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以前名作『オズの魔法使い』のセリフを使ってhomeの説明を試みたことがありましたが、その記事の冒頭で述べた「home=愛のある場所」という説明にしっくり来るシーンって、今までなかなかなか見つけられてなかったんです。

そしたら先日、意外にも簡単に見つかってしまいました。赤毛のアンを基にした海外ドラマ『アンという名の少女』を再視聴していた時のこと。今回はそれを紹介します。

アンは親がいない孤児院ぐらし。里子に出されますが、その家では8人の幼児の世話を失敗しては虐待を受ける毎日。

アン: Please, please, I...
里親: This'll teach ya.
『アンという名の少女』で、里子に出された家庭で虐待を受けるアン
Anne with an E [Credit: CBC Television]

その虐待をしてる最中に里親が心臓発作で死にアンは孤児院に戻されますが、その孤児院でも他の子供からいじめを受けるアン。

We're sick of you and your stupid stories.
『アンという名の少女』で、孤児院でいじめを受けるアン
Anne with an E [Credit: CBC Television]

さて、このアンにとってのhomeとはどこでしょうか? 里親の家でしょうか? 絶対違いますよね。虐待を受ける毎日。そこには愛なんてものはないのですから。実際、赤ん坊の鳴き声を聞くだけで、その時のトラウマがフラッシュバックしてしまうアン。

それでは孤児院はどうでしょうか? こちらもいじめがあってhomeとは言えません。実際、後のエピソードで孤児院に戻ってくるシーンが描かれますが、孤児院での辛い記憶が蘇って、結局アンは中に足を踏み入れず引き返してしまうのです。そんな場所はhomeとは呼べませんよね。

つまり、アンにとってhomeと呼べるものはこの世界に存在しないのです

そんな折、マシューとマリラ兄妹がアンを養子として迎えるとなったのですから、アンの喜びようは半端ないわけです。道中、幾度となく腕をつねって夢でないことを確認して痣ができてしまうほどなんです。homeと呼べるものが人生で初めてできるのですから。

その「home」という単語が持つ意味に感動するアンの姿は次のシーンのセリフに集約されています。homeと聞いて感動する人が世の中でどれほどいるでしょうか? 人生で初めて、愛のある、温かみのある「我が家」に住めるんですからね。

マシュー: We're pretty near home. Just another mile or so.
アン: Home. What a wonderful word.
『アンという名の少女』で、アンはhomeという単語に喜びを感じる
Anne with an E [Credit: CBC Television]

だから、マシューとマリラ兄妹が元々男児を欲していたのにアンは手違いで送られて、最終的にアンは孤児院に戻されると知った時の彼女の絶望は想像を絶するものなのです。また元のhomelessに戻ってしまうのですから・・・。

homeなんて当たり前のものと我々は考えがちですが、実際そうではないんだよと『アンという名の少女』が教えてくれた気がします。

これ以降のストーリーは実際のドラマで確認して下さい。かなり面白いのは保証します。

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なお、このドラマのアンは、自分が見てきた海外番組の中でも上位に入るほどの小難しい英単語を使うんですよね。英語に自信のある人は彼女が使う単語がすべて分かるかチェックしてみるのも面白いんじゃないかな。それでは〜

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