『The Circle アメリカ編』の番組宣伝ポスター
The Circle [Credit: Netflix]

リアリティ番組はもう見ないと決めたのに・・・

実は自分は昔リアリティーショーの『サバイバー』にハマったことがあったんです。大金をかけて欲望がむき出しになる、対立・同盟・裏切りで感情がぶつかり合う、そんな人間関係の醜さが画面全面に映し出されるのがリアリティーショー。普段はそんな世界とは縁もゆかりもない自分は、当時怖いもの見たさとよくわからない中毒症状で見続けたんです。誰が優勝するんだろうってね。

ただ、その後、リアリティーショーの裏側を描いた海外ドラマ『UnREAL』を見て、考えを180度改めたんです。所詮は製作側によって作られた世界の話だなってね。番組を面白おかしくするため、カメラの回ってない裏で制作陣が介入してるんです。そりゃ、番組冒頭で有力な参加者同士による同盟ができてしまったら、結果が予測できてしまい、視聴者としてはつまらないですからね。製作陣営はUnpredictable(予測不可能)を望むし、それ故そういった方向へ参加者を誘導するんです。それもリアリティーショーの現実。

ちなみに『UnREAL』は以前アマゾン・プライム・ビデオで見られたのに、今は見られなくなってますね。参考にリンクだけ貼っておきます。

そんなリアリティーショーとはdoneした自分が何故『The Circle アメリカ編』を今更見始めたのか。それは、単にゴールデンウィークで時間があったからなんです(笑) 手持ち無沙汰でなんとなく見始めてしまった。そして、これが大失敗だった。というのも、壮大な時間の無駄だったからです。シーズン1・2を通して見たので、1話50分の26話でトータル21時間ほど掛かりましたからね。

『The Circle アメリカ編』のフォーマット

リアリティ番組を語る上で、どういったルールで参加者が競い、大金(約1000万円)を目指すのかは視聴の重要なファクター。まずそれを述べておきます。

定期的に参加者グループ内の人気度ランキングを実施し、そのランキングのトップ二人がインフルエンサーとして選ばれます。そして、その二人が相談して不要な参加者をグループ内から追放していき、参加者が一人また一人と少なくなっていくというのはリアリティ番組の王道パターン。最後に人気度ランキングで1位になった人が賞金を手にする仕組みです。

ただし、この番組が他のリアリティ番組と異なるのは、参加者はマンションの一室が割り当てられ、そこに完全隔離されること。参加者同士の物理的接触が禁止されるんですね。

『The Circle アメリカ編』で、喜ぶ参加者
The Circle [Credit: Netflix]

そして、参加者同士のコミュニケーションは「サークル」と呼ばれるSNSアプリを介して行われるんです。そのアプリ上でできることは、1対1のチャット、グループチャット、ゲーム、そしてインフルエンサー選びのランキング。

だから、このゲームで最も重要なのはチャットスキル、そして人から好まれる(であろう)プロフィール作りです。オンラインデートなんかと同じですね。

『The Circle アメリカ編』で、クロエのプロフィール
The Circle [Credit: Netflix]

つまりこの番組、リアルで対面しないので、参加者が人物像を自由に偽れるんですよ。男が女のフリ(逆も然り)してもOKなんです。なんだ、そのネカマは(笑)

番組内では身元を偽ることを「catfish」と呼んでますが、それは既にこのブログで紹介していましたね。

だから、この番組を英語で視聴すると「catfish」という語彙が大量に出てきて結構新鮮です。だって、次のようなセリフが実際あったりしますから(笑):

(ナレーション): So, while catfish Rebecca and catfish Adam accuse each other of being catfish, the ones that got away are heading to bed.

The Circle [Credit: Netflix]

そんなcatfishだらけの海を人気を保持しつつ、うまく最後まで泳ぎきった参加者が1000万円を手にするという仕組みです。

『The Circle アメリカ編』の感想

まず最初に言っておかなければならないのは、『The Circle』はリアリティ番組としての出来は相当低いです。リアリティ番組でもっとマシなのは他に一杯あるので、リアリティ番組を初めて見る人はこれは見ないほうが良いだろうし、リアリティ番組通の人も、他の番組で見たようなシーンが低レベルで繰り返されるだけなので、敢えてこれを見る必要はないと思います。

