So always check above. Look for widowmakers, deadfall.
『ALONE ~孤独のサバイバー~』で、折れた枝(widow-maker)を探す参加者
Alone [Credit: History]

「Widow-maker」の意味とは?

「widow」は旦那に先立たれた未亡人のこと。それの「maker」だから・・・。「widow-maker」が世の旦那共を殺してしまうような物のことを指すイディオムなのは容易に想像できますね:

widow-maker

(イディオム的)男の命を奪う人や物;多くの場合男に影響を与える死の危険、特に男性の職業に。

(idiomatic) Something which or someone who takes the lives of men; a lethal hazard that affects mostly men or is specific to a primarily male trade.

ただ、最近見だしたリアリティ番組『ALONE ~孤独のサバイバー~』では、参加者が森で上を見上げてwidow-makerと言うんですよ。上に一体何があるんでしょう? 男性を殺してしまうようなものなんて森にあるんですかね?

アウトドアでの「Widow-maker」の意味

実は面白いことに、アウトドアだとwidow-makerに特有の意味があったんです(笑):

widow-maker

(林業)分離した、又は折れた木の大枝、下を歩く者への危険となるもの。

(forestry) The detached or broken limb of a tree, a hazard to those walking underneath.

つまり、落ちてきてぶつかったら死んでしまうくらいの折れた大枝のことをwidow-makerと英語では言うのでした。

川に落ちた木の大枝
Photo by Michael Held on Unsplash

日本でも、台風なんかで割かれた枝が木の途中で引っ掛かって宙吊りの状況とかよくあります。それに強風が吹いて落下した時に偶然下を通っている林業の人がいたとしたら・・・。まさにそれがwidow-makerなのですね。

だから、『ALONE ~孤独のサバイバー~』では、シェルターを作る際に参加者が上を見上げて注意しているのでした。こうやって調べると納得です。

多分ですが、林業なんてのは男の職業なわけです。朝旦那を送り出した奥さんがなかなか帰ってこない夫を心配して関係者と共に捜索すると、山の奥で大枝の下敷きになってくたばってる旦那さんが見つかったなんてことが昔はあったのでしょうね。先立たれた妻は一転して未亡人となる。だから原因となった折れた大枝がwidow-makerと呼ばれるようになったのです。

Widow-makerの事故は実際起こっている

なお、折れた大枝に潰されて死ぬなんてそんなアホな人は世の中に居ないと思う向きもあるかも知れませんが、調べてみるとこれが意外、結構発生しているようです。次はWikipediaの情報ですが、

Widowmaker (forestry)

widowmakerは木の下や周りで働く人や備品に危険をもたらすかもしれない。widowmakerは風や木の伐採中に外れ、死に至る電動ノコギリの事故の11%を占めるのだ。

Widowmakers may pose a risk to equipment or personnel working under or around the tree. They can become dislodged by wind or during tree felling, and are responsible for 11% of all fatal chainsaw accidents.

ということで、風だけでなく、電動ノコギリで切ってる時にその振動で枝が外れて上から落ちてくることもあるのだそうです。11%という数字は結構な割合の気がしますね。個人的には、実際にwidowを作ったかも知りたいですが・・・(笑)

Widow-makerの綴り

ここまで見たように、widow-makerの綴りは統一されて無くて、widow-maker、widowmaker、widow makerという3パターンの綴りがあるみたいです。WikipediaとWiktionaryですら違っててびっくり(笑)

海外ドラマ『メンタリスト』でのWidowmaker

なお、今回の語彙「widowmaker」ですが、残念ながら海外ドラマにはほぼ出てきません。というのも、林業とかが舞台になることがあまりないから。生き抜く系のリアリティ番組の方が出てくると思います。

一応、『メンタリスト』に出てきた次の場面を紹介。

樹の下で男性の死体が発見された状況説明をリズボン一向にする女性捜査官。死因の可能性の一つとしてwidowmakerを挙げています。直前にrealを付けているので、一般的な夫を殺すwidowmakerではなく、木の枝の方を意味していますね。なお、ここのトラウマは心的外傷ではなく身体的外傷の方です。

女性捜査官: Standard blunt-force trauma to the back of the head. Maybe one strike followed by a couple of real widowmakers.
『メンタリスト』で殺人現場を捜査するリズボンとジェーン
The Mentalist [Credit: CBS]

最後に

今回は「widowmaker」というちょっと面白い語彙の紹介でした。意味は、折れた大枝で木の途中でぶら下がっているもののこと。落ちてきて下にいる人(夫)を危険に晒すところから。

なお、逆に妻を殺して残された夫を男やもめにする「widower-maker」もありそうだと思ったのですが、調べても事例は見つからず。昔の奥さんは外を出歩いたり危険なところには行かないのかもしれません。

行き掛けの駄賃で、両親を殺して子供を孤児にする「orphan-maker」は?と調べましたが、こちらもないですね。ま、両親を同時に殺すなんて、それはどこの『世にも不幸せな物語』だ?って感じですけど(笑)

それでは〜