「Mothball」の意味

今回紹介する語彙は「mothball」。mothは昆虫の「蛾」の意味ですね。蝶との違いが無いのに差別されてる可哀想な奴。そして、ballは「玉、ボール」。ということは・・・?

はい、全く意味分かりませんね(笑) 私もこの英単語調べた時どうしてこの意味になるのか全く想像も付きませんでした。実はこれ「防虫剤」の意味なんですよ(笑) 衣替えでタンスから出した直後の服の臭いを思い出す人も居るんでないかな。

なお、防虫剤は昨今日本では無臭のが多いみたい。ムシューダとか。そんな中ネオパラエースは今でもあの独特の匂いです。

さて問題は、何故「mothball」が防虫剤を意味するのかですよね? それを調べると、どうもある種の蛾の幼虫は服を食べるらしいのです:

Moth

Tineidae科のいくつかの蛾は一般に害虫とみなされている。何故なら、その幼虫がウールや絹などの自然なタンパク質繊維からなる洋服やブランケット等の生地を食べるからだ。

ナフタリン(mothballに使われる化学物質)が(防虫に)効果的と考えられているが、人体の健康への影響の懸念がある。

Several moths in the family Tineidae are commonly regarded as pests because their larvae eat fabric such as clothes and blankets made from natural proteinaceous fibers such as wool or silk.

Naphthalene (the chemical used in mothballs) is considered more effective, but there are concerns over its effects on human health.

こんなの聞いたことないんですけど・・・。日本の蛾でも、衣類食べる子いるんだろうか?

ま、いずれにしても、そのmoth(蛾の幼虫)を殺すball(ボール状のもの)ということで、mothballになったのが語源なのでした:

mothball

(通常複数形)化学物質の防虫剤(通常ナフタリン)と脱臭剤の小さい球、被害を防ぐためにカビや蛾の幼虫に弱い洋服や他の品物の周りに置かれる。

(usually in the plural) A small ball of chemical pesticide (typically naphthalene) and deodorant placed in or around clothing and other articles susceptible to damage from mold or moth larvae in order to protect them from this damage.

ということで、ナフタリンなんですね。

防虫剤
いらすとや

海外ドラマでの「Mothball」の使用例

以下、海外ドラマでのmothballの使用例を見てみますが、動詞としての使用とイディオム的な使用例がありますので、どんな意味か想像してみて下さい。「防虫剤」から連想すればすぐ分かりますよ。

ギルモア・ガールズ

客: It’s quite the affair we got going here. And for a wonderful cause. Not stuffy like the others, no smell of mothballs.
リチャード: My granddaughter is responsible for it.
『ギルモア・ガールズ』で、リチャードはローリー主催のパーティーに出席
Gilmore Girls [Credit: The WB]

チャリティーパーティーに来た客とリチャードの会話。客は「mothball」の臭いもしないとパーティーを褒めると、リチャードは孫が責任者と鼻高々です。ここの「mothball」は文字通り防虫剤の意味ですね。パーティーの客層を言ってます。それにしても、防虫剤の強い臭いのイメージが世界共通なのは面白い。

X-ファイル

モルダー: there are futurists who think the shuttle is a rusty old bucket that we should mothball.
『X-ファイル』で、スペースシャトルの発射に妨害を捜査するモルダーとスカリー
The X-Files [Credit: Fox]

スペースシャトルの発射が妨害され、その捜査に呼ばれたモルダーとスカリー。モルダーは考えられる容疑者像を挙げていきますが、そのうちの一つが、スペースシャトルは古い錆びついたバケツでmothballすべきと考えている未来派。

ここのmothballは動詞として使われていますね。比喩的に防虫剤と一緒に入れて保管する=お蔵入りと言ったニュアンス:

mothball

(他動詞、比喩的)使うのを止めるが、良い状態で保管する。

(transitive, figuratively) To stop using (something), but keep it in good condition.

マイケル・ジョーダン: ラストダンス

Obviously, Jordan is superstitious. 45 is in mothballs. 23 is back.

The Last Dance

マイケル・ジョーダンが縁起を担ぐ(superstitious)のを、背番号45をin mothballsにして、23に戻ったと関係者が証言します。

ここのin mothballsも、背番号45をしまい込んで新しいのにしたという意味です。

最後に

今回は「mothballs」の意味について見てみました。結局「防虫剤」の意味が基本で、比喩的に「しまう、お蔵入り」といったニュアンスでしょうか。

なお、上で紹介した日本の防虫剤「ネオパラエース」の注意書きに面白い一文を発見:

ナフタリンまたはしょう脳との併用は避けること。溶けて衣類にシミを残すことがある。

ネオパラエースの注意書き

なんと、mothballsの主な成分「ナフタリン」と併用は駄目という注意が(笑)

つまり、防虫効果を高めようとmothballsとネオパラエースを一緒にタンスに入れちゃいけないってこと。個人的には、すごい臭いになりそうでそんなことしないかな(笑)

それでは〜