『コブラ会』がYouTubeからNetflixに移ったその背景とは?
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祝!『コブラ会』のネトフリ移籍
私は、『コブラ会』という海外ドラマが大好きなんですよ。実際、『コブラ会』の宣伝を兼ねた記事を何本も書いてるくらい(笑)
でもね、こんなに面白いのにみんな見てくれないんですよ😢。だって、
YouTubeだから(笑)
そうなんです。ストリーミングの媒体がYouTube Premium とマイナーであるため、より多くの人が見る機会がないんですよね。多分、YouTube Premiumってなにそれ?美味しいの?って人が大多数の現状ですし。実際、自分も既に加入してませんし。それ故、『コブラ会』の存在自体知らない人が多そう。
そういう海外ドラマのファンって、かなりビクビクもんなんです。末永く続いて欲しいシリーズなのに、いつ首切られるか分からない状況なんですもん。
上記記事内でも
YouTubeさん、お願いだからドラマ『コブラ会』に対し、Strike First! Strike Hard! No Mercy! は止めてくださいね(笑)
と書いたくらいです(笑)
でも、『コブラ会』シーズン3の更新のニュースが出てきた後は、シーズン3の作品自体が出てこなくて、シーズン4の情報もなかなか出てこなくて、そうしたらYouTubeじゃない可能性とか流れて来るもんだから、心配ったらありゃしない(笑)
コブラ会シーズン3がYou Tubeじゃない可能性だって。ネトフリへ全シーズン移籍でよくね?(笑)https://t.co/eTwFy2Zgjt
— insanely serendipitous (@drama_eigo) June 9, 2020
そんな中出てきたのが『コブラ会』のネトフリ移籍の情報だったんです

だから、もうね、『コブラ会』の一ファンとしたら、嬉しいことこの上ないんです。心肺停止してる患者に心臓マッサージしてたら息を吹き返したくらいの感じw ちょっと意味不明ですが、それくらい天にも昇る心地になったのです。ストーリー自体は面白いから、ネトフリのすぐキャンセル病がたとえあったとしても、あと数シーズンは確実に補償された感じですもん。
でも個人的に気になったのが、YouTube Premiumからネットフリックスに移った経緯です。そこで週末、ちょっと深堀りして調べたので、以下まとめておきます。ソースは主にredditです。
YouTubeの迷走
まずはYouTubeについて述べないわけにはいきませんね。
YouTubeは皆さんご承知の通り(?!)オンラインデートサイトとしてスタートしたわけですが(笑)、誰も動画をアップしなかったので普通の動画投稿サイトになった経緯があります。
@YouTube は当初オンラインデートサイトとして始まったんだけど、最初の5日間誰も自分をプロモーションする動画を上げなかったので、一般の動画サイトに急遽路線変更したんだとか。もしもだよ、その5日間に誰かが動画を上げてたら、今どうなっていたんだろう?(笑)https://t.co/9TncRcNDcF
— insanely serendipitous (@drama_eigo) July 23, 2019
その後、ネットの巨人ことGoogleに買収されるわけです。
そのGoogleの持つ潤沢な資金とインフラを武器に、YouTubeは更に成長していくわけです。動画の間に挟む広告が収入源ですが、儲けを更に増やしたいと考えるなら、海外ドラマや映画も視聴できるようしてシナジー強化するのは当然のこと。
そこで登場したのが、月額サブスクリプションサービスのYouTube Premiumなのでした。
このYouTube Premiumには、YouTubeの広告がなくなったり、音楽聴き放題なども入ってるわけですが、しかし、それだけでは競合他社との差別化という点ではちょっと負けているんです。
そこで差別化・競争力をつけるための手段として出てくるのが、他では見られない独自のコンテンツを提供すること、ですよね。
それはネトフリやAmazonも今までやってきたことですし、そしてYouTubeも当然それを試みたのです。その結果が海外ドラマ『コブラ会』なのでした。
ところで話は脱線しますが、ネトフリと言えば、彼らが成功した一因としてサブスクリプションにしたというのがありますよね。オンラインストリーミングではなく、その前身DVDレンタル時代に既に。1本見るのにいくらではなく、月に固定額を払えばサービスを使い放題。一見ネトフリ側が損しそうなサービス形態ですが、客は毎日サービスを使いまくることはあまりしないし、一度契約してしまえば人はずっと加入し続けるので、結局そこで平均化されるという寸法。これに関しては、以下の洋書に赤裸々に書いてありましたっけ。
日本語訳が既に出てますね↓
閑話休題。そしてここから、YouTubeは『コブラ会』以外にも、独自のオリジナルドラマを立て続けに出します。以下は List of YouTube Premium original programming⤴️からの一部抜粋です:
題名 | 放送日 | シーズン | 状況 | |
---|---|---|---|---|
Impulse | 2018/6/6 | 2 seasons, 20 episodes | Ended | |
Origin | 2018/11/14 | 1 season, 10 episodes | Ended | |
Wayne | 2019/1/16 | 1 season, 10 episodes | Ended | |
Sideswiped | 2018/7/25 | 1 season, 8 episodes | Ended | |
Step Up: High Water | 2018/1/31 | 2 seasons, 20 episodes | Moved to Starz for season 3 | |
Cobra Kai | 2018/5/2 | 2 seasons, 20 episodes | Moved to Netflix for season 3 |
ここで注目が状況欄。実は、みんな打ち切りしているか、他の媒体に移っているんですよ(笑) 2018年から2019年にかけてYouTube内で何か方針が変わったのが明確に見て取れますよね。
事実、このことは報道からも読み取れます:
YouTube pulls plug on premium scripted
ユーチューブはプレミアム向け脚本あり番組の生命維持装置の電源を抜く
Web video platform reportedly culling drama and comedy
ウェブビデオのプラットフォームは伝えられるところによるとドラマとコメディを処分
YouTube is turning away from premium, paid-for drama and scripted comedy and has stopped taking pitches from producers in the genres, according to a report from the US.
