「Cut to the Chase」の意味

英語学習で勘違いしていたシリーズ(?)の続編です。今回はイディオム「cut to the chase」。このフレーズは会話なんかで「余計な部分を飛ばして本題に入る」際に使われます。

ロス: Let’s just cut to the chase. Heidi, which of my boys do you like?
『フレンズ』で、ロスはヘイディーにチャンドラーとジョーイどちらが好きか尋ねる
Friends [Credit: NBC]

まあ、勘違いしていたと言っても意味自体は正しく認識していたんですけどね。語源自体をまるっきり正反対に受け取っていたというのが今回の話。

「Cut to the Chase」の語源

映画業界から由来

このイディオム「cut to the chase」の中の「the chase」ですが、映画やテレビ番組などに出てくるチェイス(追跡)シーンを表しています。主人公の乗ったパトカーが犯人の逃走車を街なか追いかけるなんてのがそう。

ところで、皆さんにここで質問。この追跡シーンって面白いと思う? どう? 正直に答えて。

例えば、以下は古い海外ドラマ『V』の中から宇宙船のチェイスシーン。

『V』で、主人公の乗った宇宙船が追跡者から逃げる
V [Credit: NBC]

これ見て面白い? 私は全然面白いと思わないんですよ。逆に、時間埋めるために撮ってるのかってくらいの印象なんです。だって、ストーリーに関係することはチェイスシーンでは何も起こらないですからね。

一般的には、高速道路を逆走して、対向車を避けつつ追跡。最後に犯人の車が逃げ切るのか障害物にぶつかって大破するのかは分かりませんが、もうほぼテンプレ的なんです。

私の誤解

だから私が「cut to the chase」を「チェイスシーンをカットする」と受け取ってたとしてもおかしくないですよね?(笑) だって、つまらないんだから必要ないじゃん。実際、ずーっとそう思ってたんです。

しかし、語源を調べてびっくり。なんと、真逆だったんですよ。チェイスシーンは一般大衆的には面白いのだそうです。だから・・・

カットするのはチェイスシーンじゃないんです! (一番面白い)チェイスシーンまでの余分なシーンをカットするんですよ!

実際、Wiktionaryには

Cut to the Chase Etymology

映画業界の慣習から:興奮するパートに行くようフィルムをカット・編集する。

From cinema usage: to cut (edit a film) so as to get to the exciting part.

とあるじゃないですか!

前置詞「to」の存在

その瞬間、私はあることに気付きます。cut to the chaseにある前置詞「to」の存在に・・・。このtoはチェイスシーンへと目的地を表しているんですね。つまり、カットシーンまで(to) なのでした。

映画業界の慣習

気になって上記「映画業界の慣習」を詳しく調べると、次のようなことが分かりました。

映画が大衆化した当時の話。監督が脚本通りに映画を撮ってるとします。でも、どうも今撮ってるシーンはつまんないんですね。大衆受けしないのが明らかに分かります。そんな際、監督が言うんです「Cut to the chase」と。つまり、今撮ってるシーンから脚本全部カットして、観客が求めるカーチェイスのシーンに撮影を移すんです(笑)

A Way with Words | Roots of “Cut to the Chase”⤴️

結局、イディオム「cut to the chase」はチェイス(追跡)シーンが映画の華だった時代に生まれたフレーズだったのですね。それを現代の私が追跡シーンはつまらないと早合点して、全く逆に受け取っていたのでした(笑)

最後に

今回は、最終的な意味は合ってたんだけど、その内容を全く正反対に勘違いしていたというお話。こういった語源が分かると、このイディオム内での前置詞「to」の重要性とか改めて理解できるから、イディオムを正確に覚えるって観点では良いですね。だって、「cut the chase」なんて言う間違いは絶対しませんからね。

気になったイディオムは語源等調べてみると面白いかもしれませんよ。それでは〜


↓前回の勘違いシリーズ