『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』の番組宣伝ポスター
Alone [Credit: History]

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』とは?

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』はヒストリーチャンネルからやってきたすんごいリアリティー番組だ。10人のサバイバル腕自慢の参加者を文明からはるかに離れた極限の場所に置き去り、誰が最後まで生き残れるかを競うハードコアなサバイバル系番組。各参加者に許されたのは最初に持ち込める10品の道具だけ。それに知識、体力、忍耐と運を加え、最後まで生き残った暁には5,000万円という人生を変える大金が提供される。

この番組名『Alone』という名が示すように、参加者はたった一人でその過酷な環境を生き抜かなければならない(シーズン4はテコ入れで二人組、でも英語ではalone)。10人の参加者はある地域(シーズン1ならバンクーバー島)内の5−6キロメートル離れた場所にランダムに振り分けられ、そこで生活を同時に開始する。もちろん、最初にしなければならないのがその日のシェルター作りなのは、こういったサバイバル系番組を見ている視聴者ならお馴染みのものかもしれない。このゲームの名前は、そこから果たして、何日間生き長らえるかだ。

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、参加者は魚を釣る
Alone [Credit: History]

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』の感想

そんな『ALONE』を偶然 Hulu⤴️に見つけたのがお盆前。そこから少しずつ見続け、ようやくシーズン4を完走した。

なお、以前『The Circle アメリカ編』の記事でも述べた通り、私はサバイバル系リアリティー番組が正直好きではないんですね。というのも、リアリティー番組の裏側を赤裸々にドラマタイズした『UnREAL』を見てからというもの、どうしても番組スタッフがカメラの回っていないところで介入しているように見えてしまうから。

しかし、その私の懸念をこの番組『ALONE』は完璧に払拭してくれた。なんとこの番組、スタッフが全く居ないのだ(笑) 画面のどこにも居ない。映るのは大自然と参加者(と野生生物)のみだ。

つまり、各参加者は10品と同時に重いカメラ機材セットを渡され、それで自分のサバイバル活動を撮り続ける必要があるいわゆる『電波少年』スタイル。多分、撮らないと賞金がもらえない等の取り決めが事前にあるのでしょうね。

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、参加者のカメラ
Alone [Credit: History]

そんな彼らは、獰猛な野生動物や漆黒の暗闇の恐怖、体型まで一転させる飢えや冬の極寒、そしてこの番組最大の敵である「孤独(alone)感」に耐え、一日でも長くその環境下で生き続けようとする。それをこの番組は余すところ無く映像化する。これが面白くなかったら、何が面白いんだというものじゃない?(笑)

もちろん、耐えられなくなった参加者にはタップアウト(降参)がいつでもでき、人工衛星無線を使って離れた場所で待機しているスタッフに連絡することもできる。

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、狼に襲われる参加者
Alone [Credit: History]

通常リアリティー番組というものは、シーズン1のクオリティは得てして低いもの。というのも、番組のフォーマットがまだがっちり決まってないし、試行錯誤で番組を作っていく面があるからだ。ある意味、シーズン1全体が海外ドラマのパイロット版みたいなものと言って過言ではない。それに関しては、この『ALONE』も例外ではなかった。

ただし、『ALONE』シーズン1の時点でクオリティが低いのは番組フォーマットでは決してない。これが意外にも、孤独を戦い抜くはずの出演者の猛者達なんだ。個人的に驚いたのは、その辺の道端を歩いていた人を拉致してきたのでは?と思うくらいサバイバルスキルを欠落した参加者が居ること。だって、最初の二人のタップアウトする理由が「熊や狼の鳴き声」に恐怖ですからね(笑) この番組の趣旨を間違えているか、出演する番組名を勘違いしているかのレベルじゃない? 多分彼らは『サバイバー』に出たかったんだと思うw

しかしこれも、『ALONE』一番最初のシーズンであり、番組の内容がまだ周知されていない、番組の評判の問題などあって、“活きの良い”サバイバル経験者が集まらなかったことが原因なのは間違いない。シーズン1が放送されて以降シーズン2からは毎回数千名の参加応募があったと言う話は、シーズン2から出演者のサバイバルスキルが明らかに向上するところからも裏付けされる。その意味では、この番組『ALONE』はシーズン2からが本番と言える。

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、参加者はシェルターづくり
Alone [Credit: History]

サバイバルの状況になったらどうすべきか、火の起こし方、タープの貼り方、シェルターの設置場所(widow-makerに注意)、動物の捌き方、水の確保など普通に見ているだけでもためになるし、浜辺に打ち上げられてた道具を活用する創意工夫は思わず膝打ってしまう。ある参加者なんかはペットボトルで魚を釣ってしまうんだ。それから意外にも、参加者の失敗からも学べる事も多いんだ。

また、各参加者がカメラの前で吐露する苦しみは視聴者の心をも激しく揺さぶる。そして、日に日に痩せ細っていくのが一目瞭然の参加者たち。最終的に彼ら彼女らは当初の30%の体重を失うのだ。そこには台本無しのリアルなガチンコサバイバルが存在し、そして、最後勝者が決まる時のサプライズときたら、視聴者としては涙なしには見られないのだ(ただし、シーズンが進むと飽きるのも事実)。

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、参加者の体重比較
Alone [Credit: History]

なるほど、それでIMDbで現時点での評価が★8.4なのも頷けるというもの。自分も★8以上はあげたいですね。

なお、この番組のシーズンを進めていくと、ある時点でなんとなく一から火を起こすファイヤースターターを所有したくなってくると思う。ご多分に漏れず私もだった(笑) 番組内ではFerro rodと呼ばれているものですね:

