「Light at the End of the Tunnel」の意味

今回紹介するイディオム「light at the end of the tunnel」は、長く続いた苦難の末に現れた良い兆しを表すのに登場します。比喩的には、暗いトンネルが長く続く苦境を表し、その先に見える光がそのトンネル(苦境)の終焉を意味するんですね。日本人にも直感的に理解しやすいイディオムだと思います。

light at the end of the tunnel

(イディオム的)長い苦境の後のより良い状況。

(idiomatic) A better situation after long hardship.

最近、このイディオムを頻繁に目にするんですよ。コロナワクチンに関連するニュースなんかで。もちろん、トンネルが長く続いたコロナ禍を表し、ワクチンが希望の光・コロナ禍に終焉をもたらすものなんですね。

個人的に非常に面白いと思ったのは、イディオムとして登場するのはこの「トンネルの先の光明」イディオム一択なんですよね。他の表現は一切見かけない。ということは、意味的に似てるイディオムは他にないってことですかね。

個人的にはSilver Liningが似てるかなと思いましたが、こちらはどんな雨雲の裏にも太陽は輝くとだけで、長く苦しく辛い期間を暗示しないんですね。だから今回のニュースではlight at the end of the tunnel一択なのかなと思った次第です。

海外ドラマでの「Light at the End of the Tunnel」

このイディオムについては残念ながら海外ドラマではあまり登場しませんが、調べたところ登場する時は過去形として使われることが多いようです。偶然だとは思いますが、これはなかなか面白い現象。

『ブレイキング・バッド』から

例えば、次の『ブレイキング・バッド』では、スカイラーが会社で働いていると急に泣き出す場面。トンネルの先に光明が見えたと思ったけど、そうではなかったと胸の内を上司にあかします。夫ウォルターのことを意味していますね。

スカイラー: There was supposed to be a light at the end of the tunnel. But lately, it just feels like…
上司: More tunnel. I’m sorry.
『ブレイキング・バッド』で、スカイラーはウォルターのことで会社で悩みを打ち明ける
Breaking Bad [Credit: AMC]

『プリズン・ブレイク』から

『プリズン・ブレイク』では、FBIのマホーンが自分の家族と再び一緒になれそうだったことをこのイディオムで言っています。過去形なので、もちろん現状はトンネルに逆戻りってわけ。

マホーン: there was a light at the end of the tunnel. A life at the end of the tunnel for me, for my family.
男: And now what?
マホーン: Do you see my son? Do you see my wife? What have I got?
『プリズン・ブレイク』で、マホーンは家族と再び一緒になれると考える
Prison Break [Credit: Fox]

『ギルモア・ガールズ』から

最後の例は『ギルモア・ガールズ』。夫に最終的にパイプカット手術を拒否されたスーキーは、その状況を「light at the end of the tunnel is no more」で言います。スーキーは子供を持ちたくないのです。これも、トンネルの先の光明が見えたのに今は違うと言ってますね。

スーキー: The point is that there was a light at the end of the tunnel, and now the light at the end of the tunnel is no more because you can’t do that with 23 diapers a day.
『ギルモア・ガールズ』で、スーキーは夫からパイプカット手術を拒否される
Gilmore Girls [Credit: The WB]

と言う感じで、いずれの例も過去形で使っていますね。トンネルの先に光明が見えたのに、今は真っ暗なトンネルに逆戻りと言わんばかり。

でも、海外ドラマで過去形が多いのは、物語の筋を面白くするためと考えれば、この傾向も結構納得できます。だって、トンネルの先に光明が見えてそれが本当の光明なら、その物語のプロットはすぐ終了してしまいますからね。3流の脚本です。海外ドラマの筋書きというものは、光明が見えたけど再度真っ暗なトンネルに逆戻りを数回繰り返すものなんですよ(笑)

ただ、冒頭で述べたコロナワクチンのように、このイディオムは現在形で使われることが現実的には多いかなと思います。だって、現実が海外ドラマみたいにジェットコースターな筋書きだったら、みんなヘトヘトになってしまいますからね(笑)

それでは、また〜