自分的にすごく気になったのは、参加者が後から都度追加されるシステム。はあ? 何その仕組み。『サバイバー』で参加者が少なくなったからといって、後から参加者が新規追加されても、その人は絶対勝てないよ(笑) だって既に元から居た参加者間で強い絆ができているんですよ。これは三学期に転校したことのある元小学生数人にインタビューすれば一発で分かる事実(笑) それがこの番組で平然と行われることに自分は信じられない。だから、番組では遅れてくる人はことごとく討ち死にします。多分、参加者の最大人数を8人程度に抑えたいんだろうけど(視聴者に分かりやすいように)、そもそもゲームとして成立してないと意味がないし、誰が追放されるか視聴者に分かりやすいってのは本末転倒じゃないかな?

次に、日中に行われる参加者全員参加のゲームが意味をなしてない点。『サバイバー』で言うところのTribal challengeみたいなゲームを参加者同士で行うんだけど、その結果がゲームに全く反映されないんです。みんなでケーキを作りましょうとか、変なトロフィー貰って喜んでいる参加者を冷めた目で見ている視聴者がモニターのこちら側に居ることに製作者は是非とも気づいて欲しい。一応テコ入れがあったのか、シーズン2からゲームもマネキンをメークアップするとか「catfish」が誰か判明するギミックとして使われるようになりますが、「catfish」が不利になるだけのゲームってどうなのよって感じもしちゃうんですよね。シーズン3があるようなので、このゲーム部分は本当になんとかして欲しいです。勝ったらimmunity(追放免除)を得るとかさ。ま、それじゃ本当に『サバイバー』になっちゃうけど(笑)

『The Circle アメリカ編』で、参加者はゲームを行う
The Circle [Credit: Netflix]

そうそう、テコ入れと言えば、この番組はシーズン1からシーズン2でかなりのテコ入れがあったことが比較すると分かりますね。制作陣もさすがにやばいって気づいたんでしょうね。その意味では、この番組を見る時はシーズン2から視聴してもいいかもしれませんね。シーズン1の内容が少しだけ言及されるシーンがシーズン2にありますが、ゲーム自体には関係ありませんので。

話を気になった点に戻すと、途中で入る家族からのビデオレターも不要と感じました。『サバイバー』なら、無人島に水も食事もない状態で数週間暮らしてる過酷な状況下ですから、家族からのビデオは大変な励みになるし、視聴者側も涙を禁じえないんですけど、『The Circle』においては、食事冷暖房完備で何部屋もあるマンションに一人で居るってだけなので、このビデオレターに全く感動しないんですよね。全部カットしていいレベルです(笑)

それから、この番組は逆転がしにくいのも非常に気になりました。人気ランキングの投票も誰が誰を1位にしたかとか分からないので、誰が裏切ったのか参加者はもちろんのこと視聴者にも全く伝わって来ないんですよ。リアリティ番組特有のbackstabbing(裏切り)のサスペンスが全くないんです。一応、誰がグループから追放されるか決定される時にはサスペンスは少しありますが、はっきり言ってそこだけ。連続視聴に全く耐えないんですよ。ぶっちゃけ、追放を2周くらいしたら視聴者は飽きますって。

上で述べたUnpredictableにするために、immunityシステムの導入はもちろんのこと、誰がどういった行動をしたのか視聴者に分かるようにして欲しい。現状は、チャット上で耳障りの良いことを適当に言っておいて(#Bromance #GirlsPower等)、裏で裏切って知らん顔が出来てしまっている。これはリアリティ番組としてはかなりの欠陥です。

あと、グループから追放された人は参加者の一人に会えるって特権を与えられるんですけど、現状それが全く意味を成さないので、それもテコ入れして欲しい箇所の一つ。会いに行った参加者が「catfish」ならちょっと面白いんですけどね。ネカマとご対面的な。一応、シーズン2でテコ入れが若干された場面もありましたが、実際は追放された愚痴を言いに行くか、今後も頑張ってね程度にとどまっているのが現状。

『The Circle アメリカ編』で、追放者が参加者に会いに行く
The Circle [Credit: Netflix]

参加者がチャットしてない時は部屋でボーッとしてるか本読んでるのもマイナス。緊張感が無いんですよね。参加者の退屈感が視聴者側にも伝染してくるんです。それもどうにかして欲しい点。

