「イップス」の意味

ここ最近「イップス」なる単語を耳にすることが多いんですよね。意味は、スポーツ(ゴルフ・野球)などで、今まで普通に出来ていたことが、心理的な影響で出来なくなる状況

例えば、今までストライクを普通に投げられていたピッチャーが急に投げられなくなるなどがその典型。

以下のWiktionaryには、ゴルフの簡単なパットや、テニスのサーブの例が挙げられています。

yips

精神的不安定状態のこと、それはスポーツ選手がちゃんとプレーするのを妨げる。特に、ゴルフ選手が簡単なパットを失敗するや、テニス選手のダブルフォルトを引き起こす。

A nervous condition which prevents a sportsperson from playing properly; especially a condition which causes a golfer to miss an easy putt, or a tennis player to serve a double fault

超高度な技術を持つスポーツマンが、野球で言うところのデッドボールなどの恐怖や緊張等の心的要因で、今まで何を考えずとも出来ていた単純なことが、全くできなくなってしまうってことなんですね。

こんな英単語「yips」なんてまったく知らなかったのですが、YouTubeなんかで度々クローズアップされるので、自然と覚えてしまいました(笑)

『ママと恋に落ちるまで』ので「イップス(Yips)」

一応、海外ドラマなんかで出てくるか調べてみると、シットコム『ママと恋に落ちるまで』の1エピソードに出てきてることが分かりました。バーニーが考え込むとイップスになっちゃうよとアドバイスを受けるシーン:

バーニー: The yips?
男: Yeah, when you overthink simple things so much that you can’t do them at all. Yeah, it happens to athletes all the time. Like the second baseman who suddenly can’t throw to first or the figure skater who does a perfect triple toe loop and then loses it on the arabesque.
『ママと恋に落ちるまで』で、バーニーはイップス(Yips)を説明される
How I Met Your Mother [Credit: CBS]

このシーンは、イップスの意味を視聴者にも分かるよう説明していますので、一般的な用語ではないことが分かります。野球の二塁手の送球と、フィギュアスケートのトリプルトゥループが例として挙げられています。

「イップス」の語源

さて、こうなると気になるのが語源ですよね。Wikipediaではゴルフ由来となっていました。

イップス

イップスという用語は、1930年前後に活躍したプロゴルファーのトミー・アーマー(英語版)が、この症状によってトーナメントからの引退を余儀なくされたことで知られるようになった。アーマーは1967年に出版された自著『ABCゴルフ』の中で、今までスムーズにパッティングをしていたゴルファーがある日突然緊張のあまり、カップのはるか手前のところで止まるようなパットしか打てなかったりカップをはるかにオーバーするようなパットを打ったりするようになる病気にイップス(yips, うめき病、yipeは感嘆詞で「ひゃあ」「きゃあ」「うわっ」といった意味)と名づけた

Yipeのニュアンス

面白いのが、yipsが感嘆詞「yipe」から来ているという箇所。自分は、yipeという感嘆詞は馴染みが全くありません。実際、海外ドラマの字幕を検索しても全然ヒットせず。でも、辞書には

yipe

ウワッ!、ワー!、おや、えーっ、キャー!、ヒャーッ!、おっと! [補] 恐怖・驚き・苦痛などを表す叫び声
英辞郎

とあるんですよね。そこで更に深堀りすると、なんと「yipe」より「yippee」の方が一般的みたい。確かに、yippeeみたく叫ぶのは、海外ドラマではよくあるシチュエーションです。

『フレンズ』での「Yippee」

例えば次の『フレンズ』では、ロンドンでチャンドラーとモニカがくっつく有名なシーン。僕がベッドの中で「キャー」と叫んでも無視しろとチャンドラー。モニカは思わず笑っていますね。

チャンドラー: In the middle of everything if I scream the word “yippee,” just ignore me.
『フレンズ』で、チャンドラーはモニカに寝る前の事前警告
Friends [Credit: NBC]

このようにyippeeは出てきますが、yipeってのはあまり出てこないんですよね。多分、yippeeが「キャー」という実際の音を表し、yipeは「きゃあ」みたいな実際の音ではなく客観的なその行為を表す違いだと思われます。

最後に

いずれにせよ、「イップス」は今まで普通に出来ていたことが出来なくなる恐怖の叫び「キャー」が語源ということ。結局オノマトペだったのでした。

yippee」は日常英会話にたまに出てくるので、「イップス」とう単語を知ってるならついでに覚えてみても良いかも知れませんね。昨日までできていたことが急に出来なくなる恐怖「キャー」。って、私の場合、明日英語が急にできなくなったら、まさに「キャー」かもしれません(笑)

それでは〜