英辞郎の変な訳、くるみ割り「Nutcracker」に「ブス」の意味?
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「Nutcracker」の意味
nutcrackerは「nut(木の実)」+「crack(砕く)」からも分かるように日本語で言うところの「くるみ割り」のこと:
nutcracker
木の実を砕く器具。
An implement for cracking nuts.
くるみ割り人形
くるみ割りと聞けば、日本人のほとんどがチャイコフスキーのバレエ『くるみ割り人形』を思い浮かべるのでは無いでしょうか?
実は、くるみ割り人形とは、くるみ割りの器具を人形に模して作ったものなんですね。クリスマスの時期に飾られるドイツの伝統工芸:
もちろん、これも「nutcracker」と呼ばれます:
なお、以前はくるみを割る機能を実際有していましたが、最近のものは装飾目的で、くるみを割れなくなっているんだとか(笑)
Nutcracker doll
20世紀前半以前に作られたくるみ割り人形はほぼ全て機能するが、近年のくるみ割り人形の大部分は装飾用で、くるみを割ることはできない
While nearly all nutcrackers from before the first half of the 20th century are functional, a significant proportion of modern nutcrackers are primarily decorative, and not able to crack nuts
『ギルモア・ガールズ』での「Nutcracker」
さて、話は飛んで、海外ドラマ『ギルモア・ガールズ』を見ている時に、語彙「nutcracker」に関連して非常に興味深いシーンがありました。
場面はローレライとローリーが『くるみ割り人形』の劇を鑑賞しているところ。舞台上で、女性バレリーナが誤って男性を蹴っ飛ばしてしまうんですね。それをローレライはbe supposed toを使って「彼女は本来男性を蹴るはずではなかった」と言ってから、冗談で「nutcrackerに別の意味が付与された」とニヤリとするのです。
ここの意味を取るのは、複数形「nuts」にスラングで「睾丸」の意味があるのが分かれば簡単。
nut
(低俗、スラング、主に複数形で)睾丸。
(vulgar, slang, chiefly plural) A testicle.
『くるみ割り人形』の「nutcracker」と、睾丸(nut)がある男性をやっつける(crack)と言う意味での「nutcracker」を掛けてるダジャレ(pun)になっているのでした。
こういった類推は、海外ドラマを見ていると自然とできるようになります。
英辞郎での「Nutcracker」の奇妙な意味
さて、ここから話が意外な方向に向かっていくのですが・・・
念の為、英辞郎で「nutcracker」の意味を調べてみたんです。すると意外にも「ブス」と出てきたんですよ:
nutcracker
〈俗〉ブス
これが、個人的にすごい不思議なのです。男に対して強気な女性をnutcrackerというのは、上述の理由でとても納得できるんです。
でも「ブス」? nutcrackerで容姿を言うのはおかしくない?
そして、ネット上でいくら「nutcracker」で検索しても、この意味が全く出てこないんです。「鳥」とか「ジュース」とかは出てくるんですが、「nutcracker」にブスの意味を当ててるのは世界中で英辞郎だけなんです。
なお、英辞郎は以前も英単語「abdicate」を「同性愛をカミングアウト」としてたくらいなので、多分これも技術的な処理ミスとは思いますが、と言って全く見当違いというわけでもなく、女性を形容するという同じカテゴリになっているところで、本気で間違っているのかなと思いました。
Urban Dictionaryでの「nutcracker」
なお、調査中に、Urban Dictionaryでの「nutcracker」の一つの定義に『ギルモア・ガールズ』の例が載ってるのを発見:
nutcracker
怒った時、文字通り、君の睾丸を割る気丈な女性。
A tough woman who, when provoked, will literally crack your nuts.
最後に
今回は英辞郎の「nutcracker」の訳が不思議だったので記事にしてみました。「ブス」ではないんですね。
なお、睾丸を潰すことで女性を形容するのは、海外ドラマでたまに出てきますね。それでは〜
nutsの別の意味↓
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