英語学習者必見!『あなたの知らない卑語の歴史』の感想
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『あなたの知らない卑語の歴史』概要
『あなたの知らない卑語の歴史』は、ニコラス・ケイジが贈る、リアルな英語を学ぶ上で切っては切り離せない、いわゆる卑語(swear words)について、その歴史を学者から役者コメディアンまで様々な人々へのインタビューを元に解き明かしていく番組だ。
エピソードごとに1つの卑語が指定され、それを毎回ガヤガヤ話していくスタイル。1話約20分。下記がその卑語のリストなんだけど、みんなおなじみのものばかりかな?(笑) カタカナだとちょっと違和感ある感じ。一応、右側に何に対応するのかを付け足しておいた。
- ファック(fuck)・・・性交
- シット(shit)・・・糞
- ビッチ(bitch)・・・女性
- ディック(dick)・・・男性器
- プッシー(pussy)・・・女性器
- ダム(damn)・・・神
これらの単語をほとんど見たこと聞いたこと無いって人にとっては、この番組を見ても全く楽しめないと思うし、理解も全く出来ないと思う。特に、試験英語しか知らない人にとっては。というのも、高級レストランではないガード下屋台的な英語特有の話になるので。でも、そういった場所のほうが本音を語れ、おいしい一品料理が出てくるのも真理だけどね。だから、上記単語を聞いたことも見たこともないという人は、こういった卑語を耳にする環境に自身が置かれた時に改めてこの番組を見たらいいんじゃないかと思います。
なお、このブログでは以前、これら卑語の使い方マニュアルの伝説的な洋書『English as a Second F*cking Language』をレビューしたことがあるんだけど、上記単語は全てカバーされているので、この本もおすすめですよ。
それでは、早速番組の内容に入っていきましょう!
『あなたの知らない卑語の歴史』感想
とにかく、これはすごい番組。まず、日本語字幕で見ても全く面白くない(笑) 「すごい(ファッキング)」とか無理やり訳してるけど、日本語にしてしまった時点で、fuckingの持っている全ての意味が失われていくんだ。例えるなら、シェイクスピア作品を日本語に訳すと30%しか訳せず、7割の意味は失われていくとかいう話があるけど、それと似た感じ。だから、この番組は英語字幕で絶対見る必要がある。その意味ですごいんだ、英語を視聴者に強制できるなんて(笑)
次にすごいのは、冒頭。ニコラス・ケイジがいわゆるF-Bombを落とすところから始まる。この時点で、この番組のただならない感じが窺えるんだ。(Fuckは放送局によっては放送禁止用語)
![History of Swear Words [Credit: Netflix] 『あなたの知らない卑語の歴史』で、](hosw1.jpg)
それかーらーのー、Fuckの大絶叫です。自分はこの時点で『あなたの知らない卑語の歴史』を見るの確定した(笑)
![History of Swear Words [Credit: Netflix] 『あなたの知らない卑語の歴史』で、ニコラス・ケイジはFuckを絶叫](hosw2.jpg)
番組はそれから、いろんなゲストにfuckについての印象や使われ方などを問いつつ、fuckの大まかな概要についておさらいする。自分は、映画なんかでの年齢制限のレート(PG-13等)でfuckの登場回数が重要とか初めて知った(笑) 1回でも出したらだめと思いきや、数回ならいいみたいだね。そういえば、海外ドラマの『ブレイキング・バッド』でも、1シーズンに数回だけ、ここぞというところでこのfuckが効果的に使われているので、同じことなのかもしれませんね。点と点が繋がりました。
![Breaking Bad [Credit: AMC] 『ブレイキング・バッド』で、スカイラーはテッドと寝たことをウォルターに伝える](bb-fuck.jpg)
ところで、この冒頭の概要では日本人が体感として知らないことが出てくるので、耳をかっぽじって聞いたほうがいいでしょうね。例えば、下の学者の言う「fuckで相手の気分を害す(offend)事ができる一方、友達を作る(make friends)こともできる」って、一見すると矛盾してるんだけど、これは本当にその通りなんだ。
