「ボリューミー」って英語じゃないんか… この和製英語を遡る
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ボリューミーで食べごたえがありますね。
「ボリューミー」の不思議
先日「ボリューミー」という形容詞(?)を耳にしたんです。「料理がボリューミー」と、量が多いことを指して使われていました。
その瞬間、私は雷に撃たれます。「あれ??英語でボリューミーなんて聞いたこと無いぞ」ってね。
海外ドラマのエピソードをかれこれ12,000本以上見てるし、ネットでもredditやYouTubeなんかに入り浸ってますが、volumy(??)なんて単語使ってる人見たことありません。
そこで、この「ボリューミー」の謎に迫ってみました。
「ボリューミー」の意味
日本人的には明らかですが、一応辞書で意味を確認してみます:
ボリューミー
〔 volume(量,量感)から〕
俗に、量感のある様子。「―なヘア-スタイル」「―な料理」
「料理」に使われるのは冒頭の例と同じですが、この例によると「髪」もそうでしたか。たしかに、髪のことをボリュームがあるとか言いますからね。
語源が英単語「volume」なのも音から明らかでしょうか。
そして、当然英英辞典には「volumy」は載っていませんね。従って「ボリューミー」は和製英語。
ここで一旦まとめれば、英語の「volume」が入ってきて日本語「ボリューム」となり、「ボリュームがある」「ボリューム満点」「ボリュームたっぷり」と量が多いことに使われるようになって、「ボリューミー」に派生していったと推測されます[要出典]。
「ボリューミー」の記事初出
それではいつぐらいから「ボリューミー」が使われ始めたのでしょうか?
ここではネット上のニュース記事で、いつから使われ始めたかを調べてみましょう。グーグルのニュース検索で、1年毎に期間を区切って検索してみます。その結果、
2008年
から「ボリューミー」がニュース上で使われ始めていますね。2件ヒットしました。
その記事とは・・・
グラビアアイドルの胸(2008年4月2日)
まず最初はグラビアアイドルの川村ゆきえさんの胸に対して。巨乳をボリューミーと形容する使い方。今でも胸に対して使われるのかな?(笑)
なんといいますか、この肉感。ほどよくボリューミーで、素敵すぎます…。
ゴルフクラブ(2008年12月16日)
次はゴルフクラブのレビュー記事。クラブのヘッドをボリューミーとしています。この記事では「ボリューム」自体も2箇所出てきますね。
横から見るとボリューミーな形状ですが、このボリュームが安心感にもつながるわけですよね。
従って、2008年の少し前に大衆の間で「ボリューミー」が定着し始めたのでしょうね。
英語で「ボリューミー」って?
「ボリューミー」は和製英語で2008年の前から使われるようになったっぽいのですが、それでは英語では何というのでしょうか?
一応、英語には名詞「volume」の形容詞形があるのです:
voluminous
- 量に関連して。
- 多くの折り目、コイル、畳み込みからなる。
- 量が多い。
- 多作の。
- Of or pertaining to volume or volumes.
- Consisting of many folds, coils, or convolutions.
- Of great volume, or bulk; large.
- Having written much, or produced many volumes.
という感じで、日本語「ボリューミー」に対応しそうなのは「voluminous」の3番の意味ですね。
それでは、「voluminous」の実際の使われ方を見てみたいのですが、残念ながら海外ドラマの英語字幕には見つける事ができませんでした。そこで、英語のニュース記事から拾ってみます:
まず、髪の毛に対しvoluminous hairstyle。偶然にも、日本語の「ボリューミー」の使用例と一致していますね。
次は睫毛に対してultra-voluminous lashes。
お次は洋服。blazer with voluminous shouldersと肩の部分にボリュームがあることを言ってます。
パンツもvoluminous summer-ready pants。
voluminousはなんと、ファッション関係で頻出する語彙っぽいですね。
ちなみに、日本語の「ボリューミー」が使われる料理ジャンルでは英語の「voluminous」は全く使われませんね。
最後に
今回は日本語の「ボリューミー」という不思議な形容詞について調べてみました。一見するとvolumyと英語っぽいのですが、その実、和製英語なのでした。そして、2008年前辺りで使われ出したようです。
英語で「ボリューミー」に対応しそうなのは「voluminous」ですが、こちらはファッション業界でよく使われる印象でした。
それでは〜
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