『Little Goody Two-Shoes』の表紙
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「Goody Two-Shoes」の意味とは?

今回は最近調べてて面白かったイディオム「Goody Two Shoes」の紹介です。意味は「いい子ぶる子、優等生」で、絶対悪いことしない(女の)子って感じ。クラスメイトが悪いことしたら逆に先生に言いつけるタイプですね。昔そんな子がクラスメイトに居たって人もいるかもしれません(笑) その子がgoody two-shoesなんです。

例えば、以下の『メンタリスト』のシーンでは、ジェーンの保護者としてリスボンが校長室に呼ばれる場面。リズボンが「11年間カソリック学校に通って、一回も校長室に呼ばれなかった」と言うと、ジェーンが「それは君が退屈なgoody two-shoes」だからと返します。これ、ちょっとひどい(笑)

リズボン: Eleven years in Catholic school, and I never got sent to the principal’s office.
ジェーン: That’s because you’re a boring goody two-shoes.
『メンタリスト』で、ジェーンが原因でリズボンが校長室に呼ばれる
The Mentalist [Credit: CBS]

「Goody Two-Shoes」に付きまとうネガティブさ

上記例のように、イディオム「goody two shoes」には何故かネガティブなイメージがあるんですよね。良いことだけして悪いことを一切せず校長に呼ばれなかったんだから、みんなから称賛されても良さそうなものですけど。

Urban Dictionaryではもっと辛辣に書いてあります:

Goody Two-Shoes

けなしたり侮辱的な用語、悪いことや道徳に反することはやらないとしてる人に対して。

Belittling and insulting term for a person who won’t do anything that can be regarded as “wrong” or “immoral”.

いや、確かに「正しいことしかしない人」は付き合っててもツマンナイし、こちらの行動に口出ししてきてウザいってのは分かるんですけどね。でも、そこまで言うものなのでしょうか?

「Goody Two-Shoes」の語源

そこで、更に深堀りしようと 「goody two-shoes」の語源を調べてみます。

もちろん由来は、この記事の冒頭に貼った子供向け本『Little Goody Two-Shoes』なのですが、

この本は出版が1765年と言うことで、著作権が切れていて今や誰でも自由に読めますね。 私はグーテンベルク・プロジェクトのサイトで頑張って読んでみました。今では使われないような古い語彙を除けば、読むのはそこまで大変ではなかったので(さすが子供向け!)、皆さんもよかったらどうぞ。

以下、時間のない方向けにこの話のあらすじを簡単にまとめておきます。

『Little Goody Two-Shoes』のあらすじ

昔々、勤勉な一家4人(父母兄妹)が英国に住んでいたんだけど、両親が早々に死去してしまった。孤児となった兄妹は極貧で、妹マージェリーは靴も片方しかない状況で町を食料求めて彷徨う日々。そこに、その話を聞きつけた牧師Goodallが手を差し伸べてくれる。兄トミーを海外に勉強に行かせて、妹には新品の靴を買ってあげるんだ。妹はその靴に大喜び(兄との離別は悲しかったけど)。「見て、私の2つの靴(two shoes)」と会う人会う人に言ったのだから、彼女のあだ名が「Goody Two Shoes」になったのも納得だよね。ここで注目は、彼女は一足の靴(a pair of shoes)を二つの靴(two shoes)と思っていること。だって、彼女は今までずっと片方の靴しか履いてなかったんだから、両足履ける靴を2つとカウントするのは当然じゃない? 閑話休題。そこから彼女は学校の先生になって、自分が昔そうだった貧しい境遇の子供に教育を施す。また、浦島太郎も驚きの、悪ガキにいじめられている動物たちも数多く助けるんだ。龍宮城には行かないから安心して! だから、本の表紙がナウシカもびっくりの動物たちに囲まれているマージェリーの絵になってるんだ。その後、彼女は当時は稀な気圧計を手に入れ、それが天気に関係することを知り、天気予報を始めるんだ。村のみんなはマージェリーの予報の正確さに大喜びさ。しかし、噂になった彼女を訪れた人が彼女が動物たちを率いてる姿を見て驚くんだ、「魔女だ」って。そこで、当然裁判になるんだ(大昔は、なんでもとりあえず裁判なんだ)。でも安心して。これはいわゆる「魔女裁判」ではないから。裁判では気圧計のことを知る人の援護などで彼女は無事に無実を勝ちとるんだ。その後、ある貴族の看病をしてたら貴族にプロポーズされて、これもなにかの縁と受け入れて、結婚式の当日、丘の向こうから遠い昔に海外へ旅立った兄が成功して戻って来たんだって。その後、彼女はさらなる善行を積み重ねましたとさ。めでたしめでたし

最後に

と言う感じで、結局、語源は主人公の女の子マージェリーのあだ名「Goody Two Shoes」からなんです。でもさ、本を読んでても、当のマージェリーには嫌味なところは全く無いんですよね。ぶりっ子でもないし、いい子ぶってるわけでもない。至って普通の善人なんです。 それが、現在は「Goody Two-Shoes」にネガティブなイメージがついてるんだから、言葉の変遷は面白いものですね。

以上、「a pair of shoes」と「two shoes」の違いという、文法的な話が面白いイディオム「Goody Two-Shoes」の紹介でした。

それでは〜


靴のイディオム↓