通に読めると思います。

この後状況の進展次第で別の語彙が使われていく可能性もあるので、あとから順次追加していきます。

(追記:4/5) 記事を書いてから1ヶ月後の追加です。social distancingやlockdownなどの対策用語が新たに出てきたのが分かります。また、犠牲者の数が増えてきたことで、tollといった中国でしか使われなかった単語も頻繁に使われるように。

(追記:6/18) 更に追加です。