『GLOW』にあった不思議なシーン

シーズン3で打ち切りが決定したネトフリの『GLOW』を見返していたときに不思議な場面を見つけました。

シーズン1のエピドート7、いよいよお客の前でレスリングをするという直前、監督のサムは女性陣を前に叱咤激励(pep talk)的なことをします。

サム: I guess I should try to bolster you all. Wish I could tell you there’s a full house out there, but there is not. It’s respectable. About 20 to 30 people, freaks, some children, a homeless guy.
『GLOW』で、
GLOW [Credit: Netflix]

コメディではpep talkはうまく行かないのがお約束ですね。最後に、「Break a leg」と定番のイディオムで〆るサム。しかし、ルースはそれが「places」なのか?と尋ねるんですね。

サム: Um… Anyway… Break a leg.
ルース: That’s it? Is that “places”?
『GLOW』で、
GLOW [Credit: Netflix]

サムがそうだと答えると、ルースとデビーだけが「Thank you, places」と声に出すんです。

サム: Sure, Ruth. Places.
ルース&デビー: Thank you, places.
『GLOW』で、
GLOW [Credit: Netflix]

意味は全く分かりませんが、なにか儀式的なものが背後に隠れてるのは分かりますよね。そこで、今回これを調べて見ました。

「Thank you, places」大調査

まず、Urban Dictionaryに尋ねてみると、1件ヒットしますね:

thank you, places

Originates from the area surrounding OCHSA,… Requested to be called out by cast members whenever choreographers or stage managers call for places.

オレンジ州芸術学校(Orange County School of the Arts)周辺に端を発する・・・出演者はこれを叫ぶことを要求される、振り付け師や舞台監督が「places」を求めたときに。

とあって、どうも芸術学校の伝統のようです。海外ドラマ『GLOW』の中では、ルースとデビーだけが役者としての正統な教育を受けているので、それで二人だけ「Thank you, places」と反応しているのですね。

それでは、肝心の「places」の意味は何でしょう? なんか複数形になってますが・・・

こちらは演劇用語集のサイトに載っていました:

PLACES!

A call to the actors to take their positions on, or just off the stage, as needed for the opening curtain.

自分の所定位置に付く(舞台から降りる)よう求める役者への呼びかけ、劇が開幕するにあたって

とあって、要は幕が上がる直前の自分のポジションに付けと命じるときの決り文句なんですね。役者が複数いるから、placesとこちらも複数なのでした。

これを踏まえると、『GLOW』の上記場面の意味が完璧に分かります。

サムがpep talkみたいなことを言って、ルースはちょっとズコーとなって、「それだけ?(That’s it)、各自位置につけなの?(Is that “places”)」と聞くんです。 そして、サムが「そうだ、placesだ」と答えると、ルースとデビーは伝統に則り「thank you, places」と声に出したんです。だって、舞台監督のサムからplacesを求められたわけですから。

だからまとめると、「Thank you, places」はplaces(開幕のため自分の所定位置に付くよう)求められたときに叫ばれる演劇用語・儀式なのでした。

でもこれってかなり分かる気がします。売れない役者さん達が劇が開幕する前、自分のplaceがあるということに感謝して「Thank you, places」と口に出すのって。

そして、これは演劇の世界だけでなく、他の職業にも通じることでもあります。placesがあることは素敵なことなんですね。日々「Thank you, places」って感謝の心を忘れずにいたいもの。そんなことを考えさせられてしまいました。

最後に

なお、「Thank you, places」なんてフレーズは英語勉強の上では全く知る必要はないんですけど、こういう風に海外ドラマなんかで出てきて気になったことを調べてみると、なかなか面白いもんですよ。そして、その調査過程で実は英語を結構学べてたりするので、気になったことはどんどん調べてみてください。すぐに答えが出なくても、10年後に分かったりすることもありますので気長にね(笑)

それでは〜