ユーチューブは有料プレミアムのドラマと脚本コメディから目を背けつつある、それらのジャンルの売り込みをプロデューサーから聞くことを止めている
と2019年3月の記事にあって、今となってみれば、既にこの時点でドラマからの撤退は決まっていたみたいですね。今後は、ドキュメンタリーや音楽・教育に集中して、ネトフリ等競合と差別化を図っていくみたいです。まあ、確かにYouTubeがこのまま同じことを推し進めても、Amazonと同レベルにしかなりませんからね。
ということでまとめると、YouTube自身がオリジナルドラマ・コメディ制作から撤退ということで、『コブラ会』も打ち切るか、他に移るかを余儀なくされたのでした。
ここで面白いのは、『コブラ会』シーズン3自体は2019年5月にYouTubeからゴーサインが出て制作を開始し、もう既に完了しているんですよね。ここは上で述べたYouTube全体の方針と矛盾してる気がしますが、『コブラ会』が異様なヒットになってしまったがため、『コブラ会』だけ特殊対応(延長)になったんだと思います。でも、シーズン4についてはYouTubeから正式にゴーサインが出なかったので、制作陣は移行先を探して、それが今回のネトフリだったのですね。
ちなみに、これまた面白い話があるんですが、実は『コブラ会』をネトフリに売り込むのは今回がなんと3回目なんですよね(笑)
1回目が、YouTubeとも契約していないPilot版の時期。
The series landed at YouTube Red following a competitive bidding process that sources say also included offers from Netflix, Amazon, Hulu and AMC after Macchio and Zabka pitched the series all over town.
上記記事には、YouTube以外にネトフリ、アマゾン、Hulu、AMCが入り混じっての入札競争になり、最終的にYouTubeが勝ったことが書いてあります。つまり、この時点ではYouTubeはやる気満々だったんですね・・・
なお、その当時ネトフリに番組を売り込んだ際の写真が、ラルーソー・オートの社長から公開されています(笑):
#TBT This awesome pic was taken just moments after we pitched @CobraKaiSeries to @Netflix in April 2017. It took us a minute to get there but here we are on #COBRAKAI #NETFLIX EVE! So excited to launch around the world tomorrow!!! pic.twitter.com/JfAIW1nT2u
— Ralph Macchio (@ralphmacchio) August 27, 2020
ちなみに、なぜダニエルとジョニーが売り込みに参加してるかですが、実はこの二人は番組のプロデューサー(co-executive producer)に名を連ねているからですね。
その次の2回目の売り込みは、『コブラ会』シーズン2公開の前。時期は2019年の春ですから、YouTubeがやる気を無くした時期とちょうど一致してますね(笑) YouTubeにこのままいたら首になると、外部のネトフリに売り込みに行ったんでしょう。でも、残念ながら、その時は合意には達しなかったみたいです。
そして、三度目の今回の交渉で見事ネトフリ移籍ということになったのです。三度目の正直とはよく言ったものじゃない?(笑)
以上が大雑把なまとめです。タラレバを言ったらきりがありませんが、最初からネトフリに貰われていれば、こんなゴタゴタにはならなかったのかもしれませんね。そういう意味では、当時のネトフリの担当者の見る目の無さを恨むしかありません。
それでは、また〜。
(追記)↓『コブラ会』シーズン3の情報を集めてみました
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