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『神話クエスト』の異質エピソード「ダーク・クワイエット・デス」

アップルTV+で見るならこれ!という海外ドラマ『神話クエスト』ですが、現在シーズン2が放送されている真っ最中。

ところでこのドラマ、シーズン1の中盤にかなり異質なエピソードがあるんですよ。その原題は「A Dark Quiet Death」。1990年代の「ダーク・クワイエット・デス」なるテレビゲームにまつわる本編とは独立(?!)した作品ですが、自分はこのエピソードが大好きなんです。カップルのすれ違いを甘酸っぱく描いていて、なんというか、人生の儚さとかいうものが感じられるんですね。埋もれさせておくには惜しい美しく完成された珠玉の小品なんです。

今回は当時このエピソードの視聴時に気づいたネタです。

ドクとビーンの出会いは、とあるゲームから

『神話クエスト』の「ダーク・クワイエット・デス」で、ドクとビーンが出会う
Mythic Quest [Credit: Apple TV+]

男女がゲーム屋に偶然に居合わせたところから物語は始まります。女性は普通のゲームには飽き飽きしていて、何か実生活を感じさせてくれる作品を求めています。それを聞いた男性が女性にゲーム勧めていきますが、そのうちの一つが「Dr. Robotnik and the Mean Bean Machine」なんです。

女性: I want something bleak and hopeless, like real life.

男性: Do you know about Dr. Robotnik and the Mean Bean Machine?

女性: This?

男性: Dr. Robotnik kidnaps the bean people to suck the joy out of this world. I think that’s pretty real.

女性: Would you consider yourself more the doctor or a bean in this scenario?

男性: Me? I’d be the doctor. Not ‘cause I’m an evil genius, but because I’m a man.

女性: That was meant to be charming. So I guess that makes me a joyless bean then.

Do you know about Dr. Robotnik and the Mean Bean Machine?
『神話クエスト』の「ダーク・クワイエット・デス」で、ドクはビーンに「Dr.エッグマンのミーンビーンマシーン」を薦める
Mythic Quest [Credit: Apple TV+]

「Dr.エッグマンのミーンビーンマシーン」とは?

パッケージだけからでは分かりませんが、実はこのゲームは日本でも人気の落ちゲー『ぷよぷよ』なんですよ(笑)

Dr.エッグマンのミーンビーンマシーン

『ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン』 (原題:Dr. Robotnik’s Mean Bean Machine,欧州並びに英国での別題:Dr. Robotnik and His Mean Bean Machine ) は、1993年にセガより北米および欧州で発売された落ち物パズルで、ソニックシリーズのキャラクターに差し替えた『ぷよぷよ』の日本国外向けバージョンにあたる

(中略)

本作の筋書きは、悪の科学者Dr.エッグマン(Dr.ロボトニックの別名)が惑星フリーダム(惑星モビウスの別名)を支配するため、フリーダムのビーンヴィル村の住民であるビーン達(顔付きのカラフルな豆のような生物、原作におけるぷよぷよに相当)を大量に誘拐し、ミーンビーンスチーミングマシーンでどんどんロボットに改造しようとするというもの。

男性は『ぷよぷよ』というパズルゲームではなく、そのバックストーリー「邪悪なドクターがビーン達から喜びを奪う」というところにリアルさがあると言ってるわけです。

そして、女性に「あなたはドクターとビーンのどっち?」と聞かれると、男性は「ドクター」と答えるんですね。一方の女性は「私はビーンね」。ここから二人は付き合い出し、共同でゲームを開発し、「ダーク・クワイエット・デス」フランチャイズを作り出すのです。詳しくは本編で。

だから、お互いのあだ名が男性がドク(Doc)、女性がビーン(Bean)になるのも必然ですね。まあ、「ビーン」は『ぷよぷよ』における「ぷよ」なので、女性の日本語のあだ名は「ぷよ」が相応しいかもしれませんが。

このように『ぷよぷよ』がストーリー上重要な役割を演じているのでした(笑)

IMDbでの評価はべた褒め

なお、このエピソード「A Dark Quiet Death」のIMDbでの評価は、現時点で★9.4と激賞されています。それぐらい脚本が洗練されているし、二人の役者の演技も息もバッチシ。2時間の映画化できるレベルです。個人的にも、今まで見た海外ドラマのエピソードで10指に入ると思う出来栄え。今回自分はシーズン2のために1年半ぶりにアップルTV+再加入しましたが、『神話クエスト』はぜひ多くの人に見てもらいたい海外ドラマです。

最後に

今回紹介したエピソード「ダーク・クワイエット・デス」が『神話クエスト』本編にどのくらい(柱に掘る名前以外で)絡んでくるのかはシーズン2以降を待たないといけませんが、そこには意外や意外落ちゲー『ぷよぷよ』が絡んでいたという話でした。

冷静に考えてみれば、ドクは女性に『ぷよぷよ』を勧めたわけですから、ある意味ゲームソムリエとしては普通に優秀なんですよね(笑)

エピソード最後、ドク、ビーン両者共に結局奪われる側の「Bean」であったことが判明するので、そこがこのエピソードの存在を一層際立たせ、視聴者にリアルさを感じさせてくれるのでしょうか。

そして、シーズン最後にイアンがポピーに提案する「Will you be my… Dr. Bean?」も深読みすれば、彼らの今後の運命が見て取れるのかもしれません。その答え合わせはシーズン2以降で。それでは、また〜

イアン: Will you be my… Dr. Bean?
『神話クエスト』で、イアンとポピー
Mythic Quest [Credit: Apple TV+]