歴史的に有名な広告3つ

今回は広告を英語で読んでみます。歴史的にかなり有名なものを集めてみました。

コカ・コーラのサンタクロース

コカ・コーラといえば、サンタクロースを再発明したことで有名ですよね。いま世界で標準となっているサンタの姿(赤い服、白いひげ、恰幅の良いおじいちゃん)は全てコカ・コーラが元となっています。コーラの製造法じゃなくサンタで特許取っておけばよかったんじゃないの?(笑)

そんなコカ・コーラ社のサイトには、そのサンタの来歴が解説されています:

Did Coca-Cola create Santa Claus?

1931年以前は、世界中にはサンタクロースの多くの異なる描写があった、背の高い痩せた人間やエルフや、怖いものまで。

しかし、1931年にコカ・コーラ社はイラストレーターのHaddon Sundblomにクリスマスの広告としてサンタを描くよう依頼。それらの絵がサンタを暖かく楽しい人間的なキャラとして描いていたんだ、赤いほっぺに白いひげ、目は輝いて笑いジワができている。

Before 1931, there were many different depictions of Santa Claus around the world, including a tall gaunt man and an elf —there was even a scary Claus.

But in 1931, Coca-Cola commissioned illustrator Haddon Sundblom to paint Santa for Christmas advertisements. Those paintings established Santa as a warm, happy character with human features, including rosy cheeks, a white beard, twinkling eyes and laughter lines.

という感じです。この内容は、英語のリーディング教材とかでよく出てくるテーマだと思うので、知ってる人もかなりいるのでは?(笑)

さて、そんなサンタが出てきたコカ・コーラの実際の広告が次です:

Haddon Sundblom's depiction of him for The Coca-Cola Company's Christmas advertising
Haddon Sundblom's depiction of him for The Coca-Cola Company's Christmas advertising [Credit: The Coca-Cola Company]

My hat’s off to the pause that refreshes

My hat’s off(My hat is off) は、日本語にもあるイディオム「脱帽」の意味。降参、参りましたと帽子を脱ぐんです。ここでは実際の広告のサンタも帽子を脱いでいる細かさ。それでは何に脱帽なのかと言うと、爽快な気分(refresh)にさせてくれる小休止(pause)。ということで、コーラを飲めばリフレッシュできるってことですね。

そして、ここから伝説が始まったのです・・・

ポニー・エクスプレスの求人

Postmark, Pony Express, 1860, Westbound
Postmark, Pony Express, 1860, Westbound

ポニー・エクスプレス

ポニー・エクスプレス(英: Pony Express)は、1860年4月3日から1861年10月まで運行されたミズーリ州セントジョゼフからカリフォルニア州サクラメントまでの郵便速達サービスである

ポニー・エクスプレスは電信が発明される前に始まったアメリカ大陸横断の郵便。馬を何十頭も使って速達するってのが売りなんだけど、残念ながら1年半という短命でビジネスは幕を閉じたんだよね。

その採用広告が今回取り上げるもの。求める人物像がとにかくすごいんですよ:

Wanted: Young, skinny, wiry fellows not over eighteen. Must be expert riders, willing to risk death daily. Orphans preferred

Young(若い), skinny(痩せて), wiry(針金のように強い)が必須条件。というのも、馬に終日跨るので、重い人より軽い人を雇って、その分手紙をたくさん運んだほうが利益に繋がるからね。さらには、not over eighteenと18歳以上はダメという年齢制限。今なら差別と言われそう? もちろん、Must be expert riders(乗馬の達人)であることは必要だろうけど、willing to risk death daily(日々命を危険に晒す意志がある)ってのは、求め過ぎじゃない? いえいえ、これがそうでもないんです。当時はまだ1860年。西部劇さながらのゴロツキや、インディアンの襲来にも備える必要がある。そんな時代背景なんですね。だから、いつでも死と隣り合わせ。銃も必ず携帯する必要がある。だから、Orphans preferred(孤児推奨)なんです。子供に先に逝かれて悲しむ親は居ないほうがいいから・・・

いやー、すごい求人広告だ(笑)

いやいや、次のもすごいんですよ。

アーネスト・シャクルトンの帝国南極横断探検隊求人

帝国南極横断探検隊

帝国南極横断探検隊は、イギリスが20世紀中に派遣した南極探検隊のうち、4番目の探検隊である。南極大陸の初横断を目指し、失敗した。この探険は、文明圏から何千マイルも離れた地で探検隊の船が難破したあと、隊長であるアーネスト・シャクルトンとその隊員達が英雄的な努力によって南極から生還したことで有名
沈むエンデュアランス号と犬
Endurance final sinking in Antarctica [Crredit: Royal Grographic Society]

アーネスト・シャクルトンはイギリスの冒険家。彼はクルーを募って南極大陸横断を目指したんだけど、道半ば船が流氷の圧力で難破し(上記画像)、南極の氷の上を約2年間ペンギンとともに(マジで!)彷徨うことになる。彼にとって運が悪かったのは、世界的に第一次世界大戦が始まってしまい、母国イギリスが探検隊のことなんて頭に無くなってしまったこと。それでも、クルーを一人も死なせなかったその手腕は、緊急時のリーダーとしてどの世論調査でもトップに躍り出るほどなんだ。

そんな彼が当時クルーを募集した際の広告が次の通り(これは本物かは不明のようです):

Men wanted for hazardous journey. Low wages, bitter cold, long hours of complete darkness. Safe return doubtful. Honour and recognition in event of success.

hazardous(危険に満ちた)旅を伴にする男たちを求める。賃金(wages)は低く、厳しい(bitter)寒さ、長時間の完全なる闇。これは、南極だから極夜(白夜の反対)ってことですね。そして、Safe return doubtful。つまり、安全な帰還は疑わしい、って見事なまでのフラグになってるじゃん(笑) 最後に、Honour(名誉)とrecognition(称賛)がsuccess(成功)のin event of(暁に)と、成功の可能性の低さも醸し出ている求人広告です。これで応募5千人、実採用20数人も集まったんだから、命知らずが多かったんでしょうね。現代でこんなの出したら、ブラック呼ばわりされますね(笑)

なお、エンデュアランス号の漂流についてはWikipediaなんかのまとめより、本で読むのが断然面白いですね。文明から隔絶された酷寒の南極で、絶体絶命の大ピンチをシャクルトン含むクルーがどうやって切り抜けたのか。これは奇跡だけではないのです。事実は小説より奇なり。

アーネスト シャクルトン (著), 木村 義昌 (翻訳), 谷口 善也 (翻訳) : 中央公論新社

最後に

ということで、今回は歴史的に有名な広告を3つ英語でみてみました。広告って短い割にコピーライターが頭絞ってキャッチコピーを考えるので、なかなか面白かったりしますよね。裏に別の意味があったりね。

日本では海外の広告を見る機会はなかなかありませんが、見かけた時はどんな意味だか考えてみるのも面白いですよ。

それでは〜