『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~』の番組宣伝ポスター
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『アップロード』の感想

『アップロード』はアマゾン・プライムに入ってて良かった系の、高度に技術が発達した近未来のとある革新技術をテーマにしたオリジナルの佳作ドラマ。

ハイテク未来をテーマにした映画や海外ドラマに特有の、車の自動運転やドローンによる監視社会、食事も3Dプリントされる系の技術が本作品にもふんだんに登場する。どれもこれもどこかで見たことあるおなじみのやつ。そこで辟易して見るのを止めてしまっては、本作はちょっともったいない。というのも、こういったテーマの作品の面白さの鍵は、そこで描かれる他のドラマでは見たことない革新的技術と、その技術にまつわる人間模様や悲喜こもごもだから。

それでは、本作品に登場する特有の革新的技術とはなんだろうか? それがタイトルの「アップロード」。アップロードは、もちろん「データを上げる、送る」という意味なんだけど、本作品では1人の人間のそれまで生きてきた全ての情報をデジタル化して仮想世界にアップロードし、その世界で独立して暮らせるようになる技術という壮大なもの。あたかも1人の独立した人間として、仮想世界で自立行動できるのだ。そして更に、その仮想世界を通して経験したことや、逆にリアルの世界側とコミュニケーションを取ることで、その仮想世界の個人はリアルの世界と同じように考え・生活し、成長もする。たとえると、3DRPGをプレイヤーがプレーするんじゃなく、生前の人格そっくりのキャラが勝手に行動していると思ってもらえればOK。他の「アップロード」された人々と交流もできるんだ。ただし、その仮想世界はほとんどリアルと区別つかないくらい精巧なんだけどね。

『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~ 』で、あの世のレイクビューでの朝食
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こう言うと、リアルの世界側のその当人がどうなるかが気になるんだけど、そこはご都合主義の制限事項があって、「アップロード」するためにはリアル側の人物は死ななくてはならないの。それはデータをスキャンする際の制限なんだけど、詳しくは本編で確認して欲しい。すごくグロいんで(笑) 本作には、他にもエログロや、 放送禁止用語がよく出てきますのでご注意を。

だから、基本「アップロード」をする人は死ぬ間際の老人がほとんどなんだよね。だって、いくら仮想世界で永遠に生きられると言っても、リアルの生活を失ってまで仮想世界に行きたい人はいないから。加えて、彼らは基本超裕福。というのも、仮想世界でも維持費が毎月かかるんだ。例えると、スマホのデータ通信費用みたいな感じ。こんなところにも貧富の差を反映させるところに、作り手側の現代社会への風刺が見て取れる(笑) さすが、ザ・オフィスやパークス・アンド・レクレーションの制作陣だけはある。実際、2ギガという下層の仮想世界も存在して、そこは白一色の作り込みも全くない部屋で、毎月のデータ制限2Gがあるという寂しい場所だったりね。

更に言うと、「アップロード」せざるを得ない別の人々も少なからず登場する。それは、死が目前に迫っている人達。回復の見込みがない末期患者なんかがそう。遺族が死後も彼・彼女と会いたいと望んで、患者を「アップロード」し仮想世界で暮らさせるんだ。

『アップロード』のあらすじ

以下、大まかなあらすじ。

本ドラマの主人公ネイサンもそんなタイプの1人。前述のように裕福層しか「アップロード」サービスを享受できない状況を変えようと、費用がかからない「アップロード」模倣ソフトを開発してるエンジニア。そんな彼が交通事故で死の間際になったから大変だ。金持ちの恋人イングリッドは機転を利かせてネイサンを「アップロード」し、彼の死後も二人でコミュニケーション取れるようにするのだった。

その一方、「アップロード」サービスを提供しているホライズン社の顧客担当のノラは今日も今日とて、仮想世界でのアップロードされたクライアントの世話をする忙しい日を送る、女上司からの嫌味にも負けずにね。そんな彼女のところに送られて(アップロードされて)来た新規クライアントがイケメンのネイサンだったところから物語は動いていくんだ。ネイサンのスキャンデータにエラーがあることを不思議がりつつも、二人はなんとはなしに意気投合していく。そして、サービス提供者とサービス享受者、生者と死者、恋人なしと恋人ありという禁断の一線を次第に越えていく二人って感じ。

そんな折、ノラはネイサンの死に疑問を持ち始めていく。というのも、自動運転車が交通事故を起こすなんてあり得ないからね。次第に、ネイサンは事件に巻き込まれ殺されたのではないかと確信し、前述のエラーデータの復旧に取り組んだりして、自身の命も狙われるのだが・・・

ドラマ最後には意外な展開が待ち構えており、シーズン2に続く終わり方なので、この『アップロード』は今後も期待が持てそうです。アマゾンのキラータイトルに成長すればいいんだけど。

なお、このドラマを見続けられるかは、途中途中で挟まれるくだらないテクノロジー風刺ネタを受け付けられるかに掛かっているかもしれません。前述の2Gとか、他にもなんでも五つ星で評価する風潮とかね(笑)

『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~ 』で、サービスを5つ星で評価するネイサン
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あとは、アプリ内課金とかw

『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~ 』で、レイクビューでのアプリ内課金
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それらが問題なくて、この「アップロード」というアイデア自体に興味が持てるなら本作を見てみると面白いかもしれませんね。それに、現在初動とは言え、IMDbでは★8.3で高評価ですしね。

視聴後に自分だったら「アップロード」するかどうかというのは、なかなか面白い思考実験ですね。私の場合はどうだろう。その前に毎月課金し続けられるようにお金貯め無いと(笑)

残り0.01Gigとなったのでこの辺にしておきましょうかね(笑) それでは〜