不思議な「More Equal」の意味

ネットでたまに見かけるこのフレーズ「more equal」、前からずーっと気になっていたんですよね。だってさ、equal(平等、等しい)にmoreってそもそもある??って感じ(笑)

例えば、方程式(equation)

x+2y=5

がmore equalって言われてもわかりませんものね。既に「=」なんですから。

でも、「白人は黒人よりmore equal」って感じで普通に使われるんですよ。まあ、行間を読めば、白人のほうが恵まれている的に使われているのは明らかですけど(意味を取れない時は行間を読むのがすごく大事)。

そこで困った時のwiktionaryを紐解くと・・・

more equal

(イディオム的、皮肉)表面上は平等でも、実際は特権をより持つ。

(idiomatic, ironic) Ostensibly equal, but in reality more privileged.

とあるじゃないですか。つまり、表面上平等言ってるけど、実際は不平等だよってことですね。

例えば、アメリカの司法制度なんて二階層になってるのは有名な話で、保釈金を支払えない貧乏人はバンバン前科が付いていく。その一方、同じ罪を犯しても、保釈金が払える裕福な家庭の子はコミュニティーサービスでゴミ拾いくらいすれば許される。万人は法の下に平等なんですが、現実は金持ちがmore equalってわけです。

まあ、本音と建前なんてどこの社会でもあるわけで、それでネットで使われるのかと納得しました。

アフリカライオン
Image by Ian Lindsay from Pixabay

不思議な「More Equal」の語源

そしてここからが面白いんですけど、なんとこの「more equal」の語源はジョージ・オーウェルの『動物農場』なんですって:

全ての動物は平等だが、ある動物は他のものよりより平等なんだ。

All animals are equal, but some animals are more equal than others.
Animal Farm by George Orwell

この表現も面白いですね。「すべての動物は平等」と最初言ってから、「ある動物はより平等」と言ってその特別さを匂わせる・・・

実際のネット上での使われ方は、例えばNBAの選手が新型コロナウィルスのテストを優先的に受けるという記事に

some people are more equal than others?

というコメントがついたり。これもオーウェルを下敷きにして言ってますよね。政府がみんな平等にテストを受けられると言っておきながら、NBA選手を優先。つまり彼らは特権階級であると。

Voxのペットの記事では、ジョージ・オーウェルそのものを引用してますね:

こんな面白い語源ならもっと早く調べておくんだった(笑)

ということで、みなさんにとっては何がmore equalか考えてみるのも面白いかもしれませんね。それでは〜