![History of Swear Words [Credit: Netflix] 『あなたの知らない卑語の歴史』で、](hosw3.jpg)
日本語でも、「この野郎!」と言えば相手に食って掛かってるけど、部下に「野郎ども、やってしまえ!」と命令すれば、その「野郎」の使用は緊密さの裏返しになる。これが英語でも実際起きるんだよね。
それから、番組はfuckの年表的なものを出して、この順にfuckの起源や意味の変遷・影響を与えた歴史的イベントなどを解き明かしていくんだ。この辺が、この番組のタイトルにもなってるところかな。
![History of Swear Words [Credit: Netflix] 『あなたの知らない卑語の歴史』で、英単語「fuck」に関する年表](hosw4.jpg)
なお、この番組を見ていくとゲストに2種類の人種が用意されていることに気づくはず。 まずはアカデミア出身の大学の先生。これは、言語学・学術的な見地から、fuckの歴史・背景などを解説してくれる。このパートは非常にためになる。例えば、男性器のdickは固有名詞Richard(リチャード)から来てるんだけど、ニックネームがRichard -> Rich -> Rick -> Dickになった経緯などを説明してくれるといった具合。
![History of Swear Words [Credit: Netflix] 『あなたの知らない卑語の歴史』で、英単語「dick」の歴史を語る言語学者](hosw5.jpg)
そして、もう片方は生徒役のゲストの皆さん。この人達の役目は、先生から教えてもらったその卑語に関する事実を俎上に乗せ、様々な意見を言う係だ。ただ、この番組何を考えてるのか、ゲストを全員コメディアンで統一してしまった(笑) だから、この人たちの話が、なんかオチをつけようとしたり、ネタに走る嫌いがあって、個人的には大失敗だった気がする。少なくても、一部のコメディアンのゲストは不要と感じてしまった。我々視聴者は、一般人的な普通の反応も見たいんだよね。コメディアンの混ぜっ返したりする反応ばかし見ていてもつまらないと言うか。そこはシーズン2があるなら改善点かもしれない。
![History of Swear Words [Credit: Netflix] 『あなたの知らない卑語の歴史』で、コメディアンが卑語を語る](hosw6.jpg)
最後に、fuckについてまとめて1話が終わるんだ。そして、これを他の卑語についても1エピソードごとにやっていく感じで、エピソード全6話が終わるという具合。
ちなみに、この記事冒頭で、奇書『English as a Second F*cking Language』について軽く触れましたが、この際、この番組と本の内容を比較しておきます。
まず、本の利点は意味や使い方・類語が大量に載っている点。これは番組には無いことで、本の圧倒的勝利。例えば、第5回エピソードのテーマpussyなんて、本ではもっとどぎつめのcuntがメインで解説されている。pussyはちょっと柔らかめなんだよね(pussyだけに、pun intended)
一方この番組の利点は、実際の発音、シチュエーション、どういった表情で、感情がどのくらい爆発してその単語が発せられるかをビジュアルで理解できる。これは本ではできないこと。さらに、歴史も学べるというのが嬉しい。だから、両者とも相互に補完しあう関係になってると思いました。番組を見て卑語の世界に興味が出たなら、『English as a Second F*cking Language』を購入しても損はしないと思います。
最後に、シーズン2があれば、piss(尿)、ass(尻)、bastard(家族), God, Jesus(神)なんかは必須でしょうね。というか、なぜシーズン1に含めないのか疑問が残るレベルですけど(笑)
IMDbでは今現在★6.8と散々な内容になってますけど、そりゃネイティブにとっては目新しいことはあっても1つか2つなわけで、そりゃそうだよねーとしか言えません。しかし、英語学習者の我々にとっては、この番組は非常に勉強になる内容なので、リアルな英語を垣間見たかったり、ガード下の屋台で話される英語が気になる方はチェックしてみるといいと思います。ちょっとしたカルチャーショックが待っていますので(笑)
それでは〜
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