『地球外生物の世界』ポスター
Alien World [Credit: Netflix]

我々が暮らす地球の外、太陽系から更に離れたところには、何かしらの生命体が住んでいるのではないか?という疑問は誰もが持つものだと思う。そして、住んでいるのだとしたら、一体どんな環境に住み、どんな生態を保持するのか・・・?

2020年の年末にひょっこり現れたこのミニ・ドキュメンタリー『地球外生物の世界』は、断片的ながら、その疑問への一つの回答となるかもしれない。

・・・というような高尚なことは実は一切意識せずに、私はこの一見ドラマっぽい番組をふと見始めたのです(笑)

だって、上のポスターを見てよ。キモかわいい生物が写ってるでしょ。そして、エイリアンの文字・・・。だから、その時の自分の気持ちは

はいはい、水をかけちゃ駄目なやつでしょw。でも、結局水かけて増殖するんだよねー。ま、時間あるから見てみようか

ってくらいのノリだったの(笑)

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そうしたら、実はすごい硬派なドキュメンタリーでびっくりしたわけ。

この番組のテーマは、地球外に住む生物がどんな形態かを、(CG?)クリエーターの想像力と現在の地球に住む動植物からの科学的な類推で明らかにしていくこと。

例えば、重力が地球の2倍ある惑星アトラス(エピソード1)を考えてみよう。

『地球外生物の世界』で、惑星アトラスのデータ
Alien World [Credit: Netflix]

そこは重力が大きいから飛翔する生物なんて居ないかと思いきや、なんと大空を闊歩している住人がいるんだ。なんだ?、この直感に反する話は。

でも、なんてことない。重力が大きいゆえ大気が濃くなるので、逆に地上に降りる必要もなくこの飛翔生物は永久に飛べるということが説明される。こんな感じで、個人的にこのドキュメンタリーは他のものとは違い、なかなかためになる新しい視点が多いと感じた。

『地球外生物の世界』で、永久に飛べる飛翔生物
Alien World [Credit: Netflix]

そして番組は、地球上に生きる全ての生物が必要な太陽や水といった超基本物質は、地球外でも同じように必要という妥当な推論のもと、地球外生物の形態を一つ、また一つと想像力をフル回転して明らかにしていくんだ。美麗なCGと一緒にね。その際に、地球側の対応する生物を詳しく美しい映像も交えて説明してくれるので、そこは通常の自然ドキュメンタリーと言っても差し支えないと思う。

ところで、この辺でこの『地球外生物の世界』を視聴する際の注意点を述べておかないといけない。この作品のクリエーターは上で述べたように想像力がすごいんだけど、違った方向に尖っているんだ。だからからか、CGで作り上げた生物が全部気持ち悪いんだ。なんだ、この悪趣味全開は(笑)

自分が最高にキモかったのが次のペンタポッド。五足獣なんだけど、その動く姿は吐き気がするくらいマジにキモいの。そのへんのホラー映画なんかより怖いw 下の影になってるマイルドな場面ですら鳥肌が立ってくるよ・・・。しかも、このペンタポッドがそこの惑星ではある意味最強なので、更に恐怖です。だから、こういったものに耐性がない人は、この番組は絶対見ないほうが良いでしょうね。ホント逆毛立つから。

『地球外生物の世界』で、地表をペンタポッドが闊歩する
Alien World [Credit: Netflix]

なお、番組最後のエピソードのテーマが、知的生命体の話。つまり、端的に言えば宇宙人ってこと。そんなものが居たら、どんな形態なんだろうか?がテーマなんだけど、ここは少し話が突飛な感じが否めなかったかな。最後の締めも、地球に向かっているかもしれないというお決まりにものだったしね。

最後に、キモCG以外の感想を。

まず、同種のドキュメンタリーにはない視点が面白かったのは間違いない。地球上の不思議な生物の形態や美麗な映像といった定番なところで止まってないのがこの『地球外生物の世界』の長所だ。そして、地球外というテーマゆえ、普段は見られないアイデアなどが提供されて、かなり知的好奇心を刺激されたのは間違いない。

一方の欠点は、CGの使い回しが非常に多いんだ、この番組。同じCGを5・6回見ることになることもあるくらい。CGなんだから、一回クリーチャーをデジタル化してしまえば、後は動かし放題だと思うんだけど、何故か同じCGを使い回すんだよね。そこがとても残念だった。

そして、この番組は地球外というテーマはあるんだけど、なにか付け焼き刃な感じが視聴中ずっとつきまとっていた。なんだろ、いろいろ食材を集めたけど、調理してもハーモニーになってない感じ。結局ポトフなんだよね。もう一歩深堀りしてくれたら良かったのにってのが見終わった直後の感想だった。

だから、総合評価は可もなく不可もないMehって感じ。全4エピソード3時間半。時間があまってて、キモいCGに耐えられる自信があるなら見て良いと思う。逆に、やばそうと思ったら見ないほうが良いでしょうね。時間は有限だから、有効活用してくださいな。IBDbでも現時点で☆7.1と「だよねー」って感じだし(笑)

さて、最後に視聴者に残された一つの疑問。

なぜ、CGがこんなにキモいんだ?

をここ数時間ずっと考えている。なにが彼らをそう駆り立てたのか? だって、ありえないレベルでキモいんだ。能力の無駄遣いなんだよね。コロナで外出できない鬱憤をCGにぶつけて、それでCGが妙な具合に凝ってしまったのか?って感じ(笑) そうこう考えていたら、ある一つの仮説が浮かび上がってきた。

この番組は地球の実際の生物と地球外CG生物を対比しながら進んでいくんだけど、キモCGの存在は地球の生物の美しさを際立たせるために意図してやっているんではないかと。だって、キモいCGの後に地球の場面に切り替わると、砂漠でオアシスにたどり着いた感じになるんだ。心底ホッとするの。そして、地球の美しさに改めて感心させられるの。ああ、こんな素敵な地球に住めてありがたいと感謝の気持ちになる。ペンタポッドがその辺闊歩してなくて良かったって(笑)

もしもだよ、もしそれがクリエーターの真の狙いだったとしたらどうだろうか・・・。それでも、能力の無駄遣いであることは否定できないかな(笑)

それでは〜