「I was listening, but I wasn’t really hearing」というセリフ

先日、YouTubeのクリップを何気なく見ていたら、listenとhearの違いに関する面白いセリフがありました。

『スーパーストア』というシットコムの面白いシーンだけ抜き出したコンピレーションクリップ。そこに、白人が黒人に謝るシーンがあります。

I messed up before. I’m sorry. I was listening, but I wasn’t really hearing.
海外シットコム『スーパーストア』
Superstore [Credit: NBC]

曰く「listeningしたけど、本当にhearingしてなかった」。hearもlistenも「聞く」意味なのに、どうしてこんな使い分けができるのでしょうか? よくよく考えれば疑問ですよね。

実は英語では、「聞く」と一言で言っても「hear」と「listen」には大きな違いがあるのです。それをこの記事で解き明かしたいと思います。

なお、実際の場面は1:25から↓

ちなみに、海外ドラマの英語字幕を調べると『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』にも同様のセリフがありますね:

I got to tell you, Dr. Shepherd, I’m listening to you, but I’m not hearing anything you’re saying.

Grey’s Anatomy

「Listen」と「Hear」の違いとは?

まず、2つの動詞の違いについて。これはWiktionaryの語法欄で完璧に説明されていました:

listen

Usage notes(語法)

In English, listen and hear are two primary verbs relating to audial perception. To hear represents automatic, unconscious, or passive perception of sound, while listen generally represents intentional, conscious, or purposeful use of the sense of hearing.

英語では「listen」と「hear」が聴覚的知覚に関連する主要な2つの動詞である。「hear」は無意識、自覚がなく、又は受動的な音の知覚なのに対し、「listen」は一般的には意図的な、自覚がある、目的を持った聴覚の使用である。

日本語でよくある説明は「聞く(hear)」と「聴く(listen)」ですね

「Listen」と「Hear」の違いの例

例えば、皆さんがダイエーなりイオンなりのスーパーストアに行ったとしましょう。通常、スピーカーから「水曜と土曜はポイントが5倍」とかいった定型の情報が繰り返し流れてくると思いますが、あれを「聞く」のは上の定義だと「hear」なんですね。普通の人にとっては自然と耳に入ってくる(hear)ってだけで、改めて耳を傾けてあのアナウンスを「聞く(listen)」人はいないんじゃないでしょうか?(笑)

でも、電車内で寝過ごしてしまい、起きたら窓の外が見たこともない田舎だったら、普段は無意識に聞く(hear)車掌の次の停車駅のアナウンスでも、その時は「耳を澄まして聞く(listen)」人が多いのではないでしょうか? だって、どのくらい寝過ごしたのか、戻るまで何分掛かるのか、遅刻の連絡を・・・等々考えなければいけませんからね。だから、たかがアナウンスであっても、状況によっては「hear」になったり「listen」になったりするんですね。

音楽は「listen」と習ったと思いますが、それは通常、音楽を聞く時は聞く準備をするからですね。ヘッドフォンを着けたり、ベッドの上でリラックスしたり、目を閉じたり。自分の好きな音楽を聞く時、人は精神的も含めそれなりの準備をするんです。

しかし、これがスーパーストアで流れているインストゥルメンタルなBGM(ジャスコミュージック)だとして下さい。買い物客であれを「listen」してる人はいないでしょうね。耳に勝手に入ってくる「hear」なんです。だから、音楽と一概に言っても「listen」だったり「hear」だったりするわけです。

音楽をヘッドホンで聞く女の子
Image by PublicDomainPictures from Pixabay

「I was listening, but I wasn’t really hearing」の意味

さて、ここまでくれば冒頭の『スーパーストア』のセリフが分かるというもの。

でも、listeningで「意図的に聴いてる」のに対し、not hearing で「聞いてない」というのはちょっと矛盾してる感じしません?

実は、これは社会人ならおなじみの行動なんです。

皆さんの上司が朝礼で長く詰まらなく話を始めたとして下さい。また始まったぜの瞬間です。皆さんならこんな時どうするでしょう? 多分listening(聴いてる)振りはしますが、内心は聞いてない(not hearing)なのではないでしょうか?(笑)

「listening, but not hearing」は実はこれのことなんです。なんだ、我々が既に何回もしてきたことじゃんw

最後に

今回は「listening, but not hearing」という一見矛盾したセリフを肴に、動詞「listen」と「hear」の違いを見てみました。そして、それは聞いてる振りをして実際は聞いてないという誰でもやったことがある行動を意味しているのでした。

こんな何気ないセリフからでも英語は勉強できるんですね。だから海外ドラマがおすすめなんです。

それでは〜