A Technicolor world made out of music and machine

It called me to be on that screen

And live inside each scene

Another Day of Sun by La La Land Cast

テクニカラーの世界へ

初期の映像作品は全て白黒の無味乾燥なものだったわけですよね。そんなものでも当時はみんな楽しんだわけです。

『奥さまは魔女』のオープニング
Bewitched [Credit: ABC]

それが、途中から色が付くようになったんですから、表現力が大幅に向上し、作り手はいろいろな映像効果を模索、視聴者は大満足。カラー化初期にテクニカラーともてはやされたのも分かりますね。

『奥さまは魔女』のサマンサとエンドラ
Bewitched [Credit: ABC]

なお、このカラー化で、時限爆弾の色付きコードを切るお約束ができるようになったのも見逃せません(笑)

カラーの中に敢えて白黒を出す演出

ところで、近年では過去のフラッシュバックシーンなどで、敢えて白黒にすることで時代的な効果を狙う逆パターンも出てきましたよね。「白黒=古い」という視聴者のステレオタイプを逆用しているのです。

『クレイジー・エックス・ガールフレンド』の「Settle for Me」
Crazy Ex-Girlfriend [Credit: The CW]

更に技術が発展すると、CGなどで画面内の一部のオブジェクトだけ白黒や、一部だけカラーなど、非日常的な不思議な空間を演出することもできるようになりました。

これが非常に効果的に使われているのがディズニープラスの『ワンダヴィジョン』ではないでしょうか。とある理由で、海外ドラマ、特にシットコム好きな人は『ワンダヴィジョン』を気に入ることは間違いありません。

『ワンダヴィジョン』のモノクロからカラーになる瞬間
WandaVision [Credit: Disney+]

いずれにしても、このような映像技法の進歩のおかげで、人類は画面上の一部のオブジェクトを白黒にしたり自由に扱える禁忌の技法を手に入れたのです。歌手ジャミロクワイが『Virtual Insanity』でいみじくも指摘した子の肌の色のように・・・

And now every mother can choose the colour of her child

今や、母親はみんな自分の子供の色を選ぶことができるんだ

Virtual Insanity / Jamiroquai

ローテク版カラーの中に敢えて白黒を出す演出

ところが、この演出は別にフォトショップの発明も技術の進歩も全く不要だったことが、ある海外ドラマで明らかになってるのが分かりました。それが『コミ・カレ!!』です。

以下のシーンは校長が古いシットコムに特有の近所の詮索好き主婦のコスプレをしている場面ですが、なんと全身白黒なんですよ。

『コミ・カレ!!』で、白黒の校長
Community [Credit: NBC]

ただ、別のシーンを見てもらうと分かりますが、実はこれCGじゃないんですね。唇と目に赤さが出ていますので。ただ全身白黒のコスプレしているだけなんです(笑) それでも、周囲が不思議な空間になっているのが分かりますね。

『コミ・カレ!!』で、モノクロの校長
Community [Credit: NBC]

ちなみに、この詮索好きなお隣さんの主婦は『ワンダヴィジョン』でも登場します。郊外が舞台の昔のシットコムでは定番キャラなんです。

『ワンダヴィジョン』の近所の詮索好き主婦
WandaVision [Credit: Disney+]

最後に

今回は『コミ・カレ!!』でどうやってカラー映像の中に白黒を演出しているかを見てみました。結局それは技術的なことはてんで不要な、単なる「白黒コスプレ」なのでした(笑) この発想は無かったでしょ? それでは〜