英語で「懐かしい」を意味するのは「ノスタルジア」なの?
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中学生以来の卓球懐かしー
以前、何故かアメリカ人と卓球する事があったんですけど、中学生以来数十年ぶりだったので、試合前に「懐かしい」と私は思わず言ったんです。そうしたら、その人がちょっと考えて、「Nostalgia, OK」と呟いたんですよ。その時当然私は「懐かしい=ノスタルジア」なのねって理解したんです。
「ノスタルジア」 vs. 「ノスタルジー」
ちなみに、日本語では2通りの言い方「ノスタルジア」「ノスタルジー」がありますよね。これはWikipediaによれば、英語とドイツ語の違いなんだそうです。このブログは英語のブログですので、以下は「ノスタルジア」で統一していきます。
ノスタルジア
ノスタルジア(英: nostalgia)またはノスタルジー(仏: nostalgie)は・・・
「Nostalgia」の意味
でも最近、この「nostalgia」のニュアンスにちょっと疑問を持ちまして、今回調べてみることにしました。
上の卓球の例で言えば、自分は「久しぶりで懐かしい」程度の軽い意味で使ったんですよね。別に、真剣に当時の事を思い起こしたわけでもない。だって、たった三ヶ月在籍しただけのクラブなので(笑)、思い出も青春も汗も涙も何もなかったんです。実感のこもった郷愁の「懐かしい」ではなく、単に普通の「懐かしい」だったんです。
これって本当に「nostalgia」なんだろうか?というのが一番の疑問です。多分、アメリカ人が使っていた辞書には「懐かしい=nostalgia」ってあったんでしょうけどね・・・
それで、まずWiktionaryをあたってみると3つの意味が載ってますね:
nostalgia
- 我が家や馴染んだ環境を恋しく思う、ホームシック。
- 過去の物に対するほろ苦い憧れ。
- 話し手の子供時代や若い時の思い出。
- A longing for home or familiar surroundings; homesickness.
- A bittersweet yearning for the things of the past.
- Reminiscence of the speaker’s childhood or younger years.
となっていて、いきなり1番にホームシックがあるじゃないですか。ノスタルジーとホームシックって、日本語だとちょっと違う気もするけど、故郷を思うという面では一緒なのかな。
「Nostalgia」の語源
上で出したWiktionaryには語源の項目があって
nostalgia
語源
古代ギリシア語νόστος(nóstos、故郷に帰る)とἄλγος(álgos、痛み)から作られた
Etymology
coined from Ancient Greek νόστος (nóstos, “returning home”) + ἄλγος (álgos, “pain”)
と「returning home」と「pain」が「nostalgia」の語源としてあるので、異国の地で故郷を思う辛さってのは当初からあった意味なんでしょうね。
まあ、私の卓球で感じた懐かしさは2番の「ほろ苦さ」は皆無なので、3番の「幼少期の思い出」に入るのかなと思います。
海外ドラマの中での「Nostalgia」
ただ、やっぱし自分の感じた懐かしさを「nostalgia」って言うのはなんか大げさな気がするのも事実。そこで、海外ドラマでは「nostalgia」がどのように登場するのかを調べてみることにしました。実例を知らないと、かなりもやもやしますので(笑)
『ビッグバン★セオリー』から
シェルドンは壊れたラップトップを倉庫へ運びます。そこはなんと、シェルドンが子供の時から使っていたもの全てが捨てられずに陳列されているのでした。理由を聞かれて「nostalgia」と言ってから、ガジェットを捨てようとするとイディオム「get butterflies in my stomach」で「落ち着かない」と述べます。思い出が詰まっているので「nostalgia」。シェルドンにはコンマリ・メソッドも効果なしかもね(笑)
シェルドン: I’d like to say it’s nostalgia, but every time I think of throwing anything away my ears start to ring and I get butterflies in my stomach.
『コブラ会』から
ダニエルは幼少期自分が住んでいた地区のミニモールをオーナーから買収しようとします。その理由を聞かれて「nostalgia」と呼んでくれ。『ベスト・キッド』時代の思い出が詰まっているといったニュアンス。しかし、「shithole」呼ばわりはひどすぎる(笑) 汚い最悪の場所といった意味。
ダニエル: Just call it nostalgia. I grew up there.
ウォーキング・デッド
リックとシェーンの会話にノスタルジアがありました。
過去一緒に過ごした友人のことを考えるリックに、シェーンは「nostalgia」と言ってからそれを「drug」と言い切ります。現実を見る目を曇らすとはシェーンらしい。ここの「nostalgia」はゾンビ前の時代への懐古ですね。
シェーン: I’ll tell you what it is. It’s nostalgia. It’s like a drug. Keeps you from seeing things the way they are and that’s a danger.
「懐かしい」の別の言い方を探して
以上、海外ドラマの例を3場面見てみましたが、いずれも強い愛着・郷愁が感じられます。シェルドンのおもちゃもそうですし、ダニエルの幼少期住んでた場所、そしてリックのゾンビ以前の文明。私の卓球なんかにノスタルジア使ったらおこがましい気がする・・・(←こればっかりw)
そこで、「nostalgia」以外に別の言い方がないか調べたところ、丁度いいのを発見。
『ベター・コール・ソウル』から「Bring Back Memories」
それが「bring back memories」。記憶を呼び戻してくれるってだけで、郷愁やらのアタッチメント(attachment)はないですね。
次は『ベター・コール・ソウル』で、サラマンカのチンチンおじさんことヘクターの車椅子にベルを取り付けるシーン。あの男の記憶が蘇るだろうと「Brings back memories」を使っていますね。思い出すってだけで、その男への特別な愛着はありませんね。
最後に
今回は「ノスタルジア(nostalgia)」について、海外ドラマのシーンを例に、その意味を見てみました。
個人的に、自分が卓球に感じた懐かしさは「bring back memories」くらいでいいのかなと思いますね。チンチンおじさんのヘクターがベルに感じる感覚と同程度。
でも面白いのは、私がヘクターがベル慣らす音を聞くと、『ブレイキング・バッド』を眠い目こすって分からない英語ながら頑張って英語字幕で見ていた当時の奮闘が思い起こされるので、それは立派なノスタルジアなんですよね(笑)
それでは〜
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