ドリル(drill) は既に日本語にもなっていますよね、穴をあける工具として。

工具のドリルで木材に穴をあける
Image by bidvine from Pixabay

実はこれ以外にも、このdrillには英語で面白い意味があるので、今回はそれを見ていきます。その意味とは「訓練」。

この訓練の意味でdrillが出てくる時は、防災訓練等の文脈で出てくることは海外ドラマでは多いようです。

例えば次の『ビッグバン★セオリー』では、緊急事態訓練と称しシェルドンに深夜に叩き起こされるレナードの図。これがまさしく「訓練」の意味のdrillですね。

レナード: What the hell?
シェルドン: Emergency-preparedness drill.
『ビッグバン★セオリー』で、緊急事態訓練でシェルドンに起こされるレナード
The Big Bang Theory [Credit: CBS]

さて、この訓練のドリル。実は、我々は既に子供の頃に出会っていると言ったら、皆さんは驚くでしょうか?

なんと、小学校でやらされたあの「計算ドリル」「漢字ドリル」がまさにこの訓練の意味のdrillだったんですね(笑) あのドリルで、なんども同じような計算を繰り返し、同じ漢字の書き取りを繰り返しながら、練習・訓練していたわけです。こういう繋がりを知ると、英単語も簡単に覚えられますよね。

ところで、海外ドラマでは訓練のdrill単独よりも、「You know the drill」というテンプレフレーズの方がよく出てきます。実はこちらが今回紹介したかったもの。

このdrillは上の訓練とは少しだけニュアンスが違うんですよね。なので、意味がちょっと取りにくい感じ。

このフレーズはUrban Dictionaryを見てみると、次のように意味が載ってます:

you know the drill

an expression meaning “you know what to do, no questions required”.

「やるべきこと分かってるだろ、質問はなしだ」を意味する表現

これを簡単に説明してみましょう。地震に対する避難訓練をすることを想像してください。地震が落ち着くまで机の下に隠れて、地震が収まったら、防災頭巾を被って、廊下に一列に整列。そしてクラスごとに順番に校庭に避難するんです。「おはし」こと、おさない、はしらない、しゃべらない、を守って。

そういう一連の手順が既に決まっていますよね。訓練中は後はそれに従うだけ。その手順のことをthe drillと言っているんですね。だから、「やるべきことは分かっている」という確認等で海外ドラマでは頻出するんです。だいたい、先輩が後輩に言うパターンが多いでしょうか。

以下、You know the drillというフレーズが出てくる場面をいくつか見ていきましょう。どんな手順をthe drillとしているんでしょう?

まずは『ベター・コール・ソウル』のジミーとマイクが出会うシーン。ジミーが金が無いとして5ドルで済まそうとすると、マイクはそれを拒否。You know the drillと告げます。つまり、駐車場を出るのに踏まなくちゃならない手順=金が必要なのは分かってるでしょと言ってるわけですね。

ジミー: I have $5. Please?
マイク: You know the drill. Money or the validation.
『ベター・コール・ソウル』で、ジミーとマイクは裁判所の駐車場で出会う
Better Call Saul [Credit: AMC]

昔懐かしの『メンタリスト』では、ジェーンが殺人事件現場の証拠品を勝手に持ってきてしまいます(笑) リズボンは、証拠品をどう扱うべきか手順は知ってるでしょとYou know the drillで言いますが、我関せずのジェーンです。

リズボン: Hey, that’s evidence. You know the drill.
『メンタリスト』で、事件現場の証拠品を勝手に持ってきてしまうパトリック・ジェーン
The Mentalist [Credit: CBS]

次は『マーベラス・ミセス・メイゼル』から。ミッジが酒場で持ちネタのお笑いを酔い客に披露してる場面。すると、突然警察官が入ってきて、ミッジの言葉遣いが公共の場にふさわしくないとし、独演を止めようとします。その際、You know the drillです。つまり、ミッジは以前一回捕まっているので、この後どういう法的手続きを踏むかを知ってるだろと言ってるわけ。

警察官: I told you about the language. You know the drill.
『マーベラス・ミセス・メイゼル』で、ミッジの公演を止めに入る警察官
The Marvelous Mrs. Maisel [Credit: Amazon Prime Video]

最後に『ザ・ボーイズ』から、嫌なdrillの例。

ホームランダーとメイヴは立て籠もり犯をいきなり撲殺してしまいます。そこで、ホームランダーがYou know the drillと言ってから、メイヴを犯人のマシンガンで撃ち始めます。メイヴも、「犯人が先に撃ってきた」と手順を諳んじつつ、銃弾を浴びます・・・。つまり、無抵抗の犯人を殺したら正義のミカタとして失格なので、犯人が先に襲ってきたと偽装してるんですね。そして、その手順をthe drillとしてるんです。この会話から以前から同じことを何度も繰り返してきたことが伺えますね。

ホームランダー: You know the drill.
クイーン・メイヴ: He shot at us first.
『ザ・ボーイズ』で、犯人が先に撃ってきたと証拠を偽造するホームランダー
The Boys [Credit: Amazon Prime Video]

最後に

今回は「You know the drill」というフレーズを見てみました。意味は、標準として定まっている手順のことをthe drillで表し、そのことを知っているだろと確認の意味で使われるのでした。

まあ、社会に一歩出てみれば、世の中はドリルだらけとも言えるので、小学生のときからあまり変わってないのかもしれません(笑)

それでは、またー