今回紹介する「take it」はイディオムでもないし、特別な意味なんてものは全くありません。 ただ、「それあげる、持っていって」と自分の所有物を相手に譲る時に使われるフレーズです。

海外ドラマの例をあげると・・・

次の『アンブレラ・アカデミー』では、レナードは自分が作った人形をヴァ―ニャが気に入ったので、あげることにします。

Take it.
『アンブレラ・アカデミー』で、ヴァ―ニャに人形をプレゼントするレナード
The Umbrella Academy [Credit: Netflix]

『ベター・コール・ソウル』では、横領した金が見つかってしまったので、札束を突きつけて、Take it。つまり、賄賂ですね。

ケトルマン夫人: Take it.
『ベター・コール・ソウル』で、ケトルマン夫人はジミーに賄賂を贈ろうとする
Better Call Saul [Credit: AMC]

最後の『ゲーム・オブ・スローンズ』では、灰鱗病に感染したシリーン・バラシオンが文字が読めないダヴォスに本をあげます。読み方も教えてくれるんだそう。

シリーン: Take it. I have more.
『ゲーム・オブ・スローンズ』で、灰鱗病のシリーンはダヴォスに本をあげる
Game of Thrones [Credit: HBO]

ほらね。なんの変哲もないフレーズでしょ(笑)

でも、これの日本語バージョンを子供時代によく聞いたなあと、さっき唐突に思い出したんです。

海外の八百屋
Image by Ron Porter from Pixabay

数十年前、昭和の時代のお話。今みたいな大型スーパーなんてものはあまりなく、商店街には肉屋、八百屋、魚屋というように専門の店が並んでいた時代。

当時の私は子供で、よく親にお使いに行かされてたんですよ。でも、子供なので何を買えばいいのか分からないわけで、だから親が買うべき商品を紙に書いて、私は店の主人にその紙とお金を渡して、商品とお釣りを受け取って無事戻ってくるのが仕事(笑)

子供心に私はそのお使いを結構楽しんでいたんですよね。というのも、地元の八百屋さんにめっちゃ気に入れられていて、行くといつも「坊主来たな」とか声を掛けてくれたんです。そして、店の主人が商品を詰めてる間に私がミカンとかりんごを物欲しげに眺めていると、「ええい、持ってけ!」とミカン1個くれるんです(笑) いまのスーパーだとあまり考えられない仕組みですよね。でも、昔はそうだったんです。そういった人情が町に溢れてたんですね。

この「もってけ」が、実は今回の「Take it」なのでした。

そんな八百屋さんも、というか町の商店街自体が時流にはついていけずに、近くにできた大型スーパーに客を取られてゴーストタウン化。最後にはシャッター街になってしまいました。

そんなことを、「Take it」を聞いて思い出してしまった。この次「Take it」が聞けるのはいつになるのでしょうかね。海外ドラマの中でしか聞けないのは、ちょっと寂しいかな。

それでは、また〜