ちなみに、最初に持ち込める10品にファイヤースターターは必ず入っていますね。それほどサバイバルで火は重要。また、シェルター作りで活躍する防水性のタープや斧、寝袋、魚釣りの道具(釣り針や網)や弓矢なども定番の品。各参加者が実際何を持って行ったかは『ALONE』の公式ページ⤴️で確認することが出来ます。

最後に、私が発見したこの番組の楽しみ方は、次にタップアウトするのが誰かを予想しながら視聴するというもの。この若造は根性ないと思っていたら意外にも最後まで生き残ったり、逆にサバイバル教室の講師なんかが早々に去っていくのを見ると、リアルの大自然でのサバイバルは裏山で数日過ごす飼い慣らされたものとは大幅に違っているのが分かります。

いずれにしても、『ALONE』は個人的におすすめの番組ですね。

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』の気になるところ

さて、ここまで手放しで褒めてきましたが、このリアリティーショーの幾つか気になった点も挙げておきましょう。

まずは、競争が無い点。これは10人の参加者が居て最後に生き残った者が賞金を総取りするという番組のフォーマットに一見反して聞こえますが、各参加者はずーっと一人なので、結局いま他に何人生き残ってるのか等の視聴者が持っている俯瞰的情報は全く分からないんですね。だから、競争と言っても最後は自分との戦いになる。傍から見るとカメラ機材渡して大自然で何ヶ月も暮らしているだけになってしまう。でもそれって、わざわざテレビ番組にする必要あるの?って疑問がどうしてもチラつくんです。

しかも、YouTubeで『ALONE』のクリップを探していたら、優勝者が開設したチャンネルを見つけてしまって、そこではその優勝者が自分でカメラ持って『ALONE』の番組と全く同じことしてるんだもん(なんと、この番組の優勝者はチャンネル登録者が100万人居るサバイバルスキルを教えるユーチューバーになっていましたとさw 彼曰く、優勝賞金は全額貰えるわけでなく、半分くらい税金に持っていかれるとのこと)。 結局、撮影機材さえ揃えれば、プロのテレビ局が編集するか自分でするかの違いしかないんです。

更に、最初に降ろされる場所もかなりの不公平感が漂います。だって、北向きの場所か南向きの場所かだけでも住環境に大きな違いが出てきますし、近場にシェルターに適した平地があるかどうかも重要。いくらクジで決めていると言っても、そこは運の要素が結構大きいですね。

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、Meganが居住する場所
Alone [Credit: History]

また、これは仕方のないことですが、最後は結局飢餓を如何に我慢するかというゲームになってしまうんですよ、この番組。

サバイバルゲーム開始は多分10月頭くらいでしょうか。既に秋に入っていて、そこから一ヶ月も経たずに雪が積もり始め冬になります。そうすると、草木は枯れ、魚は居なくなり、つまり食料がなくなるんですね。もちろんこれはゲームが長引かないよう計算されているのですが(春から開始だと参加者はずーっと生き延びることが可能)、最終的にどうしても餓死するまでの我慢比べになってしまうんです。そして、BMIが基準以下とかいう医学的理由で参加者が排除され、優勝者が決まるんですよ。そこが視聴者としてはズコーなんです。もちろん感動はするんですけど、感動が30%オフになるんですね。だったら、最初からBMI超高めで参加したほうが有利じゃんって(笑)

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、空を見上げる参加者
Alone [Credit: History]

なお、この単なる飢餓へのチキンレースを避けるためか、上で少し述べたようにシーズン4は7組のペアが参加するフォーマットに変更されました。これは非常に良いテコ入れになっていて、親子、兄弟、夫婦等のどの絆が一番強いかが楽しめるアクセントになってます。また二人で協力するので、本格的なシェルターが作られたり、会話も一人のフォーマット時より豊富で、喧嘩に発展するなどシーズン1〜3では見られないシーンが垣間見られたのも良し。

そして、シーズン4最後にリユニオン回(Reunion)があったのもicing on the cakeとなってくれました。片方がタップアウトしたいと言い出した時どうだったかとか、狼と対峙した時の緊張など、視聴者側で知りたいことを司会者が実際の参加者に聞いてくれて、番組のラップアップ(締めくくり)になってくれるのと同時に、様々なことを気付かさせてくれる契機になった。惜しむらくは、シーズン4以前でもあってくれてれば・・・。まあ、シーズン4と違って一人ぼっちなので、リユニオンしてもそこまで盛り上がらないのかもしれないけどね。(追記:シーズン1〜3でもリユニオン回はあるみたいです。日本語化されてないだけっぽい)

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』で、シーズン4リユニオン回
Alone [Credit: History]

『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』シーズン5以降

ところで、シーズン5以降はどうなっているのか調べたら、なんと海外では既にシーズン8まで放送済みでした。そして、その内容を見てみると

シーズン副題内容
贖罪過去の参加者がモンゴルで再戦
北極北極を新たな舞台にして
1億円チャレンジ北極に100日で1億円
グリズリーの山オリジナルフォーマットに回帰

ということになってます。個人的には北極圏に100日で1億円が見てみたいですね。1日耐えたら100万円と考えれば、やる気は更に出そうですから(笑) まあ北極なので、寒さと如何に対峙するのかが鍵なんでしょう。

最後に

今回はサバイバルリアリティーショー『ALONE 〜孤独のサバイバー〜』を視聴した感想でした。好き嫌いはかなり分かれると思います。番組内で野生動物を平気で殺しますからね。ただ、本物のサバイバルに最も近い番組であることは間違いなさそうです。それでは〜