1億%クロ
某将棋棋士

日本語での「120パーセント」の意味

小学校の算数の授業で「パーセント」の概念を習うと思うんですけど、基本ルールは全体が100%なわけですね。全体は100%を超えることは出来ません。超えられるのなら、それは全体ではないのです。

しかし、人間は数学的論理的な動物ではないので、比喩的に「100%を超えた更に上」ということを表現したくなるんです。

そんな時、日本語では「120%」がよく使われます。110でも130でもなく、数字は決まって「120」なんです:

120パーセント

予想、予測を確信し、強調して表現する際に用いる語。「明日は120パーセント晴れるよ。」のように用いる。

何故数字の120が好まれるかは日本の文化・社会・風俗などが反映されているとは思うのですが、このブログの範囲外なので、そちらの調査は他の人に任せます。

1億パーセントや1兆パーセント

なお、子供じみていいのなら、1億パーセントや1兆パーセントという数字もでてくるかもしれませんね。実際、将棋界で起こった将棋ソフト不正使用疑惑騒動のときには「1億%クロ」「一兆%無実」と言った数字が飛び交いましたから。

さて、これが日本語での100%を超える表現の状況です。

英語だと100%を超える数字は「110%」

I will stand behind Steven 110 percent, until the end.
『殺人者への道』で、スティーブンを110%支持する女性
Making a Murderer [Credit: Netflix]

さて、ここからが面白いのですが、英語だとこの数字が日本語の120と少し違ってくるのです。驚くことに「110%」が好まれるのですね。

例えば、Urban Dictionaryの項目には

110 percent

これは頭空っぽの概念なしの用語。誰も100%以上頑張ることは出来ない。110%頑張ると言う人は100%頑張ってもまだ頑張れると主張してるんだ。馬鹿げている!

This is an empty headed non-concept. No one can give more that 100%. Saying he (or) she gave it 110 percent is also saying the person who gave it 100 percent still could have (or should have) given more. What nonsense!

と筆者のイラつきが感じられますね(笑) この人は理系かもしれません。

イディオム「give 110%」の意味

そして、この「give 110%」は既にイディオムとして通用しちゃってるんです:

give 110%

(イディオム的)最大限可能な努力をする。

(idiomatic) To make the maximum possible effort.

数学的には100%がマックスのはずなのに、それ以上を言う時英語では110%なんですね(笑)

ベン: I need to know that you’re okay.
リーランド: I’m 100 percent, Ben, 110 percent.
『ツイン・ピークス』で、ベンとリーランド
Twin Peaks [Credit: ABC]

英語でも巨大な単位を使ったパーセントは健在

ジミー: I guarantee you, one billion percent, it’s not the Kettlemans'.
『ベター・コール・ソウル』で、ジミー
Better Call Saul [Credit: AMC]

なお、日本語であった桁違いに大きい単位を使った大げさな表現は英語でも当然ありました。

最後に

今回は日本語における表現「120%」が英語だと「110%」と10%減になることをみてみました。こういった数字の違いは個人的にすごく興味があるのですが、誰か調査してないんでしょうかね? 自分の感覚からすると、英語の110は奇数「11」ゆえに割り切れない感じであまり好みではありません。多分こう言った数字に対する国民性が言語の「110%」「120%」といった表現に反映されているんでしょうね。それでは〜