不満点を挙げればきりがないので、この辺にしておきますが、SNSを使うという発想は斬新で面白いものの、いかんせんゲームとして成立してない点が多すぎて、本当に残念な気がしたのが正直なところ。

それでは、何故私は時間を壮大に無駄にしながらシーズン2まで全26エピソードを完走したのでしょうか? 一応、少なからず見るべき点があるのも事実ですが、実は英語学習者としては、参加者のコミュニケーションの手段に興味を持ったんです。

このSNSでは音声入力によるチャットがコミュニケーションの唯一の手段。声の大きさ・イントネーションはもちろん、ジェスチャーも表情も使えないんですね。そんな彼らが多用するのが絵文字(emoji)とハッシュタグなんですよ。

『The Circle アメリカ編』で、チャットの絵文字(emoji)
The Circle [Credit: Netflix]

言葉だけの意思疎通で誤解がないように、雰囲気を和らげるために😘、何かを匂わすために🤔、彼らは絵文字を多用するんですね。緊密な人間関係構築に大活躍。これはなかなか面白く感じました。というのも、自分自身があまり絵文字を使わない人なので。

また、ハッシュタグの使用も自分は全くしないので、かなりのジェネレーションギャップを感じたところ。何かを匂わすのに使いまくってて、初めてハッシュタグの正式な使い方を学んだ気がします(笑) なるほど、Twitter、Instagram等で外国人がハッシュタグ使ってるのはこういうことだったのかと初めて納得できました。

『サバイバー』との比較を上でいくつかしたので、良い点における『サバイバー』の違いも述べると、全てがマンションの中(全部屋にカメラが設置済み)なので、映像が必ずクリアに取れてるのが良いですね。そして、参加者がチャットする前に自分の本心を述べたりするので(多分、番組制作側からの要請)、そこが本音と建前が垣間見れて興味深い点でした。チャット上では心にもないことを言ってるのがあからさまに分かったり(笑) 『サバイバー』では参加者の言った言葉が本心なのかどうか分からないことが多かったりしますからね。

ナレーションについても言及しておくべきでしょうかね。この番組のものは他のリアリティ番組にはない素晴らしさがあります。というのも、視聴者目線のナレーションで、まるで隣に姉が居て、内容に突っ込みながら一緒に番組を見ている雰囲気。しかも、そのナレーションが異様に面白い! 上で紹介したcarfishのナレーションもそうだし、

Okay, Joe-meo and Juliet

とか

Let’s see if the UCLA graduate has the “Eye of the Tiger.”

のような軽快なジョークがポンポン出てくる。そこで調べたら、このナレーションは番組プレゼンターのコメディアン「ミシェル・ブトー(Michelle Buteau)」がやってるのですね。この人は今後要チェックです。

『The Circle アメリカ編』で、ミシェル・ブトー(Michelle Buteau)
The Circle [Credit: Netflix]

最後に、参加者が残り5名程度になり、最終の人気ランキング投票が終わると、初めてリアルでご対面するシーンがあるのですが、そこだけは非常に楽しめました。「catfish」が誰か判明したり、過去の行動の理由を求めたり・・・。ご対面の瞬間、みんな笑顔で笑い出すんですよ。それが非常に良かった。ネット上だけの関係の友人同士が初めてリアルで会う状況って感じ。面白いことに、ネット上では強い語調の人でも、リアルで会うと一様に優しくなるんですよね(笑) そこが個人的にほっこりしてしまった😊

だから、皆さんがネット上で意地悪な👿コメントを受けても、案外リアルで会ったら相手は良いやつなのかもしれませんね(笑) 少なくても、私は次回からそう考えることにします。

最後に

今回はリアリティ番組『The Circle アメリカ編』を視聴した感想です。私の評価は相当低い(★4.5程度)ですが、IMDbでは現時点で★7.4と高い不思議な作品。こんなに評価が乖離したのはこの番組が初めてです。ただ、不満を持ちながらも21時間掛けて完走したのは紛れもない事実なので、何か人を引きつけるポテンシャルを持っているのは事実。

報道によれば、ネットフリックスはシーズン3まで注文済みとのことなので、シーズン3で不死鳥のように灰から蘇って欲しい作品です。

catfishの怖さ、ネット上の情報の信憑性なんかが学べるので、ネットリテラシーの教育マテリアルとしては優秀だと思いますよ(笑)

